23話
「俺、この戦いが終わったら紅魔館に帰るんだーーー」
「で、あんたらはなんでここに来たわけ?」
ゴゴゴゴ、とでも表せばいいのだろうか。彼女の背後にはまるで不動明王が立っているかの様な威圧がそこで正座をしている3人に突き刺さる。
「えーっと、夕月が説明します」
慣れない正座にモジモジと足を動かすフラン。
「あー、美鈴さん。お願いします」
責任転嫁の如く隣にいる美鈴を指さす神崎。
「えっ、ええ!?なんで私がっ!?」
責任転嫁された事に憤り大声を上げる美鈴。
「何でもいいから早くしてもらいたいんだけど?」
そして、その三人を前に腕を組むは博麗霊夢。何故か3人は目指すはずの紅魔館には着かず、博麗神社に着いてしまっていた。
「あのー、紅魔館に帰ろうとしてたんですけど…………迷いました」
「何でここに来るわけ?魔理沙の所にでも行けば良かったじゃない」
と、何故か照れくさそうに頭を搔く美鈴の話に、霊夢は「意味がわからない」と一蹴した。
「おいおい、それはないだろー。私の家じゃせいぜいフランと夕月で精一杯だぜ?」
縁側に腰をかける魔理沙が文句ありげにため息をつく。
「なら、美鈴には家の前に立っててもらえばいいじゃない。腐っても門番でしょ?」
「あー、その手があったか」
そう納得する魔理沙をみて、「腐ってないですぅ……」と涙声で訴える美鈴。
「そもそも何で門番が自分とこの家がわかんないわけ?それがもう意味わかんない」
「っ!」
もっともなことを言われて黙り込む美鈴の姿に魔理沙は腹を抱えて笑う。本当にこの人は紅魔館の門番なのだろうか、そんなことを考え始めた神崎とフランであった。
「あややや、『博麗の巫女、カリスマ(笑)の妹を従える』でしょうか?」
「何であんたまで来るかなぁ」
上空からマスコミの声が響く。若干、レミリアへの嘲笑が入っていたのは気のせいだろうか……?
「夕月さん、自らの体を張って取材(ネタ作り)なんて上司として尊敬しますよ!」
「いや、ネタ作りしてたつもりなんて一切無いんですけど。てか、勝手に上司を名乗らないでください」
呆れたような神崎の顔をフラッシュの光が「パシャ」、という音と共に照らす。何故か射命丸は神崎の顔写真を撮っていた。
「ちょっと肖像権…」
「しょうぞうけんってなんだ?」
と真っ先に笑っていた筈の魔理沙が飛びつく。目尻の涙を拭い、ゴスロリチックな服のポケットから紙とペンを取り出し興味深々に次の言葉を待つ。
相反して、しまったと言わんばかりに顔をしかめる神崎。どうも最近気が抜けているらしく、外の世界の言葉を使い始めてしまっている。気を入れなくては、そう思った神崎である。
「妹様、こんなとこまでお出かけしていらしたのですね。もう酉の刻です。お夕飯になりますので帰りましょう」
不意に後ろから声が響く。
「あ、咲夜じゃない。早くこの3人を持ち帰ってくれるかしら」
と、半目と手のひらで帰るように仕草を送る。
「夕月もこんな所にいたのね。お嬢様がカリスマブレイクするぐらい心配しているわ。ほら、二人共帰りますよ」
「カリスマブレイクするほどって『うー☆』とか?」
帰ろうとしていた咲夜の足がピタリと止まり、後ろを振り向く。鼻から忠誠心を垂れ流し、グッと親指を立て、いい顔をする。
「って、咲夜さん!私のこと忘れてませんかぁぁぁぁぁあっ!!!」
今日の幻想郷も平和である。
「妹様を連れて迷子とはいい度胸じゃない?」
「いや、あの、実は、いえ、言い訳…………どうもすいませんでした」
「今日は気分がいいから少し多めにサービスして上げるわ♪」
このあとめちゃくちゃピチューンした




