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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2 第二次βテスト
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第百十六話:依頼

 お腹いっぱいになった子どもたちは、年長の子たちは片付けを手伝ってくれたけれど、年少の子たちは、ぐれ太とちょっと遊んだらそのまま一緒におねむ。

 丸まって休むぐれ太にピタッと引っ付く子たちや、しっぽを枕にする子もいて、なんだかほっこりな光景になってるよ。



 修道服のフードというか頭にかぶるあれを脱いだ院長先生……ライラさんという名前なんだって……と子どもたちを交えて少し話をした。


 院長先生は、ステラみたいな長い耳だった。

 ずっと前に《街》に出てきたエルフだったけれど、貧困層の窮状(きゅうじょう)に我慢ができなくて、族長のおじいちゃんエルフからも当時の街の権力者からも許可をもぎ取ってこの孤児院を建てて、身寄りのない子どもたちを少しでも保護しようと頑張っていたんだって。


 トールくんも、そんな身寄りのない子どもとしてここで世話になったみたい。

 でも、当時から年長組で6年も冒険者をやっていたって。


 ……で、ここまで話をして、ちょっと思うところが。


「院長先生、ちょっと相談があるんだけど」


「はい、ミコトさん。なにかしら?」


「あのね……」


 ただの思い付きだけれど、僕にも、ここの子どもたちにもメリットがある提案。

 けれど、それを、院長先生は。


「ミコトさん、ありがたい申し出だけれど、あまりお金は出さないでちょうだいね?」


「どうして?」


 院長先生の言葉に、どうしても納得のいかない僕は、つい問いかけてしまうけれど。


「ここの孤児院もね、本当はあまり安全ではないのよ。お金があることが知られてしまうと、強盗が押し入ってきてしまうの。今はここにお金がないから、強盗なんて来ないけれどね」


 院長先生の言葉に、言葉を失ってしまう。


 なら、お金がありそうに見えたら強盗が来るって言うのなら、外観には手をつけずに内装だけ直しちゃおう。

 スキル《修繕》を連発っと。

 ……うん、穴があった床もボロい壁も、ちゃんと直ったね。


「ミコト、ありがとう。孤児を弟子にしてくれる大工とかいないから、修理も補修も難しかったんだよ」


 えへへ。トールくんに感謝されるのが一番嬉しいね。

 院長先生や子どもたちも喜んでるみたいだし、これでいいんだよね。




 さて、10歳前後の年長組で冒険者登録してる子たちを連れて、またやってきました冒険者ギルド。


 中に入ると、あれだけたくさんいた獣人の人たちは誰も居なくなってた。

 その代わりに、依頼の完了や素材の買い取りを担当する窓口にはそれなりに人が並んでいた。


 冒険者登録と依頼の窓口には、ほとんど人がいない。

 うん、これなら、待つ必要がなくていいね。


「すいませーん」


「はい、冒険者ギルドにようこそ。登録ですか? 依頼ですか?」


「依頼を出したくて。この紙に書いてみました」


 受付嬢のお姉さんがにこやかに対応してくれたけど、どっちかっていうと、顔見知りのお姉さんの方が孤児院の子たちも安心じゃないかなと。

 ま、そんなことでわがままは言わないけどさ。


「……はい、……はい。必要事項がしっかりとまとめられていて、大変結構ですね。助かります。こちら、公開依頼としますか? それとも、通常依頼としますか?」


「この子たちの参加を優先することを条件に、公開で」


「報酬に回すお金の方が十分であれば、こちらに否やはありません。では、手続きが終了次第、公開依頼として周囲の冒険者にも声をかけさせてもらいますね。この依頼、承りました」


 お願いしまーす。と、必要な分のお金を革袋に詰めて受付のお姉さんに渡す。


「なお、参加者が規定数に達しない場合、余ったお金は返金されますので、ご安心を」


 そうなんだね。払いすぎてもちょっと安心。


「では、引き継ぎの後、私が案内させてもらいますね。……これの募集をお願い」


 受付嬢のお姉さんは、他の受付嬢のお姉さんに僕の依頼書を渡して説明してから、こちらへどうぞ、と案内してくれた。



「公開依頼です! 参加者募集! 内容は!」



 他の受付嬢のお姉さんが張り上げる声を聞きながら、地下への階段を下りていった。




・通常依頼 : 依頼表をボードに張り付けるだけ。冒険者ギルドとしては、呼び掛けなどは行わない。

 期限が設定されているものもあり、期限切れとなった依頼は剥がされる。



・公開依頼 : 冒険者ギルドの受付より、周囲の冒険者に参加を呼び掛ける依頼。

 人手が必要となる、規模の大きな依頼の際はこちらになる。



・指名依頼 : 依頼主または冒険者ギルドの方から、特定の冒険者に対して出す依頼。断ると罰則が課せられる場合もある。

 貴族など権力者からの依頼であれば、事実上の強制依頼になりやすい。



・強制依頼 : 条件付きながら、非常に強制力の強い依頼。断ると罰則が課せられる。

 魔物の大発生などに対応するために、強制で戦闘に参加させる依頼などはこちらになる。



・常設依頼 : 常時張り付けられている依頼。

 すぐに数が増えるゴブリンの討伐や、肉や皮や睾丸など常時必要とされているオークの討伐(素材の持ち帰り込み)、薬草の持ち帰り(根っこ含む周囲の土まるごと。ギルドが管理する薬草畑に植え替えるため)、鉱石の持ち帰りなどがある。



・塩漬け依頼 : 通常依頼で、特に期限が設定されていないものの、誰も引き受けるものがいないまま長く貼り付けられたままの依頼。

 報酬が安い、依頼達成までの期間が長い、長距離の移動がある、依頼の難度と報酬が釣り合わないなど、条件の厳しい依頼が多い。

 主に、トールが1人でさばいていた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  依頼を通じてお金を渡すってことかな?
[一言] >えへへ。トールくんに感謝されるのが一番嬉しいね。 ニヤニヤ( ˘ω˘ )
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