第百四十話:十八日目
朝日を浴びて目を覚ます。
寝ぼけまなこで周りを見渡す。
どう見ても、自分の部屋だ。
「…………うーん?」
はて? 僕は、孤児院のちびっ子たちと一緒に寝たんじゃなかったっけ?
「うーん…………」
思い出そうと首をひねっても、ライラさん、リラさん、僕で、ちびっ子たちを寝かしつけたところまでしか思い出せない。
ライラさんとリラさんの子守唄デュエット、すっごくきれいな音色だったな……。
おっと、そうだ。朝ごはんを作らなきゃ。
『ミコト』
「あ、ヤタ。おはよう。どうしたの?」
『おう、おはよう。また寝ぼけてなんかやっていたみたいだから、ログを確認しておけよ』
「うーん? また?」
『おう。犬どもの時みたいにな』
「そっかー。うん。確認しておくね」
といいつつ、まずは朝ごはんだよ。
今日は何にしようかなあ?
拠点に供給される食材はいつも変わらないけれど、同じ食事ばかりじゃ飽きちゃうよね。
じゃあ、おかゆというかおじやにしてみようか。
まずはご飯を炊いて、野菜とキノコ類を細かく刻んで、野菜とキノコを煮込んだスープにご飯を投入。味付けしたら完成。
次は、オーク肉のひき肉と豆の煮物をやってみよう。
オーク肉の塊を料理スキルでひき肉にして、トマトと塩で煮込む。
「ミコトさん、おはよう。本当に朝早いわね。大丈夫? 無理してない?」
「ミコトさん、おはよう。子どもたちがたくさん増えたから、食事もたくさん必要でしょう。手伝うわ」
「ライラさん、リラさん、おはよう。煮豆は初めて作るんだ。味を見てくれないかな? おじやの方も合わせて、助言があったら助かるよ」
煮豆+ひき肉にトマトを入れて煮込んでる最中にライラさんとリラさんが起きてきたので、味見をお願いしてみる。
エルフ流の家庭料理の味付けとか教えてもらえないかなーとか思いつつ、温野菜のために蒸し器をスキル《生産》で作ってかまどに設置。
野菜を刻もうとしたら、リラさんが手伝ってくれたのですごく助かっちゃった。
味見を担当してるライラさんは、にこにこしながら煮豆の鍋に塩をひとさじ加えてかき混ぜてから小皿によそって差し出してくる。
あ、美味しい。単品で食べるなら塩気がちょうどいいな。ごはんや食パンに乗せると少し物足りないかもだけど。
「香り付けや臭み取りのためのハーブなんかもあるから、次に作るときは試してみるといいわよ」
「ハーブなら、畑の一角を借りて何種類か育てているから、時間があるときに見に来てちょうだい」
ライラさんからは料理の課題をもらい、リラさんからは課題解決の手段をもらえることに。
ハーブかあ……。詳しくないから、いい勉強になりそう。
さて、食事を終えたら、《鉱山》に行く準備。
ログを確認して、(いつの間にか)契約した新たな仲間たちを召喚する。
・ラクシャーサの鬼一。
・オニの次郎と三郎。
・オーガの一太郎、二太郎、三太郎、四太郎。
・甜災大根ヤクシャ × 3
・大根ヤクシャ × 9
うわなんかみんなコワモテ。それに、大きい。
ラクシャーサやオニは名前が着いてるけれど、大根ヤクシャたちは名前が着いてないね?
まあ、今はいいか。それよりは、コボルトのジョン、メグ、竜人型のスケルトンゴーレムのゴスケさんたち1号から4号、ワイバーンのぐれ太、竜人型のリビングアーマー・ゴーレムのレーヴェ。
全部合わせると、戦力が一気に倍増した感じがするね。
新規加入組は空が飛べない子ばかりだけれど、強さとしては問題なさそう。
飛べるゴスケさんたちを連れていきたくなっちゃうけれど、畑の管理を任せているから今回もおるすばん。
一緒に《鉱山》に行くのは、ぐれ太とレーヴェ。あとは鬼一たちを現地で召喚かな。
さて出発、という段階になって、ステラとリンドくんも一緒に行くことになったので、ちょっと困る。
というのも、ぐれ太の背中に乗れる人数も限られているので、ゴスケさんに背負って行ってもらおうかと考えたところで、ミナトが木や鉄で籠や箱を作ったらどうかと提案してきたので、採用。即スキル《生産》で作ってみた。
・鉄のケージ + 6 : 耐久値上昇、自己修復、自動洗浄、重量軽減、空気抵抗軽減、振動抑制。
……なんか、想定外のスキルが色々追加されてるけど……。
ま、いいか。じゃあ、しゅっぱーつ。