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境界線  作者: 薙月 桜華
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第三十一話  砂漠の中の緑地

   第三十一話  砂漠の中の緑地


2237年 秋 南アジア


今日も僕らは砂の上を歩いている。

サヤが暑さと脱水症状で倒れたときからしばらく経った。

その時のことを教訓に今も砂の世界を歩いている。

何時まで続くか分からないからこそ怖い。

しかし、歩けば次の町が近いということだけは救いである。

町が無い状態で歩き続けることにも限界がある。

水分・食料、それと少しの安全もたまには欲しい。

昼間は暑くて思考が止まりそうだ。何も考えられなくなる。

夜は逆に寒くて昼間は避ける火を求めてしまう。

緑が生い茂る世界を忘れてしまいそうになることもある。

あの湿った土がどんな感触でどんな匂いかとか。

当たり前に見えていた景色が急に懐かしくなった。

ここは風が吹くと砂が目に入る。風が吹くと反射的に後ろを向くか、布で顔を覆うようになった。

目だけでなく口の中に砂が入ったときは、もうどうしようもない。

急いで口の中の砂を吐き出そうとする。

砂を噛むと音がして気持ちが悪い。

この砂の世界ではむやみに口を開けていないことが大切だと思った。

僕がそう思っているとサヤが突然話しかけてくる。

「ねぇ、あれ町じゃない。」

サヤが指差す方向を見ると、確かに町があった。

「なんか、大きそうだな。」

砂漠の中でもこれほど大きい町がるのかと思った。いや、これまでの町が小さすぎたためかもしれない。

「ひとまず行こう。」

僕はサヤに言うと、その町へと向かった。



僕らは町の入り口付近へ着く。

ラクダを引っ張りながら町から出てくる人たちがいた。

僕はその人たちを目で追う。ラクダには荷物が付けられている。僕らのように旅をしているのか、それとも商売のために場所を転々としているのだろうか。

「ほら、行こうよ。」

サヤの声で現実に引き戻される。

「そうだな。」

砂の世界へ入っていくラクダと人々を一度見ると、サヤを見て言った。

町の前に僕らは立つ。再度町をよく見ると、一段高くなった部分がある。高台なのだろうか。家のような建物が立っていることも分かった。行ってみれば分かるだろう。僕らは町の中へ歩いていった。

十字路で立ち止まる。サヤは左右の道を見て言った。

「なんか、同じような道。」

「そうだな。見た目の違いが分からない。」

僕はサヤを見て言った。頷いて続ける。

「町の中を歩いてみよう。迷うかもしれないけど。」

「そうね。そうしましょう。」

僕らはこの町を散策することにした。

どうせ今から次の町を目指して進むとしても夜は砂漠の上だ。だったら、町の中で休んでから行きたい。

どの建物も砂と同じような色を基に色づけがされていた。

これじゃあどどこへ行っても同じ建物に見えてしまう。

しかし、建物を良く見ると、彫刻が施されている。住むための住居ですら彫刻を施している。

歩けば歩くほど細い道を見つけ細い道へ入っていく。

まずは外から見えた高台へと行こうと思った。

町から見える高台には建物が建っている。

その建物は壁のように建てられている。

まるで、来るものを拒む高台。高台へ昇る場所を探すことにした。

ある道に入ると僕は少し驚いた。

「うわっ。」

そこには、牛が足を曲げて休んでいた。

その横を何も気にせず通り過ぎる人々。

この地域ではよく見られる光景でも、やはり見たときには少し驚く。

僕らはその牛の横を通り、前へと進んだ。通過する途中に牛の声が聞こえてくる。一度立ち止まって牛のほうを見てしまった。僕らの住んでいるところとは違う。目に見える全てが違って見えた。

