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東方陰影記  作者: 凛
68/70

65話

ゆっくりしていってね!

「やっぱり咲夜のご飯は美味しいんだぜ~」

と、左手で頬を抑えながら魔理沙は目の前の揚げ物を口に放り込む。幸せそうな顔が俄然食欲を煽る。

「そうよねぇー、久しぶりのご飯だと余計美味しく感じるわよね」

魔理沙の隣に腰掛ける紅白もまた、嬉しそうに目の前の揚げ物と白米を屠っていた。

その傍ら呆れ顔を浮かべた咲夜と神崎はその2人とその隣でうどんをすするフランを見つめていた。

「なんでフランはうどんなんですかね?」

「冷蔵庫を覗いてらして、おうどん食べたい、と。しっかしかわいらしく首をかしげて.....」

「また鼻から忠誠心がでてますよ」

ポケットから小さなハンカチを取り出し、神崎はそれを咲夜に手渡した。

「んん、ありがと、夕月」

「いえいえ、これぐらいしか俺に出来ることはありませんし、最後にお役に立てて光栄です」

「........え?」

神崎の言葉に違和感を感じた咲夜が隣を見た時、そこにはすでに神崎の姿はなく、美味しそうに食事をする三人の姿だけが咲夜の視界に映っていた。


***


八雲紫は焦っていた。

彼女はあれからずっと風見幽香を屠った犯人をずっと探しているのだが、

幻想郷の賢人として比喩される彼女が本気になっても見つからない。

それに被害者がそれ以上出ているのかさえわかっていない。


「........っ」


無意識に血がにじむほど唇をかんで入ることに気がついた。それ程までに彼女の心内には焦りが渦巻いていた。



背後にいる誰かに気づけない迄に。


***


彼女は何も気づいていない。

後はこの刀を降り下ろせば終わる。

これで自分を否定する者はいなくなる。

俺が俺になって、みんなに認められて、ああああああはははははははははははははははははははははははは。



はは。


これでやっと始まる。


***


何者かが振り下ろした刀は目の前にいる女性の背中を切り裂く........ことは無く、小さな少女によってその刀は受け止められていた。

「........!?」

「全く...皆私の忠告を聞かないからこうなるんですよ」

手に持った笏で刀を受け流す少女。

八雲紫は目の前の光景に目を丸くした。それは自らを救った閻魔に、ではなく。

血に染まった体で謎の笑みを浮かべる夕月に、である。

その笑みが語っていた物は狂気そのもの。殺すことに快感でも覚えたのか恍惚、嬉々、快楽、遊びを覚えたばかりの子供の様な、昔々にフランが時折見せた狂気に支配された様なそんな不気味な雰囲気を漂わせていた。

「あああああああああああああああああ、君も君も君も君も君も君も自分を否定するんだったねぇぇ?」

「本体から離れすぎて不安定になっていますね。やはり、あの時始末しておくべきでした」

「...るさい。お前がお前も俺を自分を否定するからこうなったんだ。存在しないなんてあるわけあるか」

「一体何の話をしていることやら。これでは意思疎通すら困難なのではありませんかね?」

はぁ、と大きなため息をついた閻魔は呆れた様に夕月から視線をずらした。次に視界に入れたのは八雲紫。

ようやく理解が追いついたらしく、憎悪の目を夕月に向けていた。

「八雲紫......。お前んとこの狐は随分醜い声で鳴いてた........な」

紫の目を見つめ夕月は口を見にくく歪めて背中に背負う皮袋から金色に染まる尾を1本取り出した。

「風見幽香は取り忘れたが、次の相手からはちゃんと取るようにし」

グシャ、と肉の弾ける音が映姫の耳に届いた。式を傷つけられた怒りに身を任せた紫が手を下したのだろう、と。

「映姫様、私急いで式のところに行かなければならなくなったわ」

「ええ、解っています。私が職務をこなしていた時にはまだ魂は来ていなかったはずですから息はあるはずです」

映姫からその言葉を聞いた紫は少しだけ安心したような表情を浮かべその場を去ろうとした瞬間の事だった。


「おいおい、まだエンディングには早いんじゃないか?お前のおかげで目も覚めたしな」


何事も無かったように夕月は笑みを浮かべなからゆっくりと体を起こした。


「なんで....、生きてる........の」

「化け物........ですか........」

動揺を隠せない二人は後ずさりを見せる。

が、後ろには誰かがいたらしく、その体はそれにぶつかり腰を抜かしたように倒れ込んだ。



「前置きが長いんだよこの餓鬼が...、いいからさっさと死のうぜ?」


二人の少女は目を丸くした。

何故ならまったく同じ人間が正面と背後に立っていたから。

もうすぐ終わりでもいいんじゃないかな(白目)

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