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箱庭世界  作者: とて
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It's show time!

 本田明 21歳。今年無事に福祉系専門学校を卒業して、介護福祉士になりたてほやほやの社会人一年生。

 社会人で大人だけど、お酒も飲める年齢だけど、心は厨二。かっこいいポーズや決め台詞が大好きだ。とにかく好きだ。家でひそかに練習中。良いポーズが思いついたときなどは心トキメキ血沸き肉躍る。でも誰にも見せねえ。絶対見せねえ。人に見せるのはやっぱりちょっと恥ずかしい。

 

 そんな俺の厨二秒ライフに欠かせないもの。それはゲームだ。 

 

 俺の趣味はゲーム。休みの日はゲーム。息抜きもゲーム。ゲーム大好きゲーム人生。

 小さいころからゲーム好きで、手軽に楽しめる携帯式のゲームから本格的なグラフィックの楽しめるテレビゲームももちろん好きだ。内容もアクションにパズル、アドベンチャー、格闘、推理ゲームからなんでもござれ。こずかい全部ゲームにつぎ込んだわが青春の日々。

 だけど、やっぱり一番好きなのはストーリーと冒険を楽しめるロールプレイングゲームだ。それもコマンド式。

 プレイヤースキルのない俺としてはアクションはやはり得意ではない。いや、好きなのだがへたくそなのだ。好きだし楽しいのだが、アクション系はほぼクリアできた例がない。だが、レベル制コマンド形式ならコツコツやっていけばいつしか強くなれる。そして最終的にクリアもできる。それが良い。 

 しかも最近はフルダイブ型のVRMMOと言う、バーチャルな世界で楽しめるひっじょーに魅力的な夢のようなゲームが出来てからは俺の人生ゲーム一直線。いや、それまでもかなり一直線ではあったが・・・。

 おかげで生まれてこのかたリアル彼女なんていたことありません。でもゲーム内彼女や嫁ならたくさんいます。ちなみに脳内彼女も。つねにいつでもラブラブです。



 現実世界では、今日も今日とて職場の老人ホームで入浴介助や排せつ介助、食事介助で駆けずり回って体はくたくた。老人ホームの筋肉モリモリマッチョなじーちゃん最近転んで骨折して動けないので入浴介助したんだが、80キロ級のじーちゃんてどーいうこと?俺よりはるかに重いよじーちゃん。俺よりはるかにいい体してたよじーちゃん。

 自分で選んだ職種とは言えなかなかの重労働で。毎日腰が痛いデス。はい。まだ正しく使ってもいないのに使い物にならなくなるんじゃなかろうかと心配。というか、正しく腰を使える日が来るのか俺?脳内彼女との練習の日々はいつ終わるのか?

 でもゲームはやります。毎日です。てか、ゲームやらんと一日が終わらねえ。

 そんな俺の日常。

 それがある日一変した。

 

 仕事が終わって風呂入って飯食って。さてこれからお待ちかねのお楽しみタイムの始まりだ!とばかりに愛用のパソコンを立ち上げた。

 

 ここ最近俺がハマっている大好きなファンタジー系のフルダイブ型MMORPG「アルケミスト・ザ・ワールド」

 ゲーム内で錬金術師になっていろんなものを作るんだが、物づくりのための素材調達のためにあっちこっちでいろんなモンスターを狩ったり、買ったり、飼ったりしている。懐くととても可愛い。あまりの可愛さに殺して素材調達できない日々が続いている。

 ちなみに名前も付けてしまった。最初の子はモンスターのモンちゃんだ。他にも魔物のマモちゃんもいる。

 じつはもっとかっこいい名前もいくつか考えたのだが(エリュシオンとかケツァルコアトルとかナーガラジャとか)マモちゃんは丸々太ったイノシシ型のモンスターだし、マモちゃんはパンダ型だし似合わないので諦めた。そもそも長い名前は呼びにくい。


 そんな、平和にゲームを毎日やりこんでいる俺のパソコンに来た一通のメール。


「拝啓。

 この度新しいゲーム会社を立ち上げることになりました。つきましてはわが社の初の新作ゲームのテスターをお願いしたく思っております。今までにない、心身ともに直接響くような非常に新しい趣向のゲームとなっております。ゲーム好きの方の意見を参考にしたいと思いますので、ぜひご参加よろしくお願いします。」


 ・・・なんだこりゃ怪しい。。。

 と、少しは思わないでもなかったが、メールに添付されていたファイルにウイルスは入っていないようで、テスターとなるゲームも俺の愛用パソコンのスペックで十分足りるものであり、VRの世界にフルダイブトリップするための必須アイテム、フルフェイスヘルメット型のギアも、俺の愛用のギアで良いらしい。


 ・・・と、なれば。


 まぁ、いっか。無料だし、やってみても。

 「心身ともに響くような非常に新しい趣向のゲーム」とは一体どんなものか。ゲーマーとしての興味もそそられる。


「なになに?・・・<箱庭世界>ファンタジー系MMORPGね。うは。ファンタジーとか、RPGとか、俺の大好物じゃないか。ゲームの世界で剣や弓、魔法、そのほかなんでも、自分の力を駆使して自分ならではの箱庭を完成させよう。」


 ・・・箱庭?庭を造るのか?家庭菜園とか?野菜とか?まさか剣で畑を耕すんじゃないだろうな。

 ま、やってみればわかるか。

 明日は仕事も休みだし、寝るのが遅くなってもいいや。


 メールにあったゲーム<箱庭世界>をダウンロードし、フルフェイスのヘルメット式ギアを頭にかぶる。

 うっは。 新しいゲームをはじめるときのこのワクワク感、たまんねぇー!!!

 

 そしてゲームスイッチを押すとともに、ゲームの世界に入り込む呪文を唱えた。

 いや別に唱えんでもイイんだがそこはそれ。単純に俺が呪文を唱えたい。自己満足の世界。


 「It's show time!」



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