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境界線  作者: 薙月 桜華
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第四話  自由のとき

   第四話  自由のとき


   2236年 ロンドン


私たちは施設を出たあと。一人の男に声をかけられた。

「あの施設に行ったんだろ?」

「だったら何。あんた誰?名前は?」

マヤがすかさず言い返す。

「…。レイスだ。名乗ったのだからお前たちも名乗れ。しかし、声は落とせ。」

理由はよく分からなかったがひとまず声を落として

「セイジだ。」

「私はマヤよ。」

それぞれが名前を言っていく。

この島の施設にミナを追いかけていったときに感じた視線ってこれだったのかもしれない。

「施設の記憶を見たんだな?」

彼はセイジとマヤに近づいて、小声で言った。

言い終わったあときょろきょろ辺りを見ている。

そこで、今の状態を二人はを把握したが

「私たちって、もう尾行されてるのね。あんたに」

マヤは言ってやった。

「ち、ちがうよ。俺じゃなくて。いや、俺もそうだけど。いや、…ああ」

レイスは反論できなくなった。

ひとまずレイスも私たちを見ていた。それは確認できた。

無言でレイスは歩き出した。周りに注意を向けながら。

セイジとマヤはひとまず付いていく。

「じゃあ、なんであんたは私たちを見てたのよ。」

歩くレイスへ言葉を投げかける。しかし、小さな声で。前を向いたまま。

「あんたらがあそこへ向かうのを見た。知らないのか?記憶を見たものには漏れなく尾行が付く事を」

「そうか。知っている。しかし、もう付いているのか。」

セイジは後ろを少し見てみる。何か居ることは感じたが何処にいるかまではわからなかった。

「そうだ。それと、お前たちはこのまま帰るのか?もしよかったら、俺たちとともに戦わないか。あの国と」

彼の「俺たち」に二人は反応した。

「俺たちってことはあんたの他にも居るのか。」

セイジは思わずルイスの方を向いて大声で言ってしまった。

ルイスはセイジのほうを驚いて見たが、すぐに前を向いて言った。

「ああ。みんなきおくを見た奴らだ。」

「二人は無理でもほかに居るのなら…。ねぇ、セイジ。」

マヤはセイジを見る。

「そうだな。ひとまずあんたらの所に連れてってくれ。話が聞きたい。」

セイジがそういっているうちに海岸に着く。

しかし、私たちが来た時の船は当然無い。どうする。

ルイスは立ち止まらず海岸沿いに歩きながら言った。

「向こうに船がある。それで向こうの陸まで連れてってやる。」



小さな船に乗り島を離れて漕ぎ出す。

行きは漕がなくても済んだが、今回は漕ぐことでセイジは寝ることもできないだろう。

船には弓と矢が載せてあった。何に使うのだろうか。しかし、その答えはすぐにわかった。

「来たな。尾行している奴だ。」

さっきから島のほうを見ていたルイスが言った。二人も漕ぎながら後ろを見る」

一定時間毎に何かが海面に上がってくる。人か?

「悪いが二人で漕いでくれ。俺が奴を仕留める。」

ルイスの言葉に二人は相手が尾行していた人間だとわかった。しかし、仕留められるのか?

「ゆっくり漕いでくれ。進んでいるか居ないかでもいい。形だ。」

ルイスはそういいながら船の後部に座り。船に乗せていた弓と矢をとり相手が近づいてくるのを待った。

相手はこちらがゆっくり漕ぎ出した所を確認してゆっくり泳ぎだした。

そして、再び潜ったところを目で確認すると、ルイスは素早く立って弓を引いた。ルイスが船の上で立ったもののそれほどゆれることは無かった。慣れているのだろうか。

ルイスは相手が息継ぎのために頭を出すその瞬間を待っているようだ。

相手も気が付いたのかどうなのかなかなか上がってこない。

しかし、この海は透明とは言わないまでも海面近くは何か居ることだけは認識できる。

ルイスは相手を確認し、狙いを定める。

相手は海中を急いで泳いで船から離れるも息がもたなくなり海中に頭を出した。

その瞬間彼の頭に矢が命中する。

「あ、あんた何者?」

マヤはその瞬間を見て思わず声が出た。

「す、凄い。」

セイジも同じようだ。

「漕ぐのを止めてくれ」

ルイスは口ではそういっているが次の矢を構えていた。念のためにもう一本当てておくらしい。もう良くないか?

そしてもう一度放つ。

見事に命中する。二人はルイスの弓の腕に恐ろしさを感じた。

「悪いが近づきたい。手伝ってくれ。」

そういうとルイスは弓を置いて、船を漕ぎ出した。

仕留めた獲物を船にあげる。魚ならまだ良かったと思えた。

ルイスは刺さった矢を無理やり抜く。抜いた後から血が勢いよく噴出す。いいところに当たったらしい。それから、持ち物を調べた。

しかし、特にこれといって持っていなかった。

「やはり何も無いか。」

ルイスはそういうと仕留めた獲物を海に落とそうとした。

「ちょ、ええ。」

セイジが反応する。

ルイスは捨てた後二人を見て言った。

「多分、俺が居なかったら代わりにお前たちが殺されて海に落とされてたかもな。」

ルイスは笑っている。なんて男だ。

「そうでなくともきおくをしゃべればその場で殺される。仲間が待つ場所へは奴は連れて行けないさ」

マヤは口を開こうとしたが、もう無意味なのでやめた。

「ひとまず、お前たちは自由になったそれでいいだろ?」

ルイスは二人に問いかける。

「そうだね。」

セイジは言った。マヤも頷く。

実際そうなのだから仕方が無い。

「さぁ、漕ごう。まだまだ陸は遠いぞ。」

ルイスはそう言い。セイジとマヤも漕ぎ出した。

尾行開始初日に尾行終了日が来た。その点に関しては二人ともうれしい。

しかし、殺しておいて相手側に発覚しないのだろうか、何かしてこないのかなどと考えながらマヤは漕ぎ続けた。

空を見ると太陽が西へ傾き出していた。

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