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取捨 02


 戦死者ゼロに、負傷者が若干名。北方の戦闘が一段落つくまでに発生した被害は、これだけであった。

 一つの戦場で発生する被害としては皆無に等しい結果であり、上々に過ぎる戦果だ。

 確かにあの場所で行われているのは、双方にとって利益のある戦闘を継続するだけという、ままごとの様な戦場でしかない。

 しかしそれでも普通はそれなりに負傷者も出るもので、今回は奇跡的なほどに被害が発生しなかったと言えた。


 そんな戦場からラトリッジへと帰還した僕は、家での荷解きをレオとヴィオレッタに任せ、早速駄馬の安息小屋へと向かう。

 昼間であるため人の少ないそこへと行き、窓口となるヘイゼルさんへと報告を行うためであった。



「ただいま帰投しました」


「ご苦労。で、戦果はどうだった?」



 入って早々、カウンターの向こうへと立つ彼女へと簡潔な報告を行う。

 おおまかな被害と装備品の損耗率など口にすると、それで大よそを悟ったのか、ヘイゼルさんは満足そうにうなずいた。



「いいだろう、後で報告書にして提出しな。物資担当にも」


「それは参加した全隊のをですよね」


「結果的にはそうなる。他の連中は真面に書類なんぞ書かんだろうさ」



 なんの問題も無く報告を終えたかと思いきや、とんでもなく膨大な仕事量を押し付けられる。

 基本的に他の傭兵たちはその多くが書類仕事などを苦手としており、これまでも彼らからそういったものを代わりにやるよう、頼まれることが多々あった。

 もっともその代わり、こちらは色々と便宜を図って貰っているのだから、ある意味互いに得があると言えるのだが。



「……いいですけど、ヘイゼルさんからも念押しはしておいて下さいね」


「わかっている。連中には極力お前の頼みを聞くよう、脅しはかけておくさ」



 嘆息しヘイゼルさんの言葉を了承する。

 と同時に他の傭兵たちへと言い含めておくよう頼むと、彼女はカラカラと笑いながら頷き伝えておくと約束してくれた。

 だがその後。最後にヘイゼルさんは、若干言い難そうな素振りで何がしかを付け加えようとする。



「ところで……」


「ジェナさんのことですか? そういえば今日は見当たらないようですが……」


「ああ。最近疲れているようだからね、今日のところは先に帰したのさ」



 口にするよりも先に問うと、ヘイゼルさんはその内容を否定せず所在を返す。

 どうやら余り状況は芳しくないようで、心労から体調を崩し気味である様子が伝わってきた。


 聞けば僕等が北方へと赴いている間も、ジェナはこれまで通り日に数度のペースで子供と顔を合わせていたらしい。

 ただその度にやつれていくように見えたため、駄馬の安息小屋での仕事はかなり抑え目にし、極力自宅でゆっくりするように言っているとのことだ。



「子供の方はどうしているんですか?」


「あの子なら、今はアタシの家に居るよ。うちの子に世話をさせてる。イレーニスも宿舎の掃除が終わってから、子守りを手伝いに来てくれてる」



 子供の調子を問うと、ヘイゼルさんはジェナの子供を自身の家で世話していると告げる。

 これまではどこか手の空いている人を探しては、一時的に世話を頼んで回っていた。例えば配偶者の居る、団員たちなどにだ。

 しかしそれも相手の都合というものがあるため、ずっと頼りきりとはいくまい。

 そこで子育ての経験がそれなりにあるヘイゼルさんが、一時預かってくれているようであった。


 彼女の子供も見てくれているようだし、僕等がこの街を離れている時に預かってもらっているイレーニスも、言葉が通じないなりに手伝っているらしい。

 双方ともにそれなりにしっかりとしている子なので、やはりその点でも問題はなさそうだ。



「母親としてなら助言もできるってもんだが、あの娘は事情が違い過ぎてアタシの経験なんて参考になりゃしない」


「子供が女児であるだけマシ、というところでしょうか」


「多少はな。あれで生まれたのが男の子だったら、本格的に遠くへ離さなきゃならなかったろうさ」



 ジェナが産んだ子は、結局女児であった。

 もし男児であったならば、余計に自身を穢し辱めた野盗の頭領を思い出していたに違いあるまい。

 だから大丈夫ということは決してないが、気休め程度の違いはあろう。



 そういえば気休めで思い出した。北方へ赴いていた時に、ジェナ宛てに土産を預かっていたのだ。

 エリノアからもらったそれを背負っていた背嚢から取り出し、ヘイゼルさんへと事情を説明して手渡す。



「へぇ、こいつはかなりの上物じゃないか」


