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東方陰影記  作者: 凛
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51話

大変ですね

「…面倒だな」

夕月は目の前に広がる弾幕を前にため息をついた。彼女達が知る夕の様に。そして目の前の弾幕に一閃、刀を一振りした。

「…………」

彼を目指していたはずの弾幕は彼を避けるようにして白玉楼を目指す門へと着弾し大きな爆発音を起こした。消え去った弾幕に隠れていたのは驚いたように目を丸くする少女三人の姿であった。


***


時は十数分前に戻る。

冥界を目指し、空を舞う花びらを辿いながら何とか白玉楼へとたどり着いた少女達は多くの桜が彩るその地へと足を踏み入れようとした。

が、まるで門番の様に威圧を放ちながら二人の少年と少女が立っていたのだ。

「……何の用だ博麗の巫女よ」

「異変を解決しに来たのよ、そこを通しなさい……"夕"」

古い名前を呼ばれた夕月は困った様に眉を変形させながら霊夢たちの前に阻む様に立ち、腰に下げていた刀を抜いた。

「やるって言うのね……」

「相手にしたくは無かったんだが……仕方ないんだぜ……」

夕が冥界にいることの予想が付いていた彼女達は少し残念そうに臨戦態勢をとる。無論弾幕ごっこの、だ。

「……どちらかが立てなくなるまでだ」

「この楼観剣に切れぬものは少ししかない!」

少しはあるのかよ、と残念そうな顔を浮かべる魔理沙。しかしその間抜けな表情もすぐに真剣な眼差しへと変わった。


……そして冒頭に戻る。


「だ、弾幕を切り裂いた……だと……!?」

ありえない、と言わんばかりに声を荒らげる。それもそうだろう。原作を知っている夕月でさえ弾幕を切り裂く、ということは無かった筈なのだ。これが自分の及ぼした影響なのか、と考える夕月はただ残念そうに、悲しそうに次から次へと放たれる弾幕を切り裂いていった。

「この程度……なのか?博麗の巫女よ」

無傷。

この状況が3人をゆっくりと追い詰めていった。今までであったなら確実に通じていた技が通じない。これほどに恐ろしい状況があるのだろうか?

と、咲夜が前へと歩を進めた。

「これなら……どうかしら!?」

次の瞬間、夕月と妖夢の周りを覆い込むように大量のナイフが二人めがけて飛んでいった。大きな爆風と砂埃が二人を包み、彼等の姿を視認できなくさせていた。


「まったく……、実に恐ろしい技だ……」

ナイフが頬を掠めたのであろう。頬を伝う血を拭いながら平然とした顔で砂埃から姿を現す。同じようにほぼ無傷の妖夢も砂埃から現れた。

が、夕月の内心はかなり焦っていた。技を知っていたからこそほぼ無傷で抑えきれたものの、正確に戦力を削ぎに来るナイフを瞬間でたたき落とす作業はかなりの精神的苦痛であった。妖夢は汗一つ流さずにその作業をしている所からして夕月と体力の差が大きく開いていることがわかる。



「……」

一瞬だけ刀の刀身に夕月の顔が映った。随分と苦しそうな顔であった。体力的に、ではない。かと言って精神的にも見受けられない形容し難い微妙な顔。自分が一体何をしたいのか、それすらもわからなくなってきている夕月であった……。


眠いし

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