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鍛錬2

あれは中学の頃だったか。

音楽に傾倒していた私はどうすればより深く味わえるのかを考えた。


考えた末思いついたのは余計なものを削ぎ落とすという事。

入ってくる情報を音楽のみに出来ないだろうか。


人間の五感のうち最も情報量が多いのは視覚。

そこで夜に電灯を消し部屋を暗くしてみた。


そこで初めて気づくのは、意外と明るい。


窓のカーテン越しに月明かりが滲む。

オーディオの電源ボタン。


幸い私の部屋は出窓で面積が小さかったので、厚手の布で目張りをした。

電源ボタンも塞いだ。


次に聴覚。

機械というのは電源が繋がっているだけで内部のモーターなどの駆動音がする。

オーディオ以外の全ての電化製品をコンセントから抜いた。


真っ暗な部屋で目を閉じる。

目を開ける。

違いはない。

完全な闇になると思っていたが、白く細かい光の粒子のようなものが目に広がる。


予想との違いはあるが、私なりの完璧な状態を作り上げた。


そんな中で音楽を聴く。


ふと思いつき、音楽から情景を思い浮かべようとした。

そうすると、その情景が見えた。


実際には視覚がない事で、想像と視覚の区別が曖昧になったのだろう。

でもその当時の私の感覚としては、確かに『見えた』のだ。




久しく忘れていたが、私は今と同じような状況を作りだし、想像で『見る』事を経験していた。

思い出してからは容易に『見る』事が出来るようになった。


想像の範囲ではあるが、私は『視覚』を獲得した。


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