4話
人間って飢餓状態になるとどうなるのかな
「…まじかよ」
「なー、ゆーき。弾幕ごっこって何だよー。教えろよー」
少し頬を膨らませながらチルノは制服の裾を引っ張る。
「弾幕ごっこはまた今度教えてやる。だから―――」
「…ゆーき。死にたいの?」
また、チルノに呆れられてしまった。⑨にここまで呆れられると流石の俺でも多少は傷ついてしまう。まぁ、頼み込んだことを考えれば当たり前のことであることは自分がよく分かっている。
「この先まっすぐ行けば、そこだよ」
「おお、ありがとな、チルノ。また今度な」
そういうと、ゆーきは走って行ってしまった。
バカバカ言われてるあたいでもわかるよ。生身のニンゲンがあんなとこ行ったらただじゃおかないってことぐらい。っていうか、誰よ。あたいのことバカバカ言うのは!あたいはバカじゃない!さいきょーなんだぞー!ガオー!
「チルノちゃーん、どうしたのー?」
「あっ、大ちゃん。実はねー」
でも、ゆーきはまた今度って言ってたから。約束破ったら今度こそ氷漬けにしてやるんだから。ん?ゆーきって外のニンゲンだったよね。何であそこのこと知ってるんだろう…?
霧の湖の周りを案内されているうちにとっくに日が昇り、汗が頬を伝う。
よくよく考えると昨日から何も食べていないのにも、かかわらず出るものは出るんだな、と人間の体に感心していた。
「おお…。モノホンだ…」
チルノと別れて、おおよそ1,2時間程度たった今ようやく目的地、―――紅魔館が視界に映った。霧に隠れていたせいなのか予想以上に近くに見える。
そう、チルノに頼んだことは、紅魔館までの道の案内。ある程度走っているつもりではあったが、やはり実際の地形では案内なしではあと数時間はかかっていたことだろう。
やはり紅霧異変の前とはいえ、居眠り門番は健在のよう。
無論、要件があるのはこの居眠り門番である、紅美鈴に、だ。
本当なら、この館のメイド長にお頼みしたいのだが、流石にスペルカードルールのない今ではこの館の主の餌、もしくは奴隷になることは間違いないだろう。
よって唯一(?)の良心的存在である美鈴に話しかけようという魂胆なのだが、如何せん酷い空腹状態のためかその気力さえかき消され始めている。
「…や…ばい。食料もらえたら…とか思ってた、けど…その…前に倒れそ…」
終いには目の前の景色さえ歪み始めている。やばい。もうその一言に尽きるのみ。
これなら…凍らされた方がよかったのかな…。
「…んあ?」
目が覚めたとき、俺は見慣れない部屋にいた。何を言っているのか俺自身もさっぱりわからないがありのまま起こったことである。
「目が覚めたようだな」
「!?」
さらに訳が分からない。
目が覚めた時、視界に写ったのは幼女。少し長めの犬歯が微笑む口から見えた。そして特徴的な帽子がこの幼女が一体誰なのかを俺に教えてくれた。が。
な、何で俺の寝ているベッドの横にレミリアが座ってるんですか?
あれ?美鈴どこ行った…?




