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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2 第二次βテスト
112/186

百十ニ話:冒険者ギルド長?

「お待たせしました。こちらが当冒険者ギルド長のザックです。私はお茶の用意をしてきますね」


「ザックだ。よろしく頼む」


 ナリエさんに紹介されたギルド長? は、三十代後半くらいの短髪で細マッチョなおじさんでした……。


 ……なんで上タンクトップ1枚なの……?


 ……威圧感……というか、存在感がハンパないのでちょっともう帰りたいですマジで。



 ……それに……。



「なあトール、このオッサン誰だ? 少なくともギルド長じゃないだろ。それに、壁の人物画の向こうにいるヤツは?」


 スキル《鑑定》を使った僕と同じように、ミナトも別人なことに気づいたみたい。


「ナリエさん、おれたち、なにか試されるような状況なんです?」


 さすがにトールくんはギルド長を知ってたみたいだね。


「……帰ろっか」


 不愉快ってほどじゃないけれど、なんだかめんどくさくなっちゃった。

 細マッチョなおじさんにおじいちゃんエルフの書簡を渡しちゃったらクエスト失敗になりそうだし、出直した方がいいのかな?



「……貴様ら、妖精とエルフの使者を(あざむ)くつもりか? そちらがそのつもりなら、エルフと人間との関係を見直す必要がありそうだな」



 おっと? ステラはこの対応が非常にお気に召さないみたいだね?


 ……まあ、僕もだけどさ。怒るほどじゃないけどね。



「あーあー、やめだやめだ。すまんな、お嬢ちゃんたち。俺の名前はダク。冒険者ランクは5。この《街》では上位の冒険者だ。……んで、そっちの絵の向こうで覗き見してる陰湿なヤロウがここの冒険者ギルドのマスターだ。名前はザック。……おいザック、お嬢ちゃんたちが本気で怒る前に出てこいや。これ以上は洒落にならんぞ?」


 わしわしと頭をかきながら、とてもめんどくさそうに偽マスターの本名ダクさんがネタばらし。


「だいたい、妖精様がわざわざ人前に姿を現した段階で、ちゃんと対応しないとまずいことぐらい分かんだろうがよ」


 ダクさんの言葉に続いて奥のドアから部屋に入ってきたのは、細身でメガネを掛けた神経質そうな男性。

 その視線はヤタに固定されていて、一度目を閉じて深呼吸したあと深く一礼した。


「妖精様、こちらにも事情はあったものの、試すようなことをしてしまい、誠に申し訳なく思います。平に、容赦を」


『謝罪はこちらの黒髪の娘にするがいい』


 ヤタはそっけない態度を取るけれど、自分の意思……というか、機嫌よりも、僕のことを優先してくれるみたい。


「エルフの少女よ、こちらにエルフと人間との関係を壊す意思はない」


「……ふんっ、どうだかな」


 ステラはご立腹だね。仕方ないとは思うけどさ。


「妖精と共に()る少女らよ、私の名はザック・バラン。バラン子爵家の現当主の兄にあたる。ここへ来た理由を聞こう」


 なんとも偉そうな態度がちょーっと気になるけれど、実際に偉いのだろうからそこはスルーしてと。


「縁があって、おじいちゃんエルフから人間の権力者に書簡を届けてほしいとお願いされたんだよ」


「いやおいミコト、ちゃんとしようぜ? エルフの長老からの依頼だ。……ところで、貴族の縁者なら、書簡を渡してもいいんじゃないか?」


 別にかしこまらなくてもいいかなって、事情を端的に話したら、ミナトからつっこまれちゃった。


「エルフの長老からの書簡だと……? ふむ、妖精様は、その場に立ち会ったのですか?」


『ああ。……貴様、この者たちを疑うか?』


 威厳がありそうな態度と口調のヤタに、ちょっと吹き出しそうになっちゃう。


「ただの確認ですので、悪しからず。その書簡を、私に渡してどうするのだ?」


「えっと……。……読んでもらう?」


「《街》の領主様を通じて、国王陛下と情報を共有したいというのが、エルフの長老のお考えのようです。そのための顔繋ぎとして、まずはギルド長にご相談をと思いまして」


 僕は渡して終わりだと思ってたけれど、トールくんのフォローでそれで終わりじゃないことが発覚。


「確かに、この街の領主は家督を継いだ我が弟ではあるが、その弟といえど、王都へ行き国王陛下と会うのは容易ではない。

 ……赤髪の少年よ、きみこそ私を試そうと言うのかね?」


「いえ。こちらの方が(ほう)(ぼう)の顔を立てることになると思ったまでのことです。ギルドマスターがエルフからの書簡を受け取らないとなった場合、気は進みませんが、伯爵様を頼るしかありません」


 トールくんとギルドマスターが、なにやら火花を散らしそうな雰囲気でにらみ合ってる?

 ……うーん? ギルドマスターは、書簡を受け取りたくない感じなのかな?

 それに、伯爵様って?


 二人の会話についていけない僕らは、黙って邪魔をしないようにするしかないんだけど……。


「…………はぁ、ことは緊急を要するのかね?」


「エルフの長老が使者を送り我らを里へ招き直に依頼してくる程度には」


「………………はぁ………………緊急事態ではないか………………」


 ギルドマスター、額に指当てて長いため息ついちゃったよ。


 ため息吐きたいのはこっちの方なんだけどなあ……。




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― 新着の感想 ―
[一言] こういう大人いるなあ( ˘ω˘ )
[一言]  んむう…。  嫌味な親父のせいで話が進まない…(^^;)
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