13話
うーん、PCの調子が悪いな…
「――――ねぇ、お姉様。夕月をどこにやったの?」
前略。今、レミリアは眠りから覚めたフランに正座させられていた。
理由は至極単純である。眠りから覚めたとき、最初に視界に入ったものが随分と幸せそうな顔をしたメイド長、十六夜咲夜だったからだ。無論、それが嫌であった訳ではない。嫌ではないのだが、自身の部屋に呆れた顔をした姉がいたとしたら話は別だ。
フランは、レミリアが夕月の行方を知っている、または何処か自分の目が届かないところへと行かせたのではないか、と考えているのだ。
「そ、それは…」
「答えられないの?じゃあ、質問を変えるわ。なんで咲夜が私の膝枕をしているの?ここには夕月がいたはずなんだけど…」
咲夜の膝の上に頭を置いたまま、フランはこう問いかけた。文句をたれながらも、そこから移動する気はさらさらないらしい。
「あのー…、えーっと…」
「お姉様―――いつまでおぜっているつもりなの?」
若干の凶器を孕んだ瞳がレミリアを睨み付ける。レミリアは右と左の人差し指を合わせながら、足をモジモジと動かし続ける。
慣れない正座に足が悲鳴でも上げているのだろう。涙目になりながらも正面に鎮座する咲夜に助けを求める。――――――が、肝心のメイド長はフランの頭を撫でまわしながら鼻から赤いものを垂らしているため、レミリアの視線には全く気づいていないようだ。
「えーっと…や、八雲紫と話があるからって咲夜と代わるように頼まれたのよ…?」
「そーなのかー」
某人食い妖怪のようなセリフをいい、フランは同情に満ちた視線を送る。
情けない―――、そう呟き、フランは大きくため息をついた。
「もういいわ、お姉様。私、夕月が帰ってくるまで待つから」
身体を起こし、フランは二人を部屋から追い出すと、バタン、と大きな音を立て扉を閉めた。
「ねぇ、咲夜…いえ、なんでもないわ」
咲夜に声をかけようとするが、目に涙をためる咲夜の顔に呆れ口を紡いだ。
一方その頃。
「…あれ?迷った…のかな…?」
神崎夕月は森の中を彷徨っていた。
実を言うところ、彼は極度の方向音痴らしい。そのために、チルノに道案内をさせたとまで言われている。よって、妖怪の山から立ち去るはずが、彼は妖怪の山に足を踏み入れていることに気づいていない。
「あやややや、こんなとこに見慣れない人がいますねぇ」
「……っ」
しまった、と言わんばかりに大きな舌打ちが山に響く。
妖怪の山に巣食う妖怪の中でもたちの悪い鴉天狗、射命丸文に遭遇してしまった。
自称清く正しいブン屋を名乗る彼女は、気になる対象を取材しまくる、と言った難癖を持っている。
「おや?貴方はこの間幻想入りをした少年ではありませんか?話によると紅魔館に勤めていたとかなんとか…?」
「――ええ、そうですが。どうかしましたか?」
あからさまに嫌そうな顔をする神崎。しかし、興味津々の彼女はそんなことにも気づくはずもなく……
「どうも、清く正しい文々。新聞記者の射命丸文です。外の世界から来たあなたに取材を申し込みます!」
やはりこうなるのか、と神崎夕月は再び大きなため息をついた。
こないだ、白猫でフランちゃんが当たりましたww




