14話
文ちゃんhshs
新聞記者というものはどの時代のどの国でも同じようなものだ。
被写体の賛否など意に介せず、知りたい欲求を持て余した者達へ情報を拡散する。
まさに、プライバシーの侵害とはこういうことなのだろうかと、神崎は幾度目かのため息を吐いた。
「射命丸さん、何度お断りすれば取材を諦めていただけますかね?」
「あややややや…、許可をいただくまで私は諦めませんよ?」
はぁ…、と再びため息を吐く。
分かってはいたのだ。妖怪の山の付近にいる、ということは遠からず、この記者が取材と称した付きまといをすることぐらい。ただ、最悪のタイミングで出会ってしまった、それだけの事。
分かってはいても、やはり納得はできずにいる神崎に、射命丸は話を続ける。
「貴方のことを知りたいと言っている人がいるですよ。例えば、霊夢さんとか…」
霊夢、という単語を聞き神崎は数秒、体を硬直させた。
それを見逃さない射命丸は、続けざまに話を振り続ける。
「いやー、霊夢さんだけではなく、魔理沙さんや人里の慧音さん、迷いの竹林在住のてゐさんなども知りたがっているんですよ」
***
何故、何故一切のかかわりを持たぬ現自機組が俺の名を知っているんだ…?
いや、それ以外の様々な環境に住む人たちの名前が出てきた。
可能性があるとすれば…、射命丸がこっそり取材に訪れ文々。新聞記事にしたか、またはあのスキマババアが話を漏らしたかのどちらかだろう。
どちらにせよ、これで歴史に与える影響が出る可能性が少しばかり増えてしまった。急いで紅魔館へと帰らないといけないな…。
***
「あや?どこにいくんですか?」
突然、山奥へと足を進める神崎に、射命丸はこう質問した。
「何処…て、紅魔館だが?」
「あのー、紅魔館はそっちじゃないですよ?」
時が止まった――――様な感覚が体を襲った。
と、次の瞬間神崎は顔を紅潮させ、下を俯き情けなさそうに射命丸の方へと歩を進めた。
「…非常に申し訳ないのだが、取材を引き受けるから、紅魔館まで案内してほしい…です」
その言葉を待ち望んでいたが如く、射命丸はにっこりと微笑み、
「では、案内しますので歩きながら取材させていただきましょうか」
これで神崎夕月の方向音痴がばれることになるとは、今の彼は知る由もなかった。
寒いからこたつが最強ですな