「そうなんですか? 僕はあまりそういった価値がわからないもので……」


「普通に買えば十日分の生活費はくだらない高級品さ。そのお嬢さんは話を聞いただけだってのに、随分と心配してくれたみたいじゃないか」



 ヘイゼルさんが感心したように告げる内容に、僕は若干面食らってしまう。

 流石は良い所のお嬢さんといったところか。まさかあんなにもアッサリ渡された茶葉が、そんなにも高級な品であったとは。

 基本的に騎士隊に入るにはかなりの額の寄付金が必要となるので、やはり元来が裕福な家の娘さんであったということか。



「ま、こいつでも癒すのは難しいがね。だが多少気を紛らわす助けにはなるだろうさ、あの子は普段から茶を好んで飲むからね」


「なら良かったですよ。一瞬でも忘れられるなら、それに越したことはない」


「過度な期待はするなよ?」



 ヘイゼルさんはそう言いつつ苦笑すると、受け取った箱を大事そうにカウンターの下へと入れた。

 この様子だとジェナに淹れるのと一緒に自身も飲みそうだが、それはそれでいいだろう。この人にもずっと世話になり通しだ。



「それで、お前はどう対処すんだ。団長から丸投げされてるだろ」


「そうですね……。一番無難なのは、子供をどこかへ養女にでも出すことかと」


「確かに無難だな。貰い手を探すのに一苦労だが」



 おそらく最も波風立たない方法は、授乳期を終えた子供をどこかに出してしまうという手だろう。

 そうと決まっているのであれば、彼女の心労という面でも多少なりと違うはず。

 これはこれで少々薄情に思えなくはない。だが正直なところを言ってしまえば、幼い子供よりもある程度気心知れたジェナの方が優先度が高いのだ。

 それで両者が平穏に過ごせるようになるのであれば、躊躇う理由など無いも同然であった。



「どうするにせよ、とりあえず当面はうちで預かってやる。目途が立ったら真っ先に言いな」


「すみません、何から何まで世話になります」


「構わんよ。どうせ面倒を見るのはうちのガキだ、あいつにとっては良い経験だろうさね」



 そんな僕の選択を支持してくれるのだろうか。ヘイゼルさんは静かな調子で口を開き、しばらくは預かってくれると約束してくれた。

 ただ後から告げた理由もきっと本心なのだろう。一見粗雑な性格に見えて、案外子煩悩な人だ。




 ヘイゼルさんの言葉に安堵した僕は、一通りの用件も済んだということで、我が家へと戻ろうと踵を返す。

 しかし振り返り入口へと向かおうとしたところで、そこへと一人の人物が立っているのに気が付いた。

 その人はどこかくたびれた様子で視線を下に落とし、ゆっくりと酒場内へと入ってくる。



「って、どうしたんだお前は。帰れと言っただろうが」



 驚いた様子のヘイゼルさんはカウンターを越えて出てくると、その人へ向けて駆け寄る。

 近寄りソッと触れて顔を上げさせると、見知った顔が薄暗い酒場の中へと露わになった。


 姿を現した人物。それは先ほど話題にしていた件の人、ジェナであった。

 これまでも境遇からどこか儚げな気配を漂わせてはいたが、今はそれよりも遥かに脆く、崩れ去りそうな危うさすら感じられる。

 見慣れた顔であるというのに、一瞬気が付けなかったのはそのためだろう。



「……お邪魔でしたか?」


「別に邪魔だなどと言いはせんが、お前は本調子じゃないんだ、無理をせず休んでいろと言っただろうに」


「すみません、家でジッとしていると落ち着かなくて。なにかお手伝いはできませんか……?」



 普段であればまず優しい言葉などかけないであろう、ヘイゼルさんが肩を抱き穏やかに声をかける。

 それほどまでにジェナは憔悴の色を隠しきれず、傍目にも抱えたストレスの重さがよくわかるというものだ。

 どうやら彼女はいったん家へと帰ったものの、一人の状況に堪え切れなかったらしい。

 だが確かに誰も居ない場所に一人きりとなれば、色々と考え込んでしまうものかもしれない。それも悪い方へと偏って。



「仕方のないヤツだ。そうだな……、ゆっくりでいいから床でも掃いてくれ。そのくらいならあまり体力も使わんだろう」



 やはり相当にジェナを心配しているようで、ヘイゼルさんはあまり負担の大きくなさそうな作業を振り分ける。

 ただ椅子に座っていろと言うこともできただろうが、それでは気が紛れないと判断したようだ。


 僕は酒場のカウンター裏へと回り、置かれた箒を手に取ってジェナへと渡す。

 すると彼女は軽く会釈をして受け取ると、ホール内を静かに掃き始めた。



「戻られていたのですね」


「ええ、ついさっき。今回も全員無事に帰って来れました」



 ホール内を掃きつつ呟くジェナへ、僕は柔らかく笑みを作って返す。

