50話
無事二年生になれました
「霊夢…、私がここに呼ばれた理由を教えてほしいのだけれど?」
「少し待ってて。まだ魔理沙が来てないわ」
雪積もるとある春の日の朝。霧雨魔理沙と十六夜咲夜は博麗神社に呼び出されていた。理由も教えず、有無を言わさずにつれてきた霊夢に若干の苛立ちを見せる咲夜。その微妙な空気間に上空から聞きなれた声が彼女たちの耳と響いた。
「よーう。待たせたみたいだなー?」
「まったく…。で、霊夢、今度こそ教えてもらおうかしら」
「ええ、いいわよ」
言葉を続けるわけではないらしく、霊夢は裏に置かれた小包のふたを開け、中から小さい何かを取出し卓袱台の上に置いた。
「あなたたちを呼んだ理由は'コレ'よ」
コレ、と言って指をさしたものはあるはずのない桜の花びらであった。
「さ、桜…?」
「一体どこに咲いていたのかしら…?」
魔理沙と咲夜は首を傾げた。それもそうだろう、春に雪が積もるという異常気象の最中で桜が咲くはずがないのだ。そもそものところ咲いている桜を見た覚えのない彼女たちは頭を悩ませるばかりである。
「で、どうもこの桜の花びらは人里とかにも舞ってるらしくてね…。それで射命丸にお願いして桜の花びらの発信源を調べてもらったの…。そしたらね…」
と、ここで話を区切り、顔を二人に寄せた。それにつられるように二人も霊夢に近寄った。声を細め、霊夢は話を続ける。
「どうも冥界らしいのよ…」
「めっ!?」
「魔理沙静かに!昔紫に聞いたことがあるんだけど、冥界の主が紫の大親友らしくてね…、もし紫に聞かれでもしたら胃に穴が開くほど責任感じちゃいそうで…藍がかわいそうじゃない」
霊夢なりの気遣いであった。お人よしの紫に迷惑をかけまいとする霊夢の気遣いに納得したように二人は微笑んだ。
「じゃあ…冥界まで異変解決に行くのね…、生きて帰ってくるのよ」
心配するように咲夜は二人を見つめる。魔理沙は「オウ」と小さく相槌を、霊夢は可笑しそうに眼に涙をためながら腹を抱えている。
「…霊夢?」
「アハハハハハハハ八ッ、あんた面白いこと言うわね。今回の異変はあんたも付いてくるのよ!」
唖然とした魔理沙の顔が咲夜へと伝染していく。その顔を見て霊夢は苦しそうにじたばたと笑い続ける。と、何かを理解したらしく魔理沙もだんだんと頬をあげ微笑んだ。
「あっ、レミリアには許可とってあるから拒否権はないわよ」
「…え!!?」
やったねたえちゃん!




