42話
冗談です。
じょうだんです。
ジョウダンデス。。
「…夕さん遅いですね」
「いいじゃない、男の子なんだしね。少しぐらい」
酒瓶を傾けながら幽々子は微笑む。と、頭の上に疑問詞を浮かべた。そもそもあまり外出をしない夕がここまで遅いのは不思議なところ。
「心配なら…迎えに行ったらどうかしらね?」
扇子で口元を隠し妖夢をからかうようにこう言った。が、妖夢はまんざらでもないらしく、頬を若干赤らめながら立ち上がった。
「じゃ、じゃあ行ってきますね幽々子様!」
ドタバタと廊下を走る音が白玉楼に響く。
「あらあら、妖夢も男を知ったのかしら?」
「紫…、妖夢はそこまで淫乱じゃないわよ」
スキマから上半身だけ出し、幽々子に問いかける。呆れたように笑う幽々子の顔を見て、紫は幽々子の頬をつまんだ。
「はひすふのひょ」
「冗談にそこまで言わないのが礼儀よ」
と、頬から手を離し、スキマの中をがさごそと探る。
「私にも呑ませてもらえるかしら?」
スキマの中から酒瓶と盃を取出し、幽々子の正面に腰を掛ける。
静かに注がれる酒をどこか寂しそうに眺めていた親友の顔に幽々子は何故か笑みを零していた。
***
「…で、これはどういうわけなのか説明していただきたい」
正座。
夕の前にアリスと霊夢を除いた三人。魔理沙に咲夜、そして射命丸が夕の前に鎮座していた。
「あはははは、何のことか知らないんだぜ…」
と、夕から目を逸らし冷や汗を流し続ける魔理沙。
「べ、別に何もしてないわ…」
と、頭を抱えた某有名なカリスマガードの体制の変態。
「久しぶりの夕月さん…久しぶりの夕月さん…久しぶりの夕月さん…」
と、トリップしたままの傍目ヤク漬けの射命丸。
この三人の前に夕はただただ呆れたような、軽蔑したような何とも言い表せない顔をした。
「…そこの巫女、自分が意識を失っている間に何が起こったか説明してはくれないか?」
「霊夢でいいわよ…。ていうか、アンタが起きた状態のまんまよ」
夕が起きた時の状態。
例えば、一人の魔法使いが手足を拘束していたり、
例えば、一人のメイドが夕の服を脱がしていたり、
例えば、一人のカメラマンがその光景を恍惚とした表情で写真に撮っていたり、と。
夕が起こる理由が分からなくもない。これでは強姦、睡姦、輪姦される寸前の男性図とも取れなくもない。
「なぜ止めてはくれなかった…」
「そこの変態三人は止めて聞くような奴らじゃないわよ」
肩をすくめながら霊夢は縁側に腰掛けた。どこからか出してきたせんべいを口に放り込みながら話を続ける。
「そもそも、気絶したアンタが悪いんでしょ?」
「なぜ気絶したかは知らんがな」
と自信に起きたことを理解できない、と首をかしげる夕。
「私に遭遇した時に驚いて気絶した感じよ…」
薄ら笑みを浮かべながらアリスは霊夢の隣に腰を掛ける。
「よくここまで連れてこられたと思うぜ」
「上海と蓬莱には苦労をかけたわ」
膝の上に座った人形の頭を撫でる。「シャンハーイ」という可愛らしい声が嬉しそうに耳に響いた。
「さて、話の続きだ。これ以上言い訳をするようなら一発ずつ殴るからな」
拳を握り締め、夕は三人のほうへと歩を進めた。
「あっ…ちょっと待て!待てって言ってっ!あーーーーーっ!!痛い!本当に殴っ待て!なんで私に3発も入れてるんだーっ!!」
白目




