20話
短いのかなー?
「な、何の事を言ってるのかさっぱりなんだが?」
わざとらしく首をすくめ、紫の顔を見る。が、納得は出来ないと言わんばかりの目は変わることは無かった。
「そうね、じゃあ質問を変えるわ。
貴方はこの霧が何処から出ているのか知ってるわよね?」
「っ!」
八雲紫は当然、彼がこの異変の首謀者が誰かを知っているということを理解していた。実を言うところに八雲紫は神崎を妖怪の山に転移させてから、スキマを利用してこまめに彼の様子を確認していたのだが、神崎が霧雨魔理沙と出会った時に一瞬だけ見せた諦めのような表情に、八雲紫は引っ掛かりを感じた。
まるでゲームのネタバレをされた様な子供のような表情を浮かべた時、とある仮説に辿りついた。
「神崎夕月は幻想郷を知っていた」という仮説だ。
よく考えてみれば、神崎が八雲の名を知ることは無かった筈だ。レミリアともあろう者がこれから起こす異変の真相を語るはずが無いとわかっていたし、幻想入りしたばかりの人間がそれを理解できるはずが無いと当然のように安心していた。
が、彼は八雲紫の姿を認識した瞬間に、彼女が誰だか分かってしまっていたのだ。その時に違和感を感じなかった周囲の者達にも多少の叱責が必要ではあるだろうが、何故彼が八雲の名を知っていたのかを知るべきだった。
そして、再度考え直してみる。彼が幻想入りしてからではなくその前、外の世界にいる時からだ。もし、外の世界で彼が幻想郷についての知識があったらこの仮説はすべて成り立つのだ。しかも彼が知っているのはこれからの幻想郷、すなわち幻想郷の未来だ。
***
「詳しく知りたいわけではないの、知ってるのか知ってないのかだけ教えてちょうだい」
そう真剣な顔で問いかける八雲紫に、冷や汗が自身の頬を伝う。
言っていいのか、いけないのか、これが今後の未来に影響を及ぼす可能性がないとは言いきれないことが喉元まで登っている言葉をせき止めていた。
短いのだー




