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森のクマさんの悪夢~家族愛とお尻愛


いつも御読み頂き、ありがとうございます♪




――――ロールシュ共和国/フルンの泉




「ここら辺で野営の準備に入りましょう。これ以上近づくのは危険よ。」



ヤサカが単眼鏡で泉のある方角を確認しながらそう言った。

件の泉に近づきすぎるのも危険なので、凡そ1kmほど手前で予定通り野営の準備に入る事を、後方で待機している『クマさん討伐隊』へと伝える為、御付きの女性騎士さん達に走ってもらう。


朝五時出発で、途中に休憩を挟みつつ6時間。

昼時だし丁度良いだろう。



「ラッセル、見てくれる。」


「形の良い大きな山が二つ見えます。」


「そうね………それはあたしの胸よ。そうじゃなくてあっち。」



取り敢えずのお約束を済ませ、ヤサカから手渡された単眼鏡を覗いてみる。

昨日聞いた通り、手前の森が邪魔で泉は見えない。



『泉はあの森の中なのです?』


「イリナさんは視力が良いのね~、そうよ。有史以前にあった隕石の衝突で、地下水が大量に噴き出したって考えられていてね、衝突で出来た盆地も周りの山脈も、その噴き出した地下水の影響で、ほぼ平らになって森になったと言われてるわ。今では水量も減って、泉は直径100m程よ。発見者の名前を取ってフルンの泉と呼ばれてるわね。」


―――害獣が出ないのであれば、良い避暑地になりそうですわね♪


『熊をぶっ殺したらバーベキューするですよ♪』

「………早く試し斬りしたい。」


―――毛皮は用途がありますから、最悪首をはねる程度に留めなさい。


「『はーい。』」



怖ろしい事を何でもない様に話すウチの面々に、苦笑いしたヤサカと目が合ったので、返事代わりに肩をすくめておいた。


まあ、元・超問題幼児であるユスラの実力を見る良い機会だとは思うけど、ヘラはともかくイリナの自信は何処から来るのやら………。

一応は武者修行的な事を言って故郷を飛び出した訳だし、学園では槍術の実技も受けていて、家族で狩りに行ったりするぐらいだから、それなりの自信はあるんだろうけど……保護者的には不安でしかない。



