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創世記~新たなる日々へ


これにて二章完結となります。

御付き合い頂いた皆様に心から感謝を。



             ~~~創世記~~~



異世界での死後、意識を飛ばされた四人は光以外何もない空間で突如肉体を得た。


生前と変わらぬ姿で転生した四人は異なる文化を持っていた為、肉体的な快楽を貪り合うだけの日々を過ごす。


厭きる事無く永遠と続く愛欲の中、彼等の放出した体液が砂粒に変化した事により、創造という新たな目的を見出した四人。


彼等の目前には、繰り返されて来た行為によって生み出された、見渡す限りの砂の大地が誕生していた。


最初にその砂を手に取った者は、砂に願いを込めると水に変化する事を知った。


最初に水を手に掬った者が顔を洗うと、その飛沫が大きな雲となって立ち昇り、空を形成して大地との間に大気が生まれた。


最初に砂と水を使って山を作った者は、その楽しさから多くの山と湖を作り出す。


最初に山に登った者は、目前に広がる雲の中に発生した雷から火を手に入れる。


しかし、全能の力を得たかに見えた彼等を以てしても、新たな生命を産み出すには至らなかった。


そんな中、一人の男が新たに転生する。


彼は言葉の通じない四人の中から一人の女を選び、二人で砂の大陸を西へと向かった。


辿り着いた西の果てで女から創造の手解きを受けた男は、女の体液と水を使って幾人もの水の妖精を創造した。


水の妖精達は母である女と目合い続け、女は土の妖精を産み続けた。


土の妖精は水の妖精を創造した男と目合い、雌雄一対の竜を産んだ。


そうして生まれた妖精達は東の果てに向かい、三人の転生者とあらゆる生命を産み出してゆく。


因って生命溢れる世界へと変貌を遂げた空間であったが、その弊害として弱者を喰らい、不浄を撒き散らすという摂理が生じる。


不浄の影響を受けた始まりの四人は急激に創造の力を失い、同時に永遠とも思われた若き肉体に老いが現れ始めた。


それを知った五人目の転生者である生命の創造主は、四人が朽ちても再度この地に転生出来る可能性を残す為、彼等に願いの大樹を創造させる。


そして四人は大樹の創造を済ませると、幾日かの後に朽ち果てた。


五人目の転生者は悲しみから一人西の果てへと戻り、その生涯を掛けて雷の妖精を創造した。


彼等の死後、大樹の傍に咲いた大きな薔薇の花。


その花は多くの力無き転生者をこの世界へと導くが、同時に多くの争いをこの世界に持ち込む事となる。


それを嘆いた妖精達は、この世界に産まれた生命が、大樹や枯れた薔薇の揺り籠に近付けぬ様巨大な結界を張り、人々を東の地から遠ざけた。


その際、自らの創造主である五番目の転生者と暮らした西の大地をも封印し、世界の心理たる根源の力を使い果たした妖精達は、人と共に行動せねば力を維持出来なくなる程、希薄な存在になってしまった。


唯一力を失わずに済んだ雌雄一対の竜は多くの子孫を残し、世界の秩序を監視する調停者としての役割を持つ事となる。


こうして創造の世は終焉を迎え、数多の人種による世界の統治が始まった。






――――アズーロ共和国/首都ライゼンハイマー/南西地区・臨時政府・代表官邸




『それで儂の所に来たという訳じゃな。』


「はい。ロミルダを救うには、聖地の結界を解かねばなりません。しかしながら、その方法は竜人族か妖精様の手に依る他無いと……。」


 

オム・ボンベイはイワン・ストリチヤナの前で片膝を付くと、頭を下げてロミルダの即時救出を請う。


イワンは困った様に頭をゆっくりと掻き、オムの肩を優しく二、三度叩いて立たせると、応接間のソファに座らせ、自身も向かいのソファに腰を降ろした。


 

『お主の聞いた通り、聖地には竜と妖精の一対しか入れぬ故、小娘を救うには結界の解除しかない。じゃが、その為にはどうしても確認せねばならぬ事がある。それを婿殿に依頼している最中じゃからの。それまで動くことは出来ぬのじゃ。』