 すると彼女は良かったと言い、フッと口元を小さく綻ばせた。今は多少なりと、身内の無事を安堵する程度の状態にはなっているようだ。


 いったい何を話すべきなのだろうか。下手な慰めなど逆効果だろうし、気の利いた言葉など思いつきはしない。

 そう思ってカウンターの奥を見ると、ヘイゼルさんが小さな竈の前でなにやら作業をしているのが見える。

 火を熾して湯を沸かし、カウンターの上には小さな白磁のポットが置かれていた。おそらく先ほど土産にした茶を、早速淹れてやろうというのだろう。


 少々ジェナのことが気にはなるが、ここから先はヘイゼルさんに任せた方がいいのかもしれない。

 僕はもう一度だけ軽く会釈をし、次の用があると言ってこの場を暇させてもらうこととした。





 駄馬の安息小屋から出た僕は、日暮れ間近の暗い路地裏から出て大通りを歩き、都市外壁の在る方向へと向かう。

 商店や大きな施設が連なる中心部から、住宅地などが密集するエリアへ。

 この先にはヘイゼルさんの家が在り、そこへと居るであろうイレーニスを迎えに行くためであった。



『迎えに行ったら、イレーニスとひとっ風呂浴びて帰るか。たまにはいいだろう』


<それは良い考えです。是非とも記念として映像に残しておかなくては>


『……いや、それは止めてやれ』



 妙なことを言い出したエイダを諌めつつ、夕刻となって家路を急ぐ人たちの間を縫い、近道となる路地に入って進んでいく。


 以前都市内に整備された公衆浴場へと一緒に行った時、イレーニスはいたくそこが気に入ったようで、何度となく連れて行くようせがまれた。

 今回彼にはこれといった土産もないが、一緒に浴場へ行けるというだけでそれなりに喜んでくれる筈。

 そう考え僅かに頬が綻ぶのを感じつつ歩いていると、路地へと入ってすぐ複数の人たちがたむろしているのが見えた。



「なんだ……?」


<珍しいですね。このような場所で人が集まるなど>



 その普段では見ない光景に、これまで小言を言い続けていたエイダも疑問を感じたようで、音量を絞り眼前の人々に関し言及する。

 彼女の言う通り、こういった路地内では人が集まることなど稀だ。

 ここはラトリッジの中でも若干治安の良い方ではない地域なので、周辺の住民に誤解を与えたり、不安にさせぬよう住む者たちは気を使っているためだ。

 であるにもかかわらず、十人以上もの人が集まり、なにやらザワザワと言葉を交わしていた。



「どうかされましたか?」


「ああ、傭兵の兄ちゃんか。ちょっと近所で盗みがあってな、家の中が滅茶苦茶にされちまったらしいんだよ」



 近寄りどうしたのかを問うと、壮年の男性は困った様子で告げる。

 どうりで騒いでいるはずだ。この辺りは治安が悪いとはいえ、それは基本的に路上においての話。あまり人家に入って悪さをする者は多くない。

 それもこれも、この近辺はイェルド傭兵団の団員に関わる人が多く住むからで、下手な家に手を出して報復されてはたまったものではないからだ。


 住人たちは苦笑しつつ、その件について互いに口を開く。



「よりにもよってあのヘイゼルの家に盗みに入るなんざ、命知らずな奴も居たもんだ」


「余所者じゃねぇのか? ここいらの人間だったら、知ってて盗みになんて入りゃしねえだろ」



 やれやれとばかりに顔を見合わせ、話を再開する人たち。

 だが和気藹々とする彼らに対し、僕はハッとして彼らを押しのけ駆け出した。



 数人の人とぶつかりそうになりつつも、勢いを殺すことなく交差路を曲がり更に住宅街の奥へと駆ける。

 さっきの住人たちが話していた、窃盗に入られたというヘイゼルさんの自宅。あの家には普段は子供たちしか居ない。

 ヘイゼルさんの夫であるデクスター隊長は、今も東方の戦線を維持する任に着いているため留守だ。

 なので今はあの家に預けていたイレーニスと、ヘイゼルさんの子供。そしてジェナの産んだ女児しか居ないことになってしまう。



<アル、急いでください!>


「わかっている。全力で走ってるよ!」



 エイダの急かす言葉を聞きながら、腕に嵌めた装置までも起動し、全力で路地を走り続ける。

 そこは普段であれば気にもしないような、非常に近い距離。

 それがいつもの何倍、何十倍もの距離に感じてしまう。それ程までに、僕は焦りを感じていた。



 実際には然程の時間は経過していないものの、長く感じられてしまう距離を走り終え、件の家の前へと辿り着く。

 入り口前には数人の男たちの姿。おそらくは僕と同じく、イェルド傭兵団の団員たちだ。



「アルじゃねえか。話を聞いたみたいだな」


「ついさっき。子供たちは無事ですか?」