「イリナ、ユスラ。怪我とかしないでね。」


『心配無用なのです♪飛べない熊なんて家畜と一緒なのですよ♪』

「………今宵のユスラは()に飢えています。」


「家畜って………。てかまだ昼前だし………。」

『ワンッ!』


―――さぁ先ずは腹ごしらえです♪昼食が終わったら行動開始に致しましょう♪



何はともあれ、ヘラの言う通りに野営と昼食の準備を進める部隊の元へと戻る事にした。


100mほど後ろにいた部隊と合流して、交代で昼食を頂くことに。

因みに、ロールシュ兵士には獣人か亜人しかいないので、さも当たり前の様に肉々しいバーベキューでした。



心配事など何処へやら、和気藹々と昼食を頂いたんだけど………この時は、数時間後に訪れる惨劇を予想だにもしていなかった。







『どっりゃ~!』



イリナの掛け声と同時に『ドゴンッ』という鈍い音が、静かな森の中に響き渡る。

ユスラを威嚇する為に、後ろ足で立ち上がった3mを超えるであろうヒグマの頭頂部を、イリナが空からバールで殴りつけたのだ。



「……弱すぎますね。」



イリナの強烈な一撃で、頭蓋骨を骨折したヒグマがふらついた一瞬を見逃さず、その懐に飛び込んだユスラが、上段の構えから刀を一気に振り下ろす。


ヒグマの首元に吸い込まれた刀は、何の抵抗も無い様に鎖骨の間を真下へと進み、臍下辺りまで肉を切り裂いた。


着地したユスラは、残身の様で切り口を睨みつけていたが、ヒグマが倒れまいと踏ん張ったせいで、腹部から勢い良く飛び出した血と腸に塗れてしまう。


内臓ごと切り裂かれ、弛緩したヒグマは崩れる様にユスラの前に仰向けで倒れると、既に事切れた屍は、臓物を腹にぶら下げ何とも無残な姿を晒した。


ユスラの元に、翼を羽ばたかせながらゆっくりと地上に降りて来たイリナ。


二人は視線を合わせると頷き合い、傍らに転がった屍の腹の中へ、深々と無造作に両腕を突っ込むと、抱き抱える様に(はらわた)を抉り出した。


捻じれて引っ張られた小腸や肝臓、胃や肺に至るまで。


まだ温かさの残る、あらゆる臓物を抉り出しては無造作に、ドチャリ、ドチャリと地面に落としていく。


体中を返り血で染め上げ、少し荒い息をしながらも、ニヤリと口角を上げながら、目を細めて丁寧に腸を引き摺り出す二人の姿は、まるで地獄の鬼を思わせる。



『これで綺麗になったですよ~♪あっ、ユスラ、()()()()()()()()はそこらに埋めておくですよ♪』


「………タマタマは切り裂いてみても良い?」


『良いですけど、美味しくないですよ?』


「……食べないよ。中身が見てみたいだけ。」


「怖いわ。イリナとユスラの行動も会話も、さっきからメチャクチャ怖い。」


『はて?何が怖いですラッセル。』

「………心外。これは研究です。」



最初の内は良かった………。

脳内実況してても「あ、そういえばイリナは飛べるんだった♪」とか「ユスラは思ってたよりも刀の扱いが上手いんだな~♪」とか、何だか楽しい感じで関心してたのに。


二人の目つきが変わり始めたのは………3匹目辺りだったか。


それまでは返り血も殆ど浴びてなかった二人が、ヒグマの首を斬り飛ばした勢いで吹き出した、大量の鮮血を浴びてから可笑しくなった。


とはいえ精神的に可笑しくなったとかでは無く、只単に返り血で汚れる事を気にしなくなったのだ。


槍で頭部()()を力任せに殴りつけ、刀の切れ味を楽しむ様に腹()()を裂き、泥遊びでもしている様に腸を抉り出す……。


そうして8匹目の犠牲者であるオスのクマたんは、先程の残忍な脳内実況そのままに解体されて行き、イリナとユスラに至っては、些か殺戮を楽しんでいる様にみえて………。


まるで昔あった可愛い人形が殺戮を楽しむホラー映画の様である。


それにキンタマ切り裂くってどういう言葉だよ。

周りの騎士や兵士も内股になって怯えてるじゃないか。


イリナとユスラを殺戮マッスィーンにする訳にもいかんし………これは教育上宜しくないな。



「とにかく、ヒグマといってもこっちの都合で命を奪うんだから、遊び半分で殺しちゃだめだよ。後で食べるんだったら尚の事、頂く命に感謝しなきゃいけない。二人とも分かった?」


『分かったのです。クマさん………後でヤキニクにするですけど許してほしいのです。』

「………美味しく食べるからゆるして、クマ。」


―――イリナ、ユスラ………。熊は鍋が一番ですよ♪


「ヘラ様、御言葉ですがハツとレバーは串焼きが一番だとムネチカが申しておりました。」


『あと少し、頑張るですよユスラ!』

「今宵の()()()()()に飢えてる。」



ヘラさんまで………まあツッコミたい気持ちもあるけど、ここまで行くと俺一人では手に負えません。

一応は惨殺しないという事で納得してくれただろうし、今はこれで良しとしておこう。



そうして十匹と言われていたヒグマ、実際は十二匹だったけど、無事に討伐が完了する頃には完全に日も暮れていた。







『冷たっ!水が冷たすぎるですよ~。』


「湯を沸かしましょうか。」

「………綺麗な石がいっぱい♪」


―――そうね♪



ヒグマの解体作業が終わり、泉の周辺の安全確認も取れたところで、水浴びと夕食という流れになった。

仕方ないので俺自ら率先して大鍋で湯を沸かし、泉の水と熱湯を混ぜてぬるま湯を作る。



『ラッセル~、背中拭いてほしいのですよ~♪』



ぐふふっ、まあ目的は三助になる事なんだけどね♪



『ハァ~♪背中ゴシゴシ気持ち良いですよラッセル~♪』


―――あなた~♪背中とお尻、お願い致します~♪


「はいはい♪ただいま~♪」


「ほぉ、家族の背中を流してあげるなんて感心ね。あたしもお願いしようかしら♪」


「少々おまちを~♪」


「………。」



最高やん。

天職かも知れん。

いや、ここが天国なのか。


まるで大きな果実が実った様に、たわわで張りがあるティアドロップ型のイリナも、大きさ、形、張り、柔らかさのどれもが至高の釣り鐘型であるヘラも、とにかくデカいヤサカも、全くもって怪しから~ん♪


