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境界線  作者: 薙月 桜華
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第四十三話  海と海の間

   第四十三話  海と海の間


2237年 冬 西アジア


 僕らはあれから北へ歩き続けた。すると、僕らは海に出ることが出来た。その海を右手に海岸を歩く。海を見ているためか安心感がある。水分がそこにあるからだろうか。とは言っても、飲めるかどうかという問題になると、無理だと思う。

 海岸を歩き続けると、大陸の端に到着した。

 大陸の両側を海が挟み、大陸間に海峡がある。このことは地元の人に聞いた。町が海峡を挟んだ両側にあり、移動が面倒だと聞く。昔は二つの大陸を結ぶ二本の大きな橋が架かっていたが、二つとも壊れてしまい。今は船で渡る方法しかないらしい。

 眼前に見える海峡を見ると、橋を架けるには長すぎるんじゃないかと思う距離である。

 僕らは反対側の陸へ渡る船を探して歩き出した。

 海岸沿いに歩くと一部が浸水している建物がいくつかあった。浸水するような建物を建ててほしくないものである。しかし、昔からの建物のようなので、海の水位が上がったということなんだろう。ならば、水位が上がっただけ陸地を飲み込んでいるということになる。

僕は反対側の陸を見た。昔はもっと陸と陸の距離が短かったのかもしれない。だから、橋を掛けることが出来たのだと思う。どこまでも、僕の勝手な推測だけど。

そんなことを考えていると、船着場を発見する。僕らはそこへ向かった。

「すみません。」

僕は、船に乗って何やら作業をしている男へと声を掛けた。

「なんだ。何か用か。」

 船から僕らに向けたその顔を見ると、あまり機嫌の良い状態じゃないことは理解できた。それでも、頼まなきゃ向こう岸には渡れない。

「あの、お願いがあるんです。」

サヤが男に言った。そして、続ける。

「船で向こう岸に連れて行って欲しいんです。」

「なんで、お前らを連れて行かなきゃいけねぇんだ。嫌だね。」

男は不機嫌そうに答える。そして、男は作業に戻った。

「そこをなんとか。お願いします。」

僕はそう言いながら、サヤと一緒にお願いした。

「ふん。まあ、いいだろう。」

 男は僕らを見て言った。そして、男は続ける。

「乗せてやる代わりに、お前らも船を漕ぐんだ。しないなら乗せねぇぞ。」

良かった。連れて行ってもらえるようだ。漕がなきゃいけないのは辛いけど、乗せてもらうんだから仕方がない。

「漕ぎます。乗せてください。」

 僕は男へ言った。

「しゃあねぇな。もうちょっと待ってな。」

男はそう言うと、船に視線を戻して作業を再開した。何か故障でもしたのだろうか。僕らは良くわからないので、その場に突っ立っていた。

「終わったぜ。これで向こう岸に行けるぞ。」

男は額を流れる汗を右腕で拭いながら、僕らのところにくる。そして、続けた。

「約束どおり。お前らにも漕いでもらうからな。」

男の言葉に僕らは頷く。それから、僕らは船に乗って陸を離れた。

船を漕ぐことを止めて、海水を触れてみた。海水は冷たくて気持ちいい。

「おいそこ。しっかり漕げや。」

 男の声で、僕は再び漕ぎ始める。

「しっかりしなさいよね。漕がないと着かないわよ。」

サヤが僕に強く言う。ちょっと怒っているのかな。

「おい、兄ちゃん。女を怒らせないほうがいいぜ。」

男は僕を見て言う。その顔は笑っている。

 反対側の陸が見える程度の距離のために、漕いでも漕いでも着きませんよということは無かった。漕いだだけ進んで、もうすぐ向こう岸に着く。

そして、僕らは反対側の陸に着いた。疲れたためか、陸に上がると座り込んでしまった。

「お疲れさん。漕いでくれてありがとうよ。」

男は僕らにそう言いながら、船に乗っている僕らの荷物を陸に下ろしてくれた。

「あ、すみません。そんなことまで。」

僕がそう言いながら船に近づくと、男は僕らの荷物以外の荷物も陸に下ろしていった。男は僕らと一緒に荷物を運んだらしい。機嫌の悪いときに乗せてもらえただけでもいいと思うことにしよう。

僕らは男に礼を言うと、その場を離れた。空を見ると、太陽が傾きだしていた。

この町にはいろいろな建物がある。しかし、これまで見た建物の形とは違うようだ。日本からここまで来ることによって、地域によって建物の形が違うことがわかった。それはその場所特有の何かが影響を与えていたり、文化や昔起きたことが影響しているのだろう。昔起きたことと言っても何が起きたかなんてわからないんだけどね。それも、きおくを見れば解るかもしれない。

海沿いに大きな建物を発見する。傍に居た男性に話を聞くと、この建物は宮殿らしい。今では水位が上がって浸水してしまっている。

「きゃ、冷たい。」

 サヤの足が海水に触れたようだ。足をすぐに引っ込めた。

昔は地面の高さよりも水位は低かったようだ。浸水した地面に触ると、肘の少し手前まで水に浸かってしまった。

僕は、陸地を見る。浸水してしまった建物には住めない。だから、人々は陸へと移動していったようだ。

南にある旧市街には、他にも建造物があると聞いた。ひとまず浸水していない建物が見たいので行ってみることにした。

僕らは、男性にお礼を言うと南へと向かった。

南に向かうと、橋が架かっていた。こちらには橋があるようだ。

渡っている間に崩れ落ちたらとちょっと思ったが、難なく渡りきることが出来た。橋を渡りきった場所が男性の言っていた旧市街のようだ。

僕らはぐるぐるとあたりを歩いてみた。すると、大きな建物を見つける。それを見たとき、何かに似ていると思った。ああ、思い出した。何時か見たタージマハル廟に何処と無く似ている。それは、屋根が半球になっていたり四本の柱が立っているからである。

また歩くと、同じような建物を見つけた。こちらは赤く色づけされた壁が目を引く。

他にも建物があったが、それぞれの建物は何か根本的な部分で共通しているように思えた。

そして、僕らは目にした。良くわからない建物を。それは大きな灰色の壁のようにも見えた。聞けば、水道橋というらしい。どこをどう水が流れているか、気になるところだ。何人かがその水道橋で作業をしている。大分昔に使われなくなったようだが、補修工事をすることで再び利用出来るようになったと言う。昔の人の技術も、こうやって再び人々のために利用されるのは悪いことじゃないと思う。先人の知恵に感謝しつつ僕らはその場を後にした。

これから、再び西へ向かって歩くことになる。ヨーロッパはもうすぐだ。そして、目指す地もあと少しだ。

僕は西を見てそう思った。太陽が西へと沈みかかっていた。

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