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東方陰影記  作者: 凛
6/70

6話

時間が飛びましてごめんください(笑)

「はぁ…………」

この窓から朝日を見るようになってからはや数ヶ月。

何故か俺は食料を貰いに来たはずの紅魔館で働いていた。確かに、意識不明の所を看護してもらってはいたのだが、どうして俺などを雇ったかは未だ謎である。あの時は何度断っても、

「私の見た運命が物語っている。何も断る必要はないじゃないか」

と、一点張りで断ることが出来なかった。

誰の運命が俺と関わっているのかなんて知らないが、断ってもいいじゃないか、と心の中で愚痴ったが。

そもそも、俺がここにいてはこれからの幻想郷の未来を変えかねない。紅魔異変をきっかけに広まった弾幕ごっこだって、俺がいることによって、支障が出てしまうかもしれない。

こう考えると、俺がここにいるメリットは全くと言っていいほどないような気がする。

いい加減、紅魔館から出なくてはならないのだが、如何せんお世話になっている(?)人達から簡単には離れられない哀れな性格というべきか……。

もう一度、大きくため息を吐き、服を着替える。

生憎、俺用の服などはなく、メイド服なんぞ来ていられるわけないので、ワイシャツと制服のズボン、というだらしないカッコに至っている。これは仕方ない。

部屋から出て、屋敷の外へと出る。元の世界にいた頃からの日課であるランニングをするためだ。ここに来てようやく落ち着き、自分の日課までこなせるようになったのはレミリアのお陰だと思うと感謝せざるを得ない。

「おはようございます、美鈴さん」

「ランニングですか、精が出ますね」

「まぁ、昔からの日課でしたから」

「体を動かすのはいい事ですからね」

頑張ってくださいね、と美鈴さんは言い残すと、門の警備へと戻った。

靴の紐を結び直し、霧の湖の周りを走る。

朝日が体に染み渡り、湖からの心地よい風が身体を撫でる。

最初の頃は随分長いと感じていたこの道も今では軽く走れるようになっていた。ここに来て体力がついたのだろう。喜ばしいことだが、若干残念さもある。この状況においてもまだ、自分は夢であって欲しいと頭のどこかで考えていたのだろう。



「あ、また美鈴さん刺されてる」

また、居眠りをしていたのだろう。額に銀のナイフを指したまま苦笑いをする美鈴さんを、咲夜さんが説教しているようだ。

「あら、夕月お帰りなさい」

「ただいまです」

説教を中断し、咲夜さんは挨拶を交わす。しめた、と言わんばかりに美鈴さんは、

「夕月さん、朝ごはん一緒に食べに行きませんか?」

と、アピールをしてくる。

「美鈴?貴女はまだ話が終わってないわよ?」

擬音をつけるなら、ゴゴゴゴゴ。

怒りをあらわにする咲夜さんももう見慣れたものだった。

味噌ラーメンが好きです(唐突)

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