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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2 第二次βテスト
150/186

第百五十話:軍勢

《緊急クエスト:死者の軍勢》


 全プレイヤーに対し、緊急のクエストを発行。

 北の地より侵攻する死者の軍勢を討伐してみせろ。


・依頼者:※※ (非公開)

・対象:死者の軍勢の討伐。

・報酬:参加報酬で金貨10枚 + 討伐報酬。

・制限時間:死者の軍勢が《街》に到達するまで。

・補足事項:死者の軍勢 = 今回は、マミーを中心とした、日中も活動するアンデッドの軍勢だ。

 とりあえず500ほど用意した。

 せいぜいがんばってくれ。

・特記事項:戦闘に参加したプレイヤーには、参加報酬として1人につき金貨10枚。

・特記事項:討伐報酬は、チーム単位でまとめてリーダーが受け取る手はずになっている。



 たくさん採掘したので坑道を出て、さあ帰りましょうとぐれ太を呼べば、生きるのを諦めたような目の岩ヤギを脚でがっしり掴んで飛んできた。


「ぎゃーうー♪」

(おみやげー♪)


 ぐれ太が楽しそうなのはいいのだけれど、坑道の入り口には、待たせていた岩ヤギの他に落ち着かない様子の2頭の岩ヤギが。

 で、今連れてきた岩ヤギで合わせて4頭。


 ……まあ、生きてるんならそれでもいいけどさ。連れて帰るし。


 で、岩トカゲが5頭ほど、ひっくり返ってお腹を見せている。


 ……こっちも、おみやげかぁ……。


 ……まあ、生きてるんなら連れて帰るけどさ。



・テイムしました。

 岩ヤギ × 3。(総数4)

 岩トカゲ × 5。



 この子たちの住むところどうしようかな? なんて考えてたら、警報が鳴りながらステータス画面が強制で開かれた。




『ミコト、プレイヤーが戦争を仕掛けてきたぞ』


「ヤタ? ……や、その、戦争って……」


『何も知らんようだなこのアホは。たった500で、オレたちを止められると思っているのか……?』


「ヤタ? おーい、ヤターっ」


 なんか妙にブチキレてないかな? 顔が怖い怖いよ。


『要するに、ケンカ売られたんだよ。連中の現在位置は、周辺マップに表示されている。オレがその近くまで連れていくから、移動後少し休んだら、殲滅するぞ』


 殲滅って……。うわぁー……。やっぱり、キレてるね……。


「ちょっと、ヤタ? ……っ!?」


 一瞬の違和感が過ぎ去ったら、ゴツゴツしたむき出しの岩場から草原に風景が変わっていた。


 もう少しで日が暮れ始める時間。

 ぐれ太に乗って飛び上がり、太陽の位置から北の方角を確認して、状況を把握しようとすれば、ずっと北の方にこちらに向かって移動する集団が確認できた。

 本当に500はいるかもしれない軍勢に、(ひる)みそうになる。

 ……けれども、昨日潰したネストには、1000を越すアリがいたはずで。

 それを考えれば、500はそこまでの脅威じゃないのかもしれない。


 地上に降りて全員に状況を説明して、甜災ダイコンヤクシャたちも召喚する。

 さすがに岩ヤギや岩トカゲたちは戦力にならないと思ったら、《帰還》という指示が選択できるようになっていた。だから、僕らの《拠点》に先に帰ってもらおう。

 その後は、全員に《付与》を掛ければ完璧だね。

 

 さて、準備は整ったので、あとは軽く食事と水分補給して、少し休もう。




 しばしの時間が過ぎて、空が茜色に染まる頃。

 北の高い山々に続く街道の先から、姿を見せる集団。

 それらは見る間に数を増し、夕暮れ時の薄暗い景色の中で、堂々と進軍してくる。


 最前列は、情報通り全身に包帯を巻いた姿のアンデッド、マミー。

 材質ははっきりと分からないけれど、大きな盾を持っていて、遠距離攻撃は防いでしまいそうだ。


「じゃあ、やろうか。手はず通りに」


「「《足がらめ》」」


 ステラとリンドくんが木属性魔法を発動する。

 地面に草が生えている場所でのみ使える魔法で、草を異常繁茂させて足に絡ませて動きを封じる魔法だ。

 動きの止まった盾持ちマミーの多くが、バランスを崩したり後ろから押されて転倒する。

 倒れた盾持ちは全部じゃない。でも、これで先制攻撃が通るようになった。


「《ソーン・ゴーレム》」


 矢の先に着けた袋に、イバラのゴーレムの種を入れて、放つ。

 ステラによって木属性の魔法が込められており、矢が地面に接触すると同時に種がみるみるうちに芽吹きイバラが竜巻のように渦を巻きながら巨大なヒト型を形成する。

 魔法によって急速に成長したヒト型のイバラは、マミーたちの倍以上の大きさを持つ4メートル級。

 普通に育てたものと違い、すぐに枯れてしまうそうだけれど、マミー相手にさっそく猛威を振るっている。


 ステラの母リラさんが、《街》で活動するリンドくんともう1人のために渡した巾着袋の中身を、リンドくんの分を許可をもらって使わせてもらった。


 周囲のマミーを手当たり次第殴り飛ばすイバラのゴーレムは、マミーたちに無視されるようになり、獲物を求めて前進するも、マミーたちは迂回してこちらへ走り出す。


「「《足がらめ》」」


 走り出したマミーの前列を狙って、再度下草を繁茂させて足に絡める木属性魔法を発動。

 マミーたちは確かに転倒したものの、やはり後続は気にせず転倒した仲間を踏みつけて進軍してくる。


「《二本撃ち》」


「《ウォーターボール》」


「《スラッシュウェイブ》」


「《スウィングウェイブ》」


「《ダブルアロー》」


『ダブ……うぉっ!?』


 みんなで遠距離攻撃を始めたところ、ヤタの魔法が発動するかと思いきや、急に動きを止めた。


「ヤタっ!? ど、どうしたの?」


 あわてて相棒(僕の妖精さん)を見上げると、


「うぇっ!?」


 ……なんか、女性型っぽい、世紀末覇者みたいな(いか)つい顔とムキムキのボディな妖精? が、ヤタを後ろから羽交い締め? 抱っこ? していた。




 ……えっと、どちらさま?



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