 よく見知った一人の先輩傭兵へと声をかけると、彼は振り返りなんとも難しそうな表情を返した。

 その反応に不安を覚えつつも、とりあえず中に入れという言葉に従い、ヘイゼルさんの自宅へと踏み入れる。

 中へと入ると、すぐ正面の部屋へ近隣の住民と思われる女性たちや、数人の傭兵の姿が見られた。

 よく見れば女性たちに囲まれるようにして、イレーニスとヘイゼルさんの子供の姿も見える。



「アル!」


「ああ、無事だったか。良かった……」



 こちらの姿を目にしたイレーニスは、椅子から立ち上がり飛びついてくる。

 イレーニスはまだまだこちらの言葉が上手く使えないため、大人たちに囲まれ酷く不安を覚えていたのだろう。

 一方で彼と歳が近いヘイゼルさんの子供の方は、余程押し入った賊が怖かったようだ。いまだ泣き止んではおらず、嗚咽しながら大人へとすがり付いていた。


 ひとしきり薄灰色のサラサラとしたイレーニスの頭を撫でてやってから、肩を押して身体を離す。

 そうして彼の姿を確認すると、腕や足などの数か所に、擦過傷と思われる傷をいくつか発見した。

 話を聞いてみれば、それらは押し入ってきた盗人に突き飛ばされた時にできたものであるようだ。

 多少の怪我はしたものの、とりあえず命が在っただけ御の字といったところか。



「ちょっと怪我をしたか。でも大丈夫そうだな」


「うん、ボクたちはだいじょうぶ。でも……」



 イレーニスは、自分たちは問題ないと告げる。しかしどうにも口ごもり、視線が右往左往としていた。

 どうしたのかと思っていると、先ほど外に居た傭兵が近寄り、深刻そうな声で告げる。



「赤子の姿が見当たらん。ジェナの産んだ子だ」


「……本当ですか?」


「ああ。さっきから総出で家中を探しているが、鳴き声一つ聞こえない。ヘイゼルの子は泣き止まんし、そっちの小僧は言葉が通じん」



 彼は二人の子供たちを交互に見やり、僅かに肩を落とす。

 だが最悪の状態は頭にあるようで、彼からは焦りの様なものを感じられる。あの赤子がどうなったのか、想像するのは容易い。

 その考えが確かなモノであるのか、確認するためにも僕はイレーニスへと問うた。



「イレーニス、赤ん坊はどうした?」


「つ……、つれてかれちゃった。急に来た男の人に……」



 やはり案の定、赤子は押し入った輩によって連れ攫われてしまったようだ。

 子供の人身売買というのは、非常に重い刑が科せられる重罪だが、相応の金額になるという話は聞き及んでおり、そう言った悪事に手を染める者というのは後を絶たない。

 おそらく賊は一人だったのだろう。あと二人も幼い子供が居るのに連れて行かなかったのは、幼ければ幼いほどに値が上がるため。

 そして単純に、連れて行く手間を考えてに違いあるまい。



「ごめん、アル……。ボク赤ちゃんまもれなかったよ」


「いいんだ。よく教えてくれたな」



 そう言って僕は再度イレーニスの頭を軽く撫でる。


 事は一刻を争う。早く街中に人を配置し、逃がさぬよう警戒網を敷く必要があった。

 だが本来であれば警察組織としての役割を担うはずの、騎士隊が役に立たないのは言うまでもない。ならばこちらで対処しなくては。

 振り返って先輩傭兵へと向くと、これからの行動についてを確認する。



「すみません、僕はこれを団に報告してきます。人手が必要でしょうし」


「わかった、そっちは任せる。俺たちは近隣でそれらしい奴が居ないが探してみよう」



 僕等は頷き合うと、この場と二人の子供を住人たちに預け家を跡にした。

 急ぎ走り、駄馬の安息小屋へと向かう。この状況をヘイゼルさんに話せば、他の傭兵たちに伝え相応の対応を採ってくれるはずだ。



 住宅街の路地から飛び出した僕は、大通りへと出て多くの通行人を避けつつ走る。

 その最中、僕は攫われた子供のことと同時に、ジェナを助け出した時のことを思い出していた。



『まさか親子揃って悪党に攫われるなんてな』


<妙なところで血の繋がりを感じてしまいますね。当人たちにとってはたまったものではないでしょうが>


『まったくだ。今回も助け出すぞ』


<当然です。ついでに言えば、イレーニスを傷物にした責任も取ってもらわなくては>


『……それはちょっと語弊があるんじゃないか?』



 なにやら頓珍漢な発言をするエイダ。

 だが確かに彼女の言う通り、母親であるジェナと似たような状況に陥ってしまったことで、奇妙な巡り合わせを感じずにはいられない。

 そんな考えを頭へ廻らせつつ、僕は夕日の沈みつつある通りを全力で駆けていった。




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