第百三十四話:みんなで拠点へ
お昼前。もう少しでご飯の支度をしなくちゃならない時間になると、おねむだったちびっ子たちも目を覚ましてくる。
起きてた子たちはリンドくんが来て嬉しそうにしていたけれど、まだお腹が苦しい子が多くて、ころんと横になったままおしゃべりしていた。
お昼ごはんどうするか聞いてみても、要らないというよりはまだ食べれない感じだったので、先に《拠点》に行くことに。
といっても、どうすればいいのかまるっきり分からないので、ヤタにサポートしてもらいながらになるね。
ステータス欄から、《拠点》の項目を操作。《第二拠点》に設定した孤児院の方にホームポータルの子機を設置して、《拠点》へと接続する。
その際、《拠点》のどこに転移するかを決めるよう促された。
自動の場合は、拠点の建物外部周辺にランダムで転移先が設置される。
手動の場合は、拠点の建物内部のいずれかの部屋か、外部の任意の場所に転移先を選択できる。
自動で変なところに設置されても困るから、手動でやろう。
ステータス画面を操作して、拠点建物に地下を増設、そこにホームポータルの親機を設置。
せっかくだから、エルフの里に設置したポータルゲートの転移先も、地下のホームポータルにしようかな。
でも、そういえば、設置の許可には話し合いが必要なんだっけ。
あとでエルフの里に確認しに行ってみよう。
書簡を渡した報告もしなくちゃだしね。
『よし、転移可能になったぞ』
さて、ヤタからオッケーが出たからこっちの準備はできたけど、ちびっ子たちはどうかな?
「みんな、移動の準備ができたけど、動けるかな?」
まだお腹が苦しい子が何人かいるみたいだけれど、ミナト、トールくん、ステラ、ライラさん、リンドくんで手分けしてだっこしたりおんぶしたりしていくことに。
ボロだけど愛着のある場所からの移動に、今になってから不安になってしまう子もいたけれど、僕や年長組の子が手を繋いであげると、少し安心した感じ。
「じゃあ、いくよー」
みんなに声をかけて、床に設置された魔法陣に僕が真っ先に入って転移する。
転移先は、孤児院の方で操作して作ったばかりなので、さすがに知らない場所。
木製板張りの質素な倉庫といった感じで、部屋の中央に転移の魔法陣。
孤児院に設置したやつより立派な印象のこれが、ホームポータルの親機だね。
あんまりキョロキョロしてると手を繋いだ子たちが不安になっちゃうだろうから、あっちだよ、と声をかけてから階段の方に移動。
すると、すぐに魔法陣が光ってミナトが転移してくる。
「なあ、ミコト。魔法陣の上に誰か乗ってると、転移できないみたいだぞ?」
「あや? そうなの?」
そういって、すぐに魔法陣から退くミナト。
そうすると、ステラが転移してくる。
ミナトがだっこしてる子がぐずってるのが気になるけど、まずはちびっ子たちが休める場所を用意しないと。
次々と転移してくるちびっ子たちに、こっちだよと声をかけて階段を上る。
上がった先は、母屋のトイレ脇。廊下を右に行くと、両脇のドアというか引き戸がそれぞれ寝室で、ちびっ子たちの部屋はつき当たりに大部屋を新しく作って、そこにした。
ライラさんはちびっ子たちと一緒の部屋で良いみたいだけど、リンドくんはどうするのかな?
『よし、これで全員転移してきたぞ。次はどうする?』
まずは、ちびっ子たち全員を部屋に案内して、しばらく休むかどうか確認しようか。
転移したあとに具合が悪くなったりぐずったりしてる子もいるみたいだし。
「うーん? ヤタ? 具合が悪くなった子は、何が原因かな?」
『単純に、新しい環境が不安なんだろ』
うーん、慣れるまでは、時間が必要なのかな? でも、僕らは《鉱山》にも行かなくちゃならないし……。
「具合が悪い子たちは私が引き受けます。ミコトさん、年長の子たちをこの建物案内してもらえないかしら?」
ライラさんがぐずってる子たちや具合が悪い子たちを布団に寝かせてお腹ぽんぽんしてるうちに、すぐにすやすや寝息をたて始めたよ。
すごいなあ。




