17話
オーララー(∩^o^)⊃━☆゜.*・。
「よくよく考えるとさ、霊夢……もう寝てね?」
計画性のない言動に呆れ返る神崎と射命丸であった。
「いやー、あいつ寝てるとこを無理やり起こすとキレるからさ」
「いやいや、誰だって同じだよ」
困ったことだぜ、とため息をつく魔理沙。そして、何を言っているのかさっぱりな2人組は、魔理沙の家にいた。
「あやややや、相変わらず魔理沙さんの家は汚いですねー」
「うるさいなー。私はこれでいいんだよ」
ニートの様な言葉を言いつつ、魔理沙は椅子に腰掛け、机の上にあるものを押しのけ、本を並べた。
「私はここで本を読んでるから好きにしてて構わないぜ」
とだけ言い残し、食い入るように魔理沙は読書を始めた。題名には「捨虫の手順」と書かれてる。興味がある訳ではないが、やはり魔理沙は魔法使いであることを認識させられた。
そのことが余計、不安心をかきたてた。
「夕月さん、私は寝ますからーーーー襲わないでくださいね?」
「は!?」
冗談です、と笑うと射命丸は散らかった物を退かし、布団を敷き潜り込んでいった。
「ったく、冗談でもそれはないって」
再び苦笑いを浮かべ、神崎は窓からもう一度空を見上げた。
やはりそこには、綺麗な星が輝いていた。
***
「うーん……夕月遅いわね」
「珍しいですね、咲夜さんがここまで待つなんて」
紅魔館門前には珍しく起きている美鈴と完全でへんた…………瀟洒なメイド長、十六夜咲夜が肩を並べてたっていた。
「妹様が待っているからね」
「まあ、フラン様が初見の人間によく本なんか読んでもらいましたよね」
凄いなぁ、と感嘆の声を上げる美鈴をよそに咲夜は呆れたように笑った。
「あんたが脳筋だから妹様も合わせてくれるんじゃないかしら?」
「酷くないですかね…………。でも、今頃フラン様何してるんでしょうね…………?」
***
夕月が姿を消して数時間。
フランは夕月が持ってきた童話集を読んでいた。夕月に読んでもらった話は四節。
「桃太郎」に「かぐや姫」、「ピノキオ」そして最後に「白雪姫」。
フランは白雪姫に親近感を持っていた。
母から疎まれ、家を追い出された挙句、毒りんごを食べさせられ危篤状態に陥る。ほぼ死体同然の彼女をみつけた王子様はその死体を持ち帰ろうと従者に棺桶を運ばせるが、従者は棺桶を落としてしまう。その時に白雪姫はその衝撃で毒リンゴを吐き出し、うんよく蘇生され王子と結ばれる、という話だ。
白雪姫は王子様のキスで生き返った、という話が有名だが、それは事実無根の話だ、と夕月は言っていた。どんな人間にも悪意があり、王子の悪意に気づけなかった彼女はこの話の被害者なのだ。そう言った夕月の顔はどこか寂しそうであった。
『でも、私は王子様のキスで生き返った方がロマンがあると思うんだけどなー』
『その辺は読む人の判断だよ』
そう微笑む夕月にフランは不思議そうな顔をする。
『どの話も原作が正しいわけじゃない。ただ、俺は原作派なだけだよ。フランはフランが好きなほうで読んだ方が面白いだろ?』
『じゃあ、私は王子様のキスのほうね!』
それでいいんだよ、と呟き、夕月はフランの頭を撫でる。睡魔が少しずつ意識を侵食していく中で、フランは自身と白雪姫が似ているな、とぼんやりと考えていた。
「だからね、夕月は私の王子様なんだ」
私をここから連れ出してくれる、王子様なの。とフランは本のページを捲った。
そろそろゆかりんの方も書きたかったりする
白雪姫の話には諸説あります。
これが本当な訳ではありませんからね?