「ですがロミルダが攫われて二ヵ月を過ぎています。彼女の体質を考慮したとしても……それ程の猶予は無いのではありませんか?」


『それもそうじゃがのぉ……。』


「ならばせめて私に出来る事を御教え願いたいのです。今回ロミルダが攫われたのは、私にも非があると自覚して居ります。ですから……。」


『まだ気にしておったのか……。お主が地下道を使って小娘を救出した事は失策でも過ちでもない。それに地下道を利用して襲撃して来た蜥蜴が、お主の行動を真似て利用したという確証も無いのじゃ。』


「ですが……。」


『今回の事は儂が注意を怠ったのが原因じゃ。相手の狙いを読み間違えた儂が悪い。じゃからもう自分を責める様な事はやめよ。のぉ、オム。』


「………分かりました。では、御聞きしたいのですが、師団長殿に頼んでいる事と言うのは一体何なのですか?それを待てば、本当にロミルダを救えるのでしょうか?」


『う~む……。それはちと言えんのぉ。これは妖精達との契約で、人に話すことは禁じられておる。じゃが、バルハーネが成そうとしておる事には時間も掛るのであろう。故にそれが成されるまで小娘が殺されるような心配はない。それにバルハーネには小娘を殺す様な事は出来んじゃろうしの。』


「どうしてそう言い切れるのです?」


 

オムの問いに、イワンは胸を張って笑みを浮かべる。



『バルハーネは悪事を働いて居るとはいえ、結局の所は竜人じゃ。竜人に目前の子供を手に掛けるなど出来ぬ。』


「ですが!」


『実際にこの地で騒動を起こした時も、各地で問題を起こした時もそうじゃ。子を殺すのが嫌で手下の蜥蜴にやらせておったんじゃろうな。竜人の子煩悩にも呆れたもんじゃわい。ほっほっほ♪』


「ではカール叔父さんのお孫さんを殺害した件はバルハーネの指示ではないと?」


『その件は既に婿殿の方で片付けてくれたわい。エリザヴェーナじゃったか?その女はバルハーネからウンダーベルク達を計略に掛ける為に雇われた人族じゃったそうじゃが、細かい指示は何も受けていなかったらしい。大体の話を聞き出した後、始末したそうじゃ。』


「殺したのですか?!」


『うむ…まぁお主の母が大層お怒りだったそうじゃ。自ら斬り殺すと言って聞かなかったそうでのぉ……婿殿の学友が騎士団に捕らえられる前に始末してくれた様じゃな。』


「……母が。……何かすみません。」


『最初は話を聞き出して騎士団に預ける予定じゃったんじゃが……身内じゃから怒るのも当然じゃろう。まぁ裁判にかけても時間が掛かるし、流石にカイラの手を汚させる訳にもいかんからのぉ。あとウンダーベルクの孫は救出された様じゃ。お主の実家に預けられておるから、暇になったら会いに行ってやると良い……まあ、暇になればの話じゃが……。』



