22話
萃香がはいってもごっこなのかなー?
「お前何やってるんだー?」
森をとぼとぼと歩く神崎に声がかかる。
「あー、なんだー。チルノちゃんかー、久しぶりー」
「疲れてるみたいだなー」
声の主は命の恩人、自称さいきょーのチルノであった。
「へー、しゃめーまるに捕まったんだな」
うんうん、と頷き納得した様な顔のチルノ。
「まあ、そんなところ。チルノちゃんは何やってるの?」
「大ちゃんとかルーミアとかと鬼ごっこしてる。でもあたいはさいきょーだからわざと鬼をやってるのだ」
「へぇ」
このまま誰も捕まえられなくて泣きそう、そんな光景が脳裏に浮かぶ。随分と微笑ましい光景が頭に浮かび、微笑む神崎であった。
「あ、チルノちゃんがいる!逃げろー!」
近くの草むらから甲高い声が聞こえた。チルノと遊んでいた妖怪、又は妖精の声だろう。
「あっ、まてーっ!!」
チルノは声の方向へと飛び消えーーーー。ゴスッという音が森の中を響いた。追いかけている途中に木にでもぶつかったのだろう。随分と大きな音と「ウギャッ」という叫び声が神崎の耳へと届いた。
「妖精も木にぶつかる…………かな?」
゛猿も木から落ちる゛の様な事を呟き、神崎は再び森の中をふらつく。宛もなく、文々。新聞のネタ探しをする訳でもな
「あれ?夕月だーっ!」
「ありゃ?フランじゃないか?まだ昼だけど外に出てて大丈夫なのか?」
何故かフランが外にいた。確かに紅霧異変が終わったあとなら外に出ていてもおかしくはない。おかしくはないのだが、まだ日が空に昇っている時間だ。吸血鬼としてのアイデンティティとしては不安なものだ。
「んー、森の中だし平気かなーって。それに森の外で美鈴が待っててくれてるからね」
「居眠りしてるな……」
一方その頃
「や、やめてください咲夜さんっ!!もう刺さんな…………夢か……」
やはり居眠り門番は健在であった。
***
「で、夕月はここで何してるの?」
「射命丸さんに捕獲されて文々。新聞の記者としてこき使われてます。はい」
ありのままを語る神崎の顔は実に滑稽なものだった。気恥ずかしそうに目をそらし、顔の前で左右の指を付き合わせる。
見た目は恋に悩む幼気な少女、と言ったところだろうか。
「ち、ちなみにフランはここで何してるの?」
と、唐突に話題を変える。恥ずかしさに耐えきれなかったのだろう。
「チルノ達と鬼ごっこしてるの、でね、チルノったらさっき木と衝突して頭にでっかいたんこぶ作ってた!」
やはりさっきの響音はチルノが起こした音であった。嬉々揚々として話すフランはチルノの滑稽な様にクスクスと笑っていた。
「やっぱりか……」
と苦笑いをする神崎に、フランはこう言った。
「鬼ごっこ終わったら一緒に紅魔館に帰ろっか!」
うーん、次回は久方ぶりの紅魔館…………だといいな




