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境界線  作者: 薙月 桜華
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第三十二話  緑無き丘

   第三十二話  緑無き丘


2237年 秋 南アジア


金色の町を出てからしばらく経つ。目の前には川があった。しかし、その川は今にも枯れて川としての機能を果たさなくなりそうだった。

渡る為の橋など近くには無く。僕らはそのまま川を渡ることにした。

川に踏み込むと、体重で足が砂の中に埋まる。

水分を含んだ砂らしい。向こう岸に行くには面倒そうだ。

足が砂だらけになりながらもなんとか川を渡った。

渡りきるために力を使ったためかその場に座り込んでしまった。

一緒にいるサヤも渡りきると地面に座り込んだ。

二人とも座って、今渡った川を見る。

「久しぶりの水かと思ったら、ほんの少ししかないな。」

僕は少し息が上がっていた。水を含んだ砂というのは意外と重い。無駄に体力を使ってしまった。

「砂って乾いていても水を吸っても厄介なのね。」

サヤは今渡ってきた川の道を見ながら言った。

僕らはしばらく休むと再び歩き出した。

そのまましばらく歩くと真っ直ぐに伸びた道を見つけた。しかし、この道はおかしなことに近くの道に繋がっていない。

それに、何か堅い材質で道は出来ていた。

サヤがその得体の知れない材質で出来ている道を足で踏みつけている。それを止めると地面に向かって拳を振り下ろした。

土ならどんなに固くてもそれほど痛くないはずだ。

「痛〜い。」

サヤは拳をさすりながら唸っている。。

本当に痛そうだ。とりあえず土じゃないことは確かだと思う。。

僕らはその堅い道に沿って歩いてみることにした。

歩き続けると、道の反対側も同じように他の道とはつながって居なかった。この道はなんのために出来たのだろうか。そして、この道は何で出来ているのだろう。

気になるが誰に聞くことも出来ないので、目の前に見える道へと歩いていった。

その途中、ふと左側を見ると、いくつかの建物が見えた。

「あれ。あれって村じゃないのか。」

僕は立ち止まってサヤに言う。

村だろうか、村なら人がいるかもしれない。

サヤも僕が見る村を見て言った。

「村かもしれないね。」

そして、僕を見て続ける。

「行ってみる。」

その言葉は疑問形で、僕へ聞いてきた。

「行ってみよう。」

僕らは方向を変えてその村へ行ってみることにした。正直村であるとは言い切れない。だけど、村だったら人がいるわけだから休めるかもしれない。

僕らは先ほどの川を渡った疲れを体に感じながら村らしき場所へと歩き出した。



道を真っ直ぐ行くことで、先ほど見えた村らしき場所に着く。道の両側に住居らしき建物はあるもののそれぞれが長年使われていないように見えた。

実際に人が居るか確認したところ僕ら以外の人間は見つからなかった。

「人なんて居ないね。」

サヤが僕を見て言った。

「そうだな。」

僕はそう言いながら、村を通ってなお続く道を見た。

そして、まだ続くその道を見ながら僕はサヤに言った。

「この道をもう少し進んでみよう。何かあるかもしれない。」

僕はそう言い終えるとサヤを見た。

サヤは僕へ向かって頷いた。

「そうね。行ってみましょう。」

僕らは村を抜けてその向こうへ行くことにした。

何かあるかもしれない。そんな気持ちだった。

村を抜けてしばらく歩くと道が四本に分かれていた。正面に二本と左右に一本づつ道がある。

正面よりちょっと右手には何か建物らしきものが見える。僕らはそこへ行ってみることにした。

少し曲がった道を歩きながらその場所へと近づく。

近づけば、建物全体が小さな四角い石を積み上げて出来上がっていた。前にもこのような小さな四角い石を組みあわせて建てられた建物を見たような気がする。

その小さな石は見渡す建物全てに使われていて、一体どのくらいの石が使われたのかと考えてしまう。右を向けば塔のような建物が見える。石が高く積み上げられたものである。見える範囲の建物はみんな白く砂の色をしている。

