55話
文才をください
紅魔館門前。
何時もの様に紅美鈴は門番をしていた。無論船を漕ぎながらではあるが。と、居眠りをする美鈴の隣に珍しく攻撃を目的とした者ではない誰かが訪れていた。
「美鈴さん、おはようございます」
「……ッ!ちちち違います咲夜さん!寝てません!寝てませんよ!ちょっと目を閉じて考えてた……ってなんだ、夕月さんか……驚かさないでくださいよ……」
居眠りを折檻されると思っていたらしくかなり慌てる様子を見せた美鈴はかなり滑稽な姿であった。
「……て、あれ?なんで夕月さんがここにいるんでしたっけ……?」
「人がせっかく帰ってきたのにその間寝てたのは誰でしたっけ?」
質問を質問でたたきつぶす様に夕月は冷たい笑みを浮かべる。
昨日夕月が咲夜に連れられて紅魔館へと帰ってきた時、案の定美鈴は寝ていたのだ。待ってましたと言わんばかりに出迎えにいたフランが真っ先に飛びついてきた。何故出迎えることができたのかは皆目見当がつかないが。
そんなところで美鈴は相変わらずぐっすりと寝ていたのであった。
「……よ、夜でしたから……」
「そういうことにしておきますよ」
笑みを崩さぬまま夕月は紅魔館の中へと戻っていった。
「……zzz…」
***
「……いつまでここにいるのよ」
「いいじゃないか、減るもんじゃあるまいし」
呆れて二の句が出ない咲夜は大きなため息をつきながら部屋を出た。昨日から霊夢と魔理沙は夕月の部屋に転がり込んでいた。
「まったく、昨夜の言う通りよ魔理沙」
「そういう霊夢さんもですよ……」
咲夜と入れ違いで入ってきた夕月まで彼女らにため息をつく。
「神社に賽銭が入ったら帰るわー」
「到底無理な話じゃないですか……」
あの、博麗神社に賽銭が入ろうものならば天変地異が起こりかねない。それぐらいにも彼女等はなかなかに帰ろうとはしなかった。
「そういや夕月、あのー、冥界の……うーんと……なんだっけ、あの刀使い」
「妖夢……かな?」
「そうそう、そいつだそいつ。で、夕月。一つ聞いてもいいか?」
疑問符を頭の上に浮かべながら夕月は肯定するように頷いた。が、唐突の魔理沙の問いかけに何も考えずに頷いた夕月はその後、後悔することとなった。
「お前、あいつとどこまでイッたんだ?」
一瞬だけ理解が追い付かなかった、が、段々と夕月の顔は羞恥に赤く染まり立ち上がって文句を言おうと……、
「なっ「何ですって!!?」
夕月の言葉を遮る何かが窓をこじ開け飛び込んできた。
「誰が夕月さんの貞操を奪ったんですか!?」
「……射命丸?……あんた、本物の変態ね」
霊夢の冷たい視線が射命丸に突き刺さっていた。
因みにではあるが、霊夢が理解出来た言葉は「貞操」だけである。
「イッたって何?」と後の彼女は紫に問いて笑われるらしい。
あそびたいのに課題が多い




