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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2 第二次βテスト
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第百十話:街に入る

「……兵長、その、アレは……?」


 衛兵のおじさんと連れだって街まで向かえば、完全武装の衛兵さんたちが……えっと、30人くらい。

 そのうちの1人がぐれ太を指さして愕然とした表情で言うけれど、アレ呼ばわりはないんじゃないかな?


「《薬草拾い》のツレだ。従魔登録を希望だとよ。さっさと手続きしてやんな」


 衛兵のおじさんが、なんか嫌そうにあごをしゃくってる。

 ……それに、なんだか、すごく注目されてる……?


「従魔の主はこちらの黒髪の少女です。ミコト、通行税を。従魔の登録は冒険者ギルドでやるから、その時にまたお金が必要になるよ。……あ、おれの分は冒険者登録しているから必要ないんだ。……で、この紙のここの部分に名前書くだけだよ」


 トールくんがあれこれ教えてくれているうちに衛兵の人が持ってきてくれた紙に羽ペンで名前を書く。……段階で、ちょっと分からなくなっちゃった。


 ……うーん? 日本語でいいの? 僕日本語しか分からないよ? ま、いいか。


 カタカナでミコトと書けば、紙を持ってきてくれた衛兵の人が数秒固まってしまうけれど、受理してくれたみたい。


「はい、それじゃあ、冒険者ギルドまで付き添うから。……じゃあ改めて。《街》へようこそ! ……あ、俺の名前はダル。よろしくね」


 衛兵の人に先導されて門をくぐる。


 ……でも、なんか、その、衛兵の人が僕やミナトやステラを見る目が、なんというか、やな感じ、なんだよね……。


「ぐれ太、頭ぶつけないように気をつけてね」


 衛兵の人の視線にビビってると、トールくんがぐれ太に注意を促しながら前に出て視線を遮ってくれた。

 僕やミナトは、その背中に隠れるように寄り添う。


「(ごめん、トールくん。ありがとう)」


「(すまんトール。あいつらの目、なんか怖い。衛兵だからか?)」


 頼もしい背中に小声でささやけば、


「(2人ともきれいで可愛いから、つい視線に力が入ってしまうんだよ。未婚の男性なら特に。あまり気にしないであげて)」


 苦笑と共に、そんな言葉が返ってきた。


「(あやや……。か、可愛い? 僕可愛い?)」


「(き、きれいなのはミコトの方だろ……?)」


 わぁ、わぁ、嬉しいなぁ。大好きな人から可愛いって言われるの、すごく嬉しいね。ドキドキしちゃうよ。



「でも、あまりにも近寄ってくるなら警戒してね? 街の中だと魔物のことは安心だろうけど、危ない人もいるから」


「そういう危ないヤツが近寄ってきたなら、俺たち衛兵隊を頼ってくれよな! みんな支給品の同じ装備だから、すぐに分かると思うぜ!」


 先導する衛兵の人がグッと親指立てて見せるけれど……。その、なんていうか……。


「ダルさん? その衛兵が、不審者みたいな目付きになってますよ? おれの家族に色目使わんでくださいよ。怯えてるじゃないですか」


「……いいっ? いやいや、俺は、色目なんて使ってないぞう? ……ははは、トールくんや、何を言っているのかね?」


 トールくんの言葉、僕らと接するときと違って、だいぶ砕けた感じだなあ。

 きっと、この衛兵さんと仲がいいんだろうね。

 ……でも、なんか、この態度とか見てると、その、なんだかなあって感じだよ。


「人間どもの視線が鬱陶しいな」


 心底嫌そうにステラが吐き捨てる。

 でもなあ、気持ち、分かっちゃうなぁ。

 なんかすごく注目されちゃってるし、ひそひそ話してる人に目を向けるとそっぽ向いちゃうし。


「ステラも美人さんなんだし、仕方ないよ。人間の街に来るってのは、こういうことなんだよ」


「び、美人とか、そういうのは、ミコトとミナトに言ってやればいいだろう!?」


「妖精様にワイバーンもいるし、どうしても注目されてしまうよ。こればかりは慣れてもらうしかないね」


 ステラも美人さんとか言われ慣れてないんだろうなぁ。顔どころか耳まで真っ赤だよ。


 むしろ、妖精さん(僕の相棒)ワイバーン(ぐれ太)の方が、興味津々にそこら中から見られてるけど堂々としてるね。


「ぎゃ♪」

(楽)


 あ、今のは楽しいって意味だね。


『人間どもが虫ケラみたいに()いてるな……。……ああ……鬱陶しい……。手当たり次第吹き飛ばしていいか?』


 僕の妖精さんは、どうしてキレているのかな?

 ダメに決まってるでしょーがっ!




《ワールドクエスト:エルフの長老の書簡を人間の権力者に届けよう》


 プレイヤー:ミコトに対しクエストを依頼。

 エルフの《領域》に侵入した《忌まわしき黒》の危険性を共有するための書簡を、人間の権力者に届けてほしい。

 報酬は前金で支払おう。よろしく頼む。

・依頼者:エルフの長老

・対象:エルフの書簡を人間の権力者に『確実に』届ける

・報酬:エルフの《樹宝》の苗各種と育成手二名





《クエスト:『街』に行こう》clear!


 第1次βテスター全員に対しクエストを依頼。

 第2次βテストに合わせて、各1次テスターは一度『街』まで足を運ぶように。

 冒険者登録に合わせて報酬を受け取れるように手配した。

・依頼者:運営

・対象:『街』に到達。

・報酬:前金:銀貨50枚、成功報酬:銀貨50枚。

・備考:すでに『街』に到達しているプレイヤーには、即時報酬が支払われます。



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― 新着の感想 ―
[一言] >「(2人ともきれいで可愛いから、つい視線に力が入ってしまうんだよ。未婚の男性なら特に。あまり気にしないであげて)」 わかる( ˘ω˘ )
[一言]  むーん。  ちょっと信用ならない衛兵sだなぁ(^^;)
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