16話
近頃寒いですね。
お元気してますか?
「外の世界では妖怪はいないのですかー」
少し残念そうな顔を浮かべながら、フムフムと手帳にメモをし続ける。
「まあ、いないって言うよりかは視覚されてないというべきかな?俺は信じてる…………、というよりも今目の前にいるんですけどね」
隣にいる、自称清く正しい新聞記者を見る。幸せそうな顔をしながら、手帳を読み返し、人の顔を見比べたり。若干の挙動不審は気にしないでおこう。
「しかし、こんなに星が綺麗だとは知らなかったな」
空を見上げればそこには、まさに星の海と比喩できるほどの大量の星が輝いていた。記憶の中にはここまで綺麗だった夜空はない。技術が発展するに連れて無くなるものがある、と遠い誰かが言ったらしいがこういったものの事なのだろう、と自己納得をさせられた。
「そうですかね?外の世界では星が見えないのですか?」
まるで、いつもの光景だと言わんばかりに不思議な顔をする。いや、まるで、ではないな。これがこの幻想郷という世界では当然のことなのだろう。
「ええ、技術の発展により空よりも街が明るくなってしまいましてね。山にでも登らないと星なんかはまともに見れませんでしたよ」
「あややや、それは残念でしたね」
哀れみを含んだ視線で射命丸は人の顔を見つめる。しかし、この世界での常識は、外の世界では非凡なのだ。
幻想郷には忘れ去られたものが来るという。もしかしたらこの星空も遠い昔に忘れられたものなのかな、と考えると少しだけ胸が痛くなるのは何故だろうか…………。
「あれ?射命丸と…………誰だこいつ?」
ふと、背後から声がかかる。また、誰かと出会ってしまった、そう考えると歴史への介入してしまっているのではないかと不安になり、後ろを振り返るーーーーが、その不安は予想外の出来事に膨張を始めた。
「まさか、お前が噂の紅魔館のヤツか!
おー、面白いぜ。こんな所で会えるなんてよ」
「あやっ、こんな時間にどうしたんですか?異変ですか?」
ハァ、と大きくため息をつくハメになってしまった。まさか、こんな所で彼女と出会うとはほんの少しも考えてはいなかった。
「私の名前は霧雨魔理沙だ。ただの魔法使いだぜ、よろしく」
ニッコリと微笑み、右手を差し出す。この時は随分と間抜けな顔をしていたらしい。突然腹を抱えて大笑いされた。
ゼーゼーとしていたい気が落ち着いた頃、目尻の涙をぬぐいながら
「なんだよ、お前のいたところだと握手はしねぇのか?」
こう、文句を言われた。
「……いや、ちょっと考え事をしていただけだ。
俺の名は神崎夕月。つい最近幻想入りをしたしがない下男だ」
よろしく、と付け加え自身の右手を差し出す。待ってましたと言わんばかりに、ニッと歯を見せて笑い右手を重ねてくる。
「よろしくな、夕月。早速だが、私と共に霊夢の所まで来てもらうぜ」
語尾に「☆」がつきそうな程の笑顔でそう言うと、彼女は、いや、彼女達は有無を言わさずホウキに俺を縛り付け、空を飛び始めた。
最近、文脈が乱れまくっ取ります。