同じような道をぐるぐると歩き回りつつ高台へと近づいていった。

高台の周りへと着く。近づいてわかったことだが、この高台自体が大きな建物のようだ。

「城の壁見て何してんだい。」

僕らがこの高台にある建物を見上げていると。

後ろから男の声がした。

振り向けば現地の人らしいそれなりにひげの生やしたおっさんが居る。

「お城。」

サヤがそのおっさんに聞く。

「そうさ、かなり昔に立てられた城らしくてな。元はこの周りの建物は無くて、このお城しか無かったらしいぜ。」

おっさんはそう言いながら、僕らが来た方向を見た。

「へぇ。」

僕は関心を持ってしまった。この城はなぜこんな砂漠の真ん中に建てられなければならなかったのか。

「それから回りに家が出来て今の形になったそうだ。この城も町も砂岩で造られてる。だから人はこの町をこう呼ぶんだ。」

そこでおっさんは僕らを見て続けた。

「金色の町ってな。岩が黄色い色をしているからね。そう呼ばれたらしいよ。」

「金色の町か。なんか凄いな。」

僕はそう言いながら町を見た。多分、城の上から見たほうがいいんだけど。

「そうね。」

サヤも僕と同じように目の前にある建物を見ていた。

「まぁ、ここから見るより城のほうに上がって見てみな。簡単に入れるから。」

おっさんの言葉をちょっと信じて行ってみようかと思った。

それに、高いところからこの町がどうなっているかを知りたいって気持ちもある。

城門への道はなぜか狭かった。

なぜにこんなに狭いのかとちょっと思った。

門前で急に広がる。門をくぐるとそのまま坂道を登ることになる。

それを越えていくつかの階段と、会う人への返答を繰り返す。

途中で会う人に、ここには宮殿や寺院があると言われた。それは降りてきてからでいいだろうと思って先に進んだ。

そして、下の町が見えるところへ出た。

金色の町だと、あのおっさんは言っていたけど。本当にそうだと思った。見渡す限りが黄色い…いや金色だ。砂漠まで同じ色をしているから凄く大きな町のように見えてしまう。

風が僕らの間を通っていく。日が高いところまで来そうだ。



僕らは降りて、ここに来るまでに見つけた場所へと向かった。

まずは寺院だろうか。行ってみた。外側もなかなか凄い建物だと思った。そして、傍にいた人に聞くと中に入れるとのことだった。なんかいとも簡単に。

僕らは中に入った。中には、外側以上に彫刻が細かく一体どのくらいの人間がどのくらいの年月をかけて造ったのか気になった。話によれば、この寺院の宗教の信者はこの地域でもあまり居ないらしい。信者がちょっとずつお金を貯めてこの寺院を造ったのかもしれない。この城自体も含めて、この寺院もこれから見るであろう宮殿も長く時を越えて僕らが見ている。この時まで残っていることがありがたいと思う。誰かが後世に残そうとしているのだと思った。

僕らは中を見た後、次へと向かうことにした。

次は宮殿だ。入れるだろうか。どうだろう。

宮殿前に居る人に聞くと普通に入れた。

中を見れば絵が所々に描かれていて、色を沢山使っているためか色鮮やかに見える。

ぐるぐると視点を変えるとそれぞれ違う絵が見えた。

光の差すほうへ向かうと外の景色が見えた。眺めは凄くいい。さすが宮殿。

屋上へと上がれるらしい。僕らは行ってみた。

「わぁ。すごい。」

「凄いな。」

僕らは素直にそんな言葉を発していた。いや、少なくとも僕はそうだ。

先ほど城の端から外を見たときの眺めの良さの比じゃなかった。本当に遠くまで見渡せる。

ここで昔の人は何を見ていたのだろうか。

迫り来る敵を見ていたのか。凄く気になるが、聞けない。まぁいいか。

僕らは、お互い話しながら眼前に広がる町を見ていた。


それから、僕らはちょっと変わった形の岩を見つけた。

よく見るとこの城と同じ形をしているんじゃないかと思う。

昔の人の技術がどの位なのか本当に知りたくなった。

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