そう言ってイワンは気不味い表情のままアーチ窓の外へと視線を向けた。



「如何やら私の出来る事は何も無いようですね……。」


『そんな事は無いじゃろう。』



オムの言葉にイワンは優しく反論する。



『小娘が戻った時、お主が傍におらねば寂しがるじゃろう♪』


「御戯れを。私は女性に興味はありませんよ。それに彼女は従兄妹です。その様な穿った見方はやめて頂きたい。」


『ほっほっほ♪まあもうすぐ会えるのじゃ、男前を磨いて待っておれ。』


「もうすぐ?それは一体……。」



オムの答えを待たず、イワンは再度窓の外、空に浮かぶ黒い塊に視線を向けて口角を上げる。


イワンの様子につられたオムは、自身も窓の外に目を向けた。



『漸く婿殿がやってくれた様じゃな。これで小娘を救いに行けるぞい。』


「……何ですかアレは?」


『聖地の結界を解く鍵じゃよ。婿殿への依頼が完遂したら此方に届ける様、文を出しておいたのじゃ♪』



嬉しそうに話すイワンを横目に、此方へ近づいて来る巨大な物体から禁忌に触れた様な悍ましさを覚えるオム。



「な、何なんですかアレ!……鳥肌が…気持ち悪い……。」



オムはその物体から放たれる禍々しい何かに中てられ、その場に蹲ってしまう。




『人にはちと厳しかったかの?』


「ですから…アレは一体……。」



『あれは三千年前に龍王とまで称された古の王。邪竜イグナートの胴体じゃ!』



嬉しそうに答えたイワンの声が、気を失う寸前のオムの頭に鳴り響ていた。





――――聖地ナハ・バイエ/大神殿/地下十二階儀式場・ゲーヒンノームの間




『……もう良いのだ…バルハーネよ。』


『何を気弱な事を!!漸く父上の頭部を救出できたのです!上手くゆけば胴体もこの地に転移させる事が出来るやも知れないのですよ!』


『……儂の愛しき娘よ。……それはもう叶わぬ。それは儂がここに居る事が何よりの証拠。……儂を捨て置き、この地から一刻も早く逃げるのだ……。』


『出来ませぬ!!それは……それは出来ませぬ!!父上を置いて逃げるなど……出来様はずもありませぬ…ううぅ……。』


『半妖のお嬢さん……迷惑を掛けた。償いは儂が受ける故……如何か馬鹿な娘の助命を頼めぬか……。』


「はあ……。」



巨大な首だけの竜にそう言われたロミルダは、複雑な思いで空返事をする。



『お止め下さい父上!!必ず私が御救い致しますから!!ですから――――』


『そこまでだバルハーネ。小娘から離れて投降せいっ!!』



バルハーネの言葉を遮る投降の勧告が部屋の入口付近から放たれる。



『何者だ!!』



バルハーネの問いは無視され、代わりに十数人程の足音が彼女を答えへと導く。


そこに現われたのは、イワンを先頭にした竜人族の精鋭十数名であった。



『御初に御目に掛かります。私は聖域の長老にして第七代調停者、イワン・ストリチヤナで御座います。龍王殿と御会い出来、誠に光栄で御座います。』


『ストリチヤナ……懐かしい名だ。……現調停者よ、迷惑を掛けた。』


『滅相も御座いませぬ。龍王殿は眠りに就いて居られただけの事。全ては龍王様の御息女が為された事で御座いますれば、調停者としての任を全うさせて頂きたく。』


『それについては……儂の頭部を聖域で実験材料に捧げる故……愚娘の命だけは助けてやって貰えぬか。』


『恐れながら龍王殿。御息女は聖域の調停碑文、第九条・第三項にある「宣戦布告の無い戦争行為の主導、及び扇動」の罪により、第一級戦犯の罪に問われて居ります。それ以外にも罪状が有ります故……助命と言うのは難しいかと。』


