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東方陰影記  作者: 凛
27/70

26話

べ、別に弾幕ごっこが書けないだけじゃないんですからね///

「あやややや……、ネタがありませんねぇ……」

と愚痴を漏らしながら森を歩くは新聞記者と弾幕を教わりに来たハズの助手見習いの2人。

「ネタが無いなら文々。新聞を休刊させればいいじゃないですかぁ……」

「私の新聞を待ってる人がいるんですよぉ……」

待ってる人なんているのかよ、と神崎は失笑した。正直、嘘か真か定かではない新聞を読む人などいるのだろうか、まあいるとすればよほどの物好きだろう。

***

「ヘックチ」

「あら、珍しい起きてたのね」

「咲夜さん……私だってたまには起きてますよ!」

「たまにじゃ困るんだけど?」

「あ、はい」

***

言われたい放題の射命丸だが、神崎がこんな事を考えているとは露知らず。並列して歩く神崎の横顔を何故か撮影していた。

「何してるんですか?」

「見ての通り写真撮影ですよ?そもそもこの間の取材だって途中で記事にするまでには至ってないんですよ?」

「意味わかんないですよ……。ていうか前後の繋がりが皆無じゃないですか……」


時刻的には11時程度なのだが、2人は実に4時間歩き通しなのだ。そもそも、普段空を飛んでいる射命丸にとっては、通常の倍程度の疲労が体に蓄積されている筈だ。

「夕月さん……休みませんか……?」

どこからか取り出した白布で頬を伝う汗を拭う。日々の日課であるランニングを欠かさずにこなしている神崎にとってはまだまだ体力的には余裕があるのだが、

「まぁ、そろそろひるですし、休みますか?」

クタクタになっている射命丸を見るチャンス、と言わんばかりにニッコリと神崎は微笑む。

***

「なんで夕月さんは私のカメラを構えているんですかね?」

「ねぇ、って言われましてもねぇ。まあ、先程の仕返しと考えていただいて構いませんよ?」

と、清々しい顔で笑い、カメラのシャッターをきる。フィルムに写されたのは、納得がいかないという顔で頬を膨らます射命丸の姿であった。

「もうっ、そんなことばかりしていると夕月さんのお弁当も、食べちゃいますよ!」

「ああ、ちょっとそれは!」

急いで弁当(おにぎり)を抱える。

「まったく、油断もスキもない……」

はあ、とため息をつき、神崎は草の上に転がる。風に揺れる木々の間から差し込む穏やかな光が眠気を誘う。そして、神崎はそのまま寝息を立てて眠ってしまった。…わきに弁当(おにry)を抱えたまま。

「あや?眠ってしまいましたか…」

随分と幸せそうな顔をして眠る神崎の顔を覗き込み、弁当(おry)に手を伸ばす。と、

「次は春雪かあ…」

寝言にしてははっきりとした口調でこう言った。





「春に雪が降るとは…?一体どんな夢を見ているんですかね」

寝言に微笑みながらおにぎりを頬張る。


――――――季節は間もなく中秋を迎える。

「あのー、俺の弁当は…?」

「食べました」

「……太りますよ?」

「お、乙女にそれを言いますかっ!?」

「乙女笑」



…この後めちゃくちゃ説教された。

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