そういえば、先ほどから木々が全く見当たらない。これまでそんな地域を歩いてきた。だから、無いことが当たり前だと考えてしまっているのかもしれない。川が近くにあったので、もしかしたらと少しは思ってしまった。

今見ている建物だってそうだ。木々が周りには見当たらない。全く砂と石しか見えない世界だ。こんな世界で人間が生きられるのだろうか。そう考えてしまう。

目の前には門のような部分があり、中に入れるようだ。僕らは入ってみることにした。

入ると外からは見えなかった部分が沢山見えた。まるで迷路のような形に建物は作られており、どう行けばいいかよく分からない。

サヤは辺りを見回している。

中を少し歩いてみると左に階段がある。それは今居る高さよりも低い位置に繋がっていて四角い空間を作っている。

サヤは僕が見るこの空間に気が付いたようで、階段を下りてその空間の中に入っていった。

サヤはそこでぐるぐると動き回っている。僕はサヤが何をしているのかはよく分からないので気にしないことにした。

僕はこの空間をしばらく見ていたらふと思いついた。

この空間は水を大量に入れたら水浴び場にでもなりそうだと思った。いや、実際そう使われたのかもしれない。それ以外に使用するとしたら何か品物を置いておく倉庫かもしれない。とはいっても倉庫ならばもっと大きいものだと思うし、日が当たる場所にあえて作らないのではないだろうか。まぁ、石で造られた部分しか僕らは見ていないので正直何に使われたかは分からない。

仮に水浴び場だとして考えてみる。その場合は周りに水の手に入るところはあるか。先ほどこちらに来るときに見えた川が考えられた。

今は少ししか流れておらず。砂に水分を与えて厄介なものにしているだけだろう。しかし、昔はもっと水が流れていたのかもしれない。

その水を運んできて使っていたのかもしれない。

「お〜い。大丈夫。」

いきなり声が聞こえてきて、一人で考えることを止めた。

「んあ。」

声が間抜けだった気がするけど気にしないことにした。

そして、すぐに聞こえた方向を見る。

まぁ、この場所で話しかけてくるのは一人だけだろう。

いつの間にかサヤが隣に居た。階段を下りて下にある空間をぐるぐると歩き回ったあと、飽きたので戻ってきたらしい。

そしたら、僕の思考がどこかへ行っていたので引き戻したとの事。

そんなに考えていたのだろうか、それともサヤが僕が思ったよりも早く飽きて戻ってきたのだろうか。

ひとまず残りは歩きながら考えよう。

僕らはそのまま入ってきた方向と逆の方向へと進んでみた。相変わらず目に見えるのは小さな石が積み上げられた建物ばかりである。

僕は周りの建物を見ながらまた考え出した。

そういえば、ここが人が住む場所として機能していたのは何時なのだろうか。人が見当たらない今は無いだろう。しかし、このような建物があるのだから何時かは人が住んでいたのかもしれない。もし人が住む場所として一度も機能していなければなんのためにこんな建物が造られたのだろうか。気になって仕方が無い。

建物を出ると、目の前にはまた建物が見えた。

そちらは先ほどの建物よりも小さい建物であった。同じように小さな石が積み上げられて出来上がっている。

その建物を抜けるとまた他へと道が伸びていた。

そちらに行けばまた同じような建物があった。

同じような建物がこの辺一帯には複数存在するらしい。それぞれが一本から二本の道で他の建物と繋がっている。同じような建物が近くに何個もあるということは、ここは昔大きな町だったのだと思った。なぜ今は使われなくなったのかの理由はわからない。

昔何かあったんだろう。あくまでも僕の勝手な考えだけど。

建物を見ていくと見たことのある道にでた。

左を見ると最初にみた建物が見えた。一周回って来たらしい。

太陽を見ると日が傾きだしていた。こんなところで一晩を過ごすのはどうかと思うので、今日中に行けるところまで行こうと思った。

僕らは石の積み上げられた建物に別れを告げ、次の地へと向かって歩き出した。


この地に人が居ない理由。それは何時分かったのだろうか。

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