31話
パチュリーさんが最初に出ますv^^v
お知らせ。
クラスメイトに垢バレしますたww
「無理ね」
「っ!!」
紅魔館当主、レミリア・スカーレットは親友のパチュリー・ノーレッジと何かの言い争いをしていた。
「死者を蘇らすなんて私には出来ないわ」
そう吐き捨てると、彼女は目の前のカップに入ったアールグレイを飲み干した。
死者を蘇らす、パチュリーは確かにこう言った。誰を蘇らすことを望んでいるのかは言わずもがなであろう。が、しかし魔法で出来ることにも限りがある。死者を蘇らす事など夢のまた夢の技術なのだ。
「それにね、レミィ。死んだ人間を蘇らせてどうするつもり?あなたの言う通り彼がルーミアに食べられたとしたら生き返ったとしてもかなりのトラウマになっている可能性が高いわ。妖怪自体をね」
レミリアはスカートの裾を強く握った。
「……そんな事は解ってるわよ」
「諦めなさいレミィ。それでも500年生きてきた高貴な吸血鬼なのかしら?いつまでもくよくよされていてもついて行くほうとしては呆れるわ」
パチュリーは手に持った魔道書を閉じ、窓から見える空を見上げた。空は青く、雀が飛び回っていた。
***
「自分の名前……?」
「そうよー。いつまでも名前が無いまんまじゃ呼びづらいじゃない」
広げていた扇子を畳み、西行寺幽々子は男にその扇子を突きつけた。
正確には名前が無いのではなく思い出せないだけなのだが、思い出すまで名無しの権兵衛という扱いも可哀想である、という意味だ。
しかし、それは妖夢に限りであったりする。
「名無しの権兵衛のゴンちゃんとかでも可愛いかもね」
「好きに呼んでくれて構わないのだが…」
と男は頬を掻いた。生前の記憶がない自分にとっては名前などどうでもいい、と男は考えてもいた。
「ゴンちゃんってなんかゴツく聞こえませんかね」
「そう?私は可愛いと思うけど…」
幽々子様のネーミングセンスって微妙ですね、と呟いた妖夢の言葉は幽々子に聞こえているはずもなく。
「じゃあ、ヤンとか?」
「なんだその中国拳法家みたいな名前は」
今更ではあるが男には一般常識、という知識はあった。失っているのは自分自身の記憶だけ。よって今のようなツッコミを可能とするのだ。
「じゃあ、幽霊の"ゆう"でどう?」
「好きに呼んでくれて構わないって…」
はあ、と男は溜め息をついた。名前なんかどうでもいい男にとっては正直なところ馬鹿らしく思えている。
「幽々子様にしてはまともな案が出たのでこれでいいでしょう」
「しては、ってどういう意味なのよ…」
「そのままですよ、で漢字はどうします?」
その言葉を聞いた幽々子はエヘンと胸を張った。
「それはもちろん夕方の"夕"よ」
「その心は?」
「画数が少ないから」
まるで漢字を書くのが嫌いな子供のような答えに二人は再びため息をついた。
***
「夕…か」
夕、と名付けられた男は身に着けていたコートを脱いだ。白玉楼に来たその時から夕はとても大きなコートを羽織っていた。コートについている帽子もかぶったままのため確認できるのは片目が欠落している、ということだけであるために幽々子たちは彼が年端のいった男性だと思っている。
彼には、自分がこの鏡に映る姿を毎回信じられなかった。
夕はコートから解放された自身の体を鏡に映す。欠けた右目と引き千切られた左腕がとても醜く見えた。が、それと同時に若い少年の姿も映った。
「どうして、自分は死んだんだろうな…」
悲痛に満ちた彼のつぶやきを聞いたものはいるはずがなかった…。
ねー、夕が夕月なんでしょーってクラスメイトに言われましてね。
まあ…夕が夕月とは一言も言ってないんですよね…




