1話
東方の二次創作は初めてなので、文に違和感を感じても許していただける方だけお願いします。
目が覚めた時、見知らぬ場所にいた。
これが異世界転移のド定番のフレーズ。全く知らない土地に突然転移して、訳が分からぬままに問題の渦中へと巻き込まれていく。
いつかこんな事を体験してみたいと、思春期の男子はよく考えるものであった。
だが、もし君がその世界の未来を知っている状態で異世界に転移してしまったらどうする?
今回の話は、某同人ゲームの過去の世界に転移してしまった彼の話。
未来を変えぬように、決められたレールを壊さぬように。
恐る恐るその世界で隠れながら生きようとするも、意味の無い話をーーー。
「いや、ここ何処だよ」
はぁ、とため息をつきながら少年は丘を登る。学生服を身に着け、唸るような日差しに汗を拭う。
自身のいる場所が全く検討のつかない少年は、宛もなく登って、下って、歩いて、止まって、を繰り返していた。
そもそも何故自分がこんなところにいるのか皆目、検討のつかない少年はどこかにたどり着くことさえ諦めてしまっている。
「あちぃ…………」
子供の頃に読んだ童話で、太陽と風が旅人の服をどちらが早く脱がせられるか、ということを競う物があったが、今こうして旅人の気持ちを理解する、というのは少々笑い話なのかもしれない。
「……歩くか」
行く宛もない、そもそも行くところが見つからない少年は歩きを再開し、日が暮れる直前まで彷徨い続けた。
薄気味の悪い森を抜け、霧がかった湖へとたどり着いた時、少年はふと違和感を感じた。
いや、違和感、と言うよりも既視感を感じていた。見たことがあるような光景。霧がかった湖、…………霧の湖。
「いや、まさかな」
少年は口角を上げると湖の岸辺にしゃがみ込み、暫しの間休憩をしようと寝転ぶ。空には見慣れぬ程に光を放つ星達が自己主張をしていた。
「本当にここ、何処だよ……」
霧の湖っていったらチルノだよね?ね?




