10話
最近LINEの返信が早すぎると文句を言われます。
「夕月、これは一体どういうことなのかしら?」
前略。私、神崎夕月は紅魔館の主であるレミリア・スカーレットさんのお説教を食らっています。膝の上にフランを乗せて。
「死ななかったからまだよかったが、何故ここに来た?」
「…図書館を探してました」
やっぱり、とため息交じりに呟き、目頭を押さえるレミリアと、それを危険な目で見るメイド長。俺より先にメイド長を注意してくださいよ。
それにしても、スース―と寝息の立てて眠るフランにはどうも破壊衝動というものが感じられない。まるで、もとから破壊衝動などはなかったかのように。
「あらあら、これが噂に聞く悪魔の妹とはね。そうは見えないのだけど」
不意に聞きなれない声が耳に届いた。無論、レミリアや咲夜さんの後ろには誰もいない。一体誰の声だろうと周りを見る、が誰もいない。
「違う違う。上よ、うえ」
声の指示の通り上を見る。そこには
「ようやく会えたわね、神崎夕月君」
幻想郷の賢者、八雲紫がいた。
「八雲…紫…」
「あら、私の名前を知っているのね?」
妖しく微笑む紫の顔に背筋に悪寒が走る。
「咲夜さん、少しの間場所を代わってください」
「わかったわ」
鼻から忠誠心を噴出し、快く場所を代わってくれた。羨ましそうな顔のレミリアも忠誠心の原因だろう((殴
「八雲さん、お話がありますので少しよろしいでしょうか?」
「ええ、偶然ね。私も話したいことがあったのよ」
そう微笑み、口元で開いていたセンスを閉じる。
「そう、二人きりでね」
急に体に重力負荷がかかる。どうやら足元にスキマを開かれ落下をしている途中らしい。ほぼ暗闇の空間に無数もの赤い瞳が輝く。やはりここも原作通りなのか。
「着いたわ」
「…ああ」
マヨヒガ。八雲紫の居住地だ。ここに連れてくるほど重要な話なのだろう。
「紫様、ご用意が出来ています。さあ、中へ」
家の中から、九尾の式、八雲藍が出てきた。俺がここに来ることは予告済みだったらしい。まあ、そうせざるを得ない状況なのだろうと思うしかない。
家の中は、俺のいた世界の数年前程度の風景だった。使い古した旧式冷蔵庫に、見慣れたキッチンや電化製品。なるほど、スキマ妖怪の異名は伊達ではないと。
「貴方には見慣れたものでしょう?」
「そうですね、流石は唯一の外出者ですね」
「本当に貴方はいろいろ知っているのね」
予想通りと言わんばかりに、八雲紫は微笑む。
「先に話してもいいですかね」
「いえ、私の話すことに貴方の聞きたいこともあるはずよ」
「さて、話しましょう。貴方が幻想郷に招かれたわけを」
ブクマ一件で喜ぶお年頃
本当にありがとうございます(*´ω`*)