まあ俺的には美乳の代名詞であるお椀型よりも、釣り鐘やティアドロップの方がリビドーを刺激されるっていうか、卑猥な果実感が何とも………。



「………顔、キモイ。」


「ハッ!!」




――――里奈ちゃんへ


こっちの世界に来てから初めて女の子にキモイって言われました。


前世では日常的に女の子から言われていた言葉なので、特に気にもしていませんでしたが、流石に5歳の女の子に言われたのは初めてで、正直なところ死にたいです。

こんな日は里奈ちゃんがくれた、愛情たっぷりな鞭でのお仕置きが恋しくなります。

長い方のやつでお願いしたいです。


いつか再会出来たら、僕のお尻に無双してください。



追伸


前から言いたかったのですが、僕のお尻にピン球を挿入しようとするのはやめて欲しいです。







夕食後、夜明けには後方待機していた部隊が来てくれるので、今夜は泉の傍で休ませて貰う事にした。

泉の中にある隕鉄の回収は、後方の部隊と合流してからになる。

夜だし暗くて見えないからね。


翌日の予定を頭の中で整理してたら、お子ちゃまボディの俺にしては珍しく、眠気がどっかに行ってしまい、ヘラと一緒に泉の傍に座って、まったりと景色を眺めている。



「ヘラの言った通り、特別な準備も無く討伐出来ちゃったね。」


―――イリナとユスラは、その生まれや特性もあるのでしょうが、既に人の範疇を越えています。野生動物等では、あの二人を傷つける事は難しいでしょう。


「でもそれ以上の脅威になる存在っていないんでしょ?」


―――人の敵は獣ばかりではありません。争うという意味では、同族さえも敵になり得ますから。


「そうれは……そうか。」



確かにヘラの言う通り、対立関係になれば人間が相手になる。

それこそ罠を張って隙を突き、知略を使って襲い掛かって来るのだから、獣に比べて何倍も厄介だろうし、戦闘になったら殺し合いになる訳で………あまり気乗りしないけど、遺体は見慣れておかないとダメなんだろうなぁ………。



―――ですが、ユスラには師が必要かもしれません。


「まだ強くさせるってこと?」


―――剣術にしても粗削りな部分はあるのでしょうが、技以上に大切な心を養わなければなりません。今のままでは、人も獣も同じように斬り捨ててしまいます。


「ふむ、心の教育ってやつかな?」


―――はい。齢五つであの強さ。あのまま放って置いては、斬り捨ててしまった命の重さに、孰れ悩み苦しむ事にもなるでしょう。それらの教えを与えてくれる師の存在が、今の彼女にとって最も必要かと。


「ユスラの師匠になってくれそうな人ね~。分かった、王都に帰るまでに考えておくよ。ありがとうヘラ♪」


―――家族の事ですもの、礼には及びませんわ♪



その後は少し甘い時間を二人で過ごし、テントに戻って休む事にした。







早朝にゾロゾロとやって来た、後方支援部隊の皆さんと雑事を済ませ、早めの昼食の後、グローシュへ帰る為に馬車へと乗り込む。


勿論、当初の目的である隕鉄も、これでもかってぐらい拾っておいた。

ムネチカからの依頼分以外は、学園でも何か作って貰いたいからバーネットやソフィアへの土産にする予定。


しかし、ユスラの師匠ねぇ~。


そもそもユスラより強いか、刀の腕が上で、尚且つ人格者となると………。


まあ今のところ一人しか思い浮かばないから、グローシュに戻ったらヘッドハンティングしてみるか。

こうも御都合展開で知り合った訳だし、昨夜のヘラの助言もそういう事なんだろうと、俺は読んでいるというか察しているつもりだ。



帰路に就く馬車の中、大きなお尻に揺れる黄色い尻尾を愛でながら、口説き文句を考える。


その御蔭で何とも艶めか……もとい、悩ましい移動時間を過ごす事となったのは言うまでもない。



お尻、良いですよね~(笑)

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