3話
チルノの口調がな……
「聞こえてるかー?そこのニンゲン?」
耳に届く甲高い声、そして背筋に伝わる冷気が声の主を物語っている。
「おーい、聞こえてんのかー?無視すんなら凍らせるぞー?」
「あー、はいはい。聞こえてますよ」
少々物騒な言葉が聞こえた気がしたのだが気のせいだろう、いや、気のせいにしたい。凍らされたくないし。
「まったく、無視するなんていいドキョウだな。さいきょーのあたいに歯向かったらどうなるのか教えてやろーかー?」
「やめて、俺まだ死にたくない」
「大丈夫だ、きっと死なないよ」
ありもしない適当なことを言いだす声の主。普通の人間なら凍らされたら、一発で昇天コースを亜音速でぶち抜けるって。
そんなことを考える少年に、ふと笑みがこぼれる。たった数時間ぶりなのに、もう何日も笑っていないような感じがした。正直ここまで自分が疲れているとは思ってもいなかった。どちらかというと気分は最高潮であり、疲れなどは感じてはなく、むしろ今からはしゃぎたい。
「そういえば、お前の名前は何て言うんだ?あたいの名前は、チルノってんだよ」
「俺の名前か?
俺は…神崎夕月ってもんだ。よろしくな、チルノちゃん」
そういうと、神崎は右の手をチルノに差し出す。
「ん?なんだこの手は?」
「握手だよ、握手。仲良くやってこうぜ?」
「…おう!」
にっこりと微笑んで、チルノは俺の右手に自身の右手を合わせた。
氷精の癖に、手は無駄に暖かかったのが印象に残っている。
「え?それじゃあゆーきは外のニンゲンだったのか?」
「まあ、そうだな。俺もどうやって幻想郷に来たのかは知らんがな」
はぁ、と息をつくと神崎に、チルノは呆れたように笑っていた。
「なら、最初にあったのがあたいでよかったな!」
ドン、とでも表せばいいのだろうか?「あたいよくやった!!」と胸を張りながら大笑いしている。
「もし、ルーミアに会ってたら今頃ゆーきは骨になってたぞ?ニンゲンを食べる量を減らしてる今のルーミアに会ったらイチコロだったな!」
「ん?人間を食ってるのか?」
今の言葉に、少しだけ違和感を感じた。"スペルカードルール"いわば弾幕ごっこが採用されている時代ならば、外来人ならともかく、里の人間は襲っちゃいけないんじゃなかったっけ?あれ?俺の記憶が混濁してるだけなのかな?
「なぁ、チルノ。一つ聞いていいか?」
「いいけど??」
「弾幕ごっこって知ってるか?」
ん?っとチルノは頭をかしげ、長い時間ない頭を使って考える。
そして、
「弾幕ごっこってなんだ?」
俺が来た幻想郷は紅霧異変以前の幻想郷だったのだ。
咲夜さんhshs
はやくでてきてほしいんだけど