『ならば……緊箍児千年の刑を与え、そこな半妖の御嬢さんの為に働かせるでは駄目か?』


『緊箍児千年で御座いますか……三千年では?』


『間を取って二千……。』


『……二千五百で手打ちと致しましょう。』


『う~む……仕方あるまい……。という事だバルハーネよ。罪を認めて降れ。』


『………………何を勝手に話を進めているのですか父上!!!』



イワンとイグナートの会話にポッカ~ンとしていたバルハーネは、父からの言葉に激昂して槍を構えた。



『こうなれば刺し違えても貴様等を血祭りにしてくれるわっ!!!』



そう叫ぶと槍を肩に構え、イワンに向けて突進するバルハーネ。


その槍先がイワンの胸に迫ると同時、強烈な痛みがバルハーネの腹部を襲う。



『ぐえぇぇっ!!!』



呻き声を上げるバルハーネの腹部を、巨大な龍の尾による胴打ちが襲っていた。


その衝撃で後方へと吹っ飛ばされるバルハーネ。



『飲まず食わずで儀式に没頭しておったんじゃろ。気力も体力も疲弊した竜の娘など、猫を撫でる様なもんじゃ。諦めて投降せい。』



龍化させた尾を床に打ち付けながら、イワンは荒い溜息を一つ吐いた。



「イワン様……多分聞こえてませんよ。」



尻から壁に深くめり込んだバルハーネは、手足をダランとさせ、小さな呼吸音だけを漏らしていた。


そう言われたイワンは、肩の力を抜き頭を掻きながらロミルダに視線を向ける。



『遅くなったの小娘。仕込みに時間が掛かった……悪かったのぉ。』


「いいんです。でも……こわかったよぉぉぉ~~~うぇええぇぇん~~~。」


『分かった分かった。それよりアズーロでオムが待っておる。直ぐにライゼンハイマーに戻るぞ。』


「おねがいじまず~~~!うぇぇぇん!!」




『これにて一件落着!!か~っかっかっかっかっか~っ♪♪』




こうして大陸()()()()騒動は、イワンの手によって解決した。


この件に巻き込まれた全ての人々が、後に補償と賠償をバルハーネに求めた事で、バルハーネ及びイグナートの隠し財産で穴埋めする事となるが全く足りず、足りない分はイワンが穴埋めすると見栄を張った割には聖域の予算から勝手に持ち出した為、娘のアナスタシアから大目玉を喰らう事となったのは言うまでもない予定調和である。




――――アズーロ共和国/首都ライゼンハイマー/南西地区・臨時政府・代表官邸



「オム兄様……食べさせて、くだしゃい♪」


「フフッ、ロミルダは何時からそんなに甘えん坊になったんだい?」


「ロミルダはオム兄様に甘えたいのです!それはもう心も体も丸投げしたい程に!」


「分かったよ。はい、あ~ん。」


「あ~ン!……おいひぃ♪」



聖地から救出されたロミルダはここぞとばかり、オムに甘え倒していた。



「次はおさかな~♪」


「はいはい♪」



それはもう周りが見ては居られぬほどに。



食事を終えたロミルダはベッドの上で横になり、傍に置かれた椅子にオムが腰を降ろしたのを確認して問い掛けた。



「ところでオム兄様。」


「何だい?」


「ブリュンヒルデ様やダヴィド陛下達は御無事なのでしょうか?」


「それについてはハイネからの調査団がヤマトへ向かっているそうだ。近いうちに王達の動向が分かると思うよ。」


「そうですか……。」


「心配ではあるが、ロミルダもそろそろ首都の復興を指揮しなければならないんだ。その事は大人達に任せておけばいいさ。」


「そうやって子供扱いして~。ロミルダももうすぐ十三になるのです。後三年もすればオム兄様のお嫁様にもなれるのですよ♪」


「それは……そうだな。」


「何ですか!ロミルダが妻では不服だと申されるのですか!」


「いや、そういう事では無くてねロミルダ……。まあそう言った事はその時になったら考えよう。」


「全くもう……オム兄様の意気地なし。」


「あっはっは、参ったなロミルダには♪…あっはっは♪……はぁ……。」




――――竜の聖域/首都バラライカ/国際犯罪人収容所・地下拷問室




拷問室の十字架に、両手両足を拘束されたバルハーネは、ぐったりと首を垂れ、肩で息をする。



『どうぞこちらへ。』


『うむ。』



その拷問室へ、拷問官の案内でやって来たのはイワンである。



『……どうじゃ、バルハーネは恭順の意を示す様になったか?』


『今朝、百八回目の刑執行で漸く態度を改めました。多少早い気もしますが、これ以上やると狂う可能性もありますので、イワン様に判断頂こうかと。』



拷問官がそう言うと、イワンはバルハーネに近付き声を掛ける。



『恭順する気になったかのぉ、バルハーネよ。』


『ハァ、ハァ…もう…ゆるし、って…くれ…ハァ、ハァ……。』


『従うかと聞いて居る。従わぬと言うのなら……。』


『従うっ!!何でもする!!忠誠を誓う!!二度と逆らわねっ!!……だからもうっ……許して…ください……。』



バルハーネの叫びにイワンは眉を顰めて顎髭を扱く。



『……恭順と言うより……調教済みじゃないのこれ?』


『そんな事は無いと思います。イワン様の考案された「クジャクの羽で全身こちょこちょの刑 feat.拷問官五人ばーじょん」は受刑者の肉体を傷つける事も無ければ、薬や回虫を使った洗脳でもありません。それでここまで恭順させるのですから、流石は長老筆頭と呼ばれるに相応しい御方と尊敬致しております。』


