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東方陰影記  作者: 凛
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35話

さて、フラグを大建築していくスタイルでござる。

「…コートが無いと違和感があるな」

幽々子によってコートが捨てられ、着物姿で生活するようになったのだが慣れていたものがなくなったことによる違和感が夕を悩ませていた。

「まあいつか慣れますよ。じゃあ夕さん行きますか?」

「行くって……どこにだ?」

「それは勿論食料の買出しです。荷物持ちとして働いてもらいたいのですよ」

ああ、と感嘆の声を上げ夕は納得した。幽霊の癖に大量に食事をする幽々子のおかげで買いだめをしておいた食料は底を尽きたらしい。

「仕方無い。ついでの用事として春度でも集めるかな」

「ありがとうございます!」


***


「で、何をどれだけ買うんだ?」

「量ですか…。そうですね、肉に野菜、魚や果物をそれぞれ店一件分ですかね」

「……っ」

空いた口が塞がらない、その言葉が今の夕にはピッタリであった。幽々子が大食いなのは知ってはいたがここまでとは呆れて何も言えなかった。

「人里まで行きますからちゃんと付いて来てくださいね」

「……わかった」


***


一方その頃。

「珍しいわね魔理沙。私にお団子を買ってくれるなんて」

「へへっ、臨時収入が入ったんだぜ」

霊夢と魔理沙は人里に団子を食べに来ていた。三色団子を両手に抱え幸せそうに微笑む霊夢を嬉しそうに眺める魔理沙。と上空からおじゃま虫が降ってきた。

「あやややや、デートですか?」

「んなわけあるかって。私はただ霊夢と団子を食いに来ただけだぜ」

肩をすくめ、空から降ってきた悪質な新聞記者を睨みつける。当の本人はそんな事は気にせず、顔の前でカメラを構え『シャッターチャンス』を待ち望んでいた。

「最近新聞を発行してないみたいだけど、でっち上げ記事は書かないのかしら?」

1本の団子を食べきり、霊夢は射命丸にこう質問をした。

「でっち上げとは酷いですね…。ですが、なかなかいいネタにありつけなくてですね。こうしてネタ探しに明け暮れているのですよ」

「そもそも購読者の少ない新聞なんだしいいんじゃないか?」

「あやややっ、それはないですよ!」

最もなことを言われ頬を膨らませて怒りを強調させる射命丸。

事実、でっち上げ新聞の購読者は多くは無い。読む人は物好きである。無論、信じている人は少ない。



はず。

そんな事で話題が盛り上がっている中のことであった。



「…重い」

「頑張ってください!まだまだ買いますよ!」

道を挟んだ反対側に大量の荷物を抱えた少年と肩元にふよふよと白く丸い何かが浮かんでいる少女が奮闘していた。


「あら大荷物ね、あんなに買うお金があるならお賽銭しなさいっての」

「ボロ神社なんぞに誰が賽銭を入れんだよ」

「そういえばこないだ少しだけ賽銭が入ったそうですね」

博麗神社に賽銭が入る事が珍しいらしく、目を丸くしながら射命丸はそう言った。実は賽銭の量が何時もよりも何倍も多く、霊夢としては感謝感激雨あられ、と言ったところなのだ。

「…あの男の顔、どっかで見たことあるんだけどなー。如何せん距離があるから見えないぜ」

「私が行ってきましょうか?」

カメラを掲げ、餌を見つけた狩人の様な目を輝かせながら空へ舞う。返事を聞くことが待ち遠しかったらしく二人組のかなりの前方に降り、すれ違いながら顔を確かめようという作戦らしい。

降り立った射命丸は魔理沙たちに頭の上に『〇』を作り、準備が出来た事をアピールした。

歩き出しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、射命丸は目を大きく広げ、命同然であるカメラを落とした。


「……大丈夫か?天狗の少女よ」

「……………大…丈夫……です」

大荷物を抱える少年は、射命丸が下に落としたカメラを拾い上げた。一方カメラを落とした射命丸は、俯き消え入りそうな声で返答をした。

「……あの」

「何だ、要件があるから手早く頼みたい」

「私の事、知ってますか?」

俯いていた顔を上げ、何故か涙で潤む瞳で少年を見つめる。何故泣いているのかわからない少年は首をかしげ、こう答えた。

「……いや、知らないな」

「っ!」

「夕さーん!次行きますよー!」

少女に呼ばれ、少年は射命丸にカメラを押し付けるようにして渡し、横をすり抜けていった。

その場に残された射命丸は呆然と少年の背中を見つめ、ただひたすらに涙を流していた。







***


「夕さん、知り合いですか?」

「……いや、知らないハズだが…もしかしたら忘れているだけかもしれないな。大事な、何かを」

こう答えた夕の顔を妖夢はじっと見つめ、言葉を続けた。

「思い出さなくてもいい事だってあるかもしれませんよ」

「………………どうなんだろうな」

その呟きを最後に会話は途絶えた。


夕はまだ知らない。自分がどんな人間でどんな生活をして、どんな人と関わりを持っていたのかを。

それを知らない彼はただ無意識に人を傷つけ、泣かせ、時に人を喜ばせる。

彼が記憶を取り戻したり、この日記の主人公が戻ってくるのはいつなのか?


時はいずれ訪れる。

ここまで書くとどうなるかわかるのかなー?

てか、これっていわゆる前言撤回ってやつですなアハハ(´∇`)

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