『そ……そう?』


『それはもう。』


『うおっほん!…では、バルハーネの頭に緊箍児与えた後、長老院まで連行せよ。聖域裁判を始める。』


『承知いたしました。』




――――ギリンガ帝国/南部砂漠地帯・上空



「おおー!絶景だなー、エレン!」


「そうやって調子に乗って立たれては危ないですよ陛下!うわぁっ!」



オオワシ先生ならぬ、巨大なグリフォンの背に立ったブラッド・ブレーク・エールを諫めるエレン・フィッシャー。



「いいのか?エレン。お前はこれが最初で最後の空中散歩になるかもしれないんだぞ。楽しまないで何とする。」


「最後で良いですっ!!」


「何だ、エレンは高い所が苦手なのか?それならそう………ん?」



傍でグリフォンの背に必死でしがみ付くエレンを冷やかしていたブラッドは、後方から必死で追い掛けてくる鷹の姿に気付く。



「あれは……国境警備隊からの鷹文か?グリフォンよ、少し速度を落としてくれないか。」


『後ろの鷹であるな。娘、しっかり掴まっておれ。』


「えぇ!うおぉぉぉっ!落ちるーーーっ!!」



減速したグリフォンの背を転がるエレン。


そのまま頭の上まで転がり、落下した所をグリフォンが嘴でエレンの襟を挟んで捕まえる。



「はわわわっ!!」


『掴まっておれと言っただろうに……。』



グリフォンが減速した事で漸く追いついた鷹を、ブラッドは差し出した右腕に停まらせる。


その鷹の足に括られた文を解くと、右腕を上げて鷹を空に返した。



「何々……ほぉ……これは如何したものか……。」


「……な、何が如何したのです?」



必死にグリフォンの頭を攀じ登って帰って来たエレンは、怪訝な様子のブラッドに問い掛けた。



「いや、イワン様の手によってロミルダ代表は救出されたらしい。首謀者のバルハーネも捕縛したそうなんだが……私達に西の大山脈と接するガルデン王国へ向かって欲しいと書かれているんだ。」


「ガルデン王国ですか……。湖の多い風光明媚な国だと言われていますが……我等帝国とは国交が無いですよ。」


「どうすれば良い?」


「そうですねぇ……と言いますか、そもそもそれは誰からの文なのです?」


「ああ、これは妖精使いチャールズ・ギブソンからだよ。何処かで警備隊の鷹を拝借したんだろうね……。」


「チャールズ様から……この文面では意図が読めませんね。」


「まあここまでして連絡を寄越すのだから、それなりに何か意味があるんだろう。」


「先ずは帝都に一度帰りませんか?」


「何だ……怖いのか?」


「違います!聖剣様達が帝城で御待ちになられているのをお忘れなのですか?」


「ああ、フレデリックとセオドアか……。そうだな…バルハーネの件が片付いたなら二人の出番も無くなった訳だし、面白そうだからあいつ等も連れてガルデン王国に向かうか。なあ、エレン!」


「なあって何ですか?!私は行きませんよ!」


「そう冷たい事を言うな。何なら勅命を出しても構わんのだが……断れば死罪だぞ。」


「そんなめちゃくちゃな~!」


『もうそろそろギリンガの城が見えてくる。ガルデンに直行するか?』


「いや、一度帝城に寄ろう。後ろを飛んでいる君の兄妹達にも食事と休息をとって貰いたいからね。」


『それは有難い申し出だ。少し休ませて貰おう。』


「陛下聞いてますか!私は国境での書き物が溜まっているんですよ!」


「諦めろエレン!楽しい冒険の始まりだぞ!」


「……そんな~~~っ!!」




ロミルダを取り囲む環境は、事件解決を以て今まで以上に騒がしくなってゆく。


それは取り囲む人々も同じであり、またロミルダ自身も一人の少年によって様々な事に巻き込まれて行くのであった。




        第二章 捕らわれの姫と王子達の憂鬱  完



駄文御付き合い頂き、誠に有難う御座いました。


三章は準備中となりますが、開始までに数話のSSを挟みます。

再会の暁には、また御付き合い頂ければ幸いです。 

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