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陰謀

ここは王都の一等地に建つ神聖教会総本山だ。敷地面積約 2万m2ほど。東京ドームが 4万7千m2だといえば教会の途轍もない大きさが想像できるだろう。

白を基調とした壁には、著名な彫刻家が長い年月をかけて作り上げたと思われる繊細な紋様が壁全体に彫られている。

天井は高く、地上3階分くらいをぶち抜いている。

窓にはこの世界ではかなり貴重で、最先端の技術であるガラスが使われており、この教会の力の大きさが伺える。


その廊下を脂汗をにじませながらはや歩きで廊下を進む肥満体型の男がいた。


この男の名はゲイル。


神聖教会の枢機卿の一人だ。

ちなみに教会での序列は

教皇>枢機卿>大司祭>司祭>神官だ。


ゲイルが廊下の突き当たりのドアを開けると、広さ30畳くらいの部屋があり、部屋には円卓のテーブルが置かれている。四つの席は一つを除いて埋まっている。


彼らはこの神聖教会の枢機卿たちだ

現在教皇は床に伏せっているため実質彼らたちが教会勢力の最高権力者だ。



「遅いぞゲイル

集合は1時きっかりだと言ってあったはずだ!」


既に座っていた男の一人が口を開く。

いかにも武人風の出で立ちだ。服の上からでも盛り上がった筋肉が見える。


枢機卿の服が違和感しかない


現在は昼の1時を五分ほど過ぎたところだ。

普通なら彼らを五分も待たせたなら即刻処刑ものだろう。それがないのはひとえに彼も同じ枢機卿だからにほかならない。



「申し訳ない、ちょっとたてこんでましてな」



ゲイルは悪気を全く感じさせない顔で平謝りすると、自分の席についた。



「どうせまたいつものに夢中になっていたのでしょう」


いかにも研究者然とした男が口を開く。肌は青白く、かなり不健康そうだが目だけは鋭く光っている。

彼の名はシュナイツ。この神聖教会の、いやこの国の全てのあらゆる技術を管理している男だ。その範囲は医薬品から魔法技術まで及び、彼の

持つ魔法技術、薬品の知識、武器の知識がなければこの国はとうに周辺国家によって攻め滅ぼされていただろう



すると今まで傍観を決め込んでいた初老の男も便乗する。



「お前の悪趣味にも困ったものじゃのう」



「あなた方もやってみてはどうですかな

泣いて許しをこう女を拷問するのは最高に楽しいですぞ」


気持ち悪い笑みを浮かべながら言う

ゲイルはまだ興奮から覚めていないようだ


「ふんっ、下衆が」


武人風の男が言う


「まあ、こいつの趣味はともかく

魔女狩りという制度は大成功じゃな

先の戦争で我々が抱えた負債がもうすぐ回復出来る」


このままでは雰囲気が悪くなると察したのか、初老の男が割って入った。流石に最古参なだけはある



「まさか奴隷として他国に売払うとはな、これで少しは軍備に回す金ができるな」


武人風の男が言う。実はこの男、神聖教会枢機卿でありながら王国の将軍であり第一戦闘兵団を率いている。男自身武を極めその剣さばきは他の追従を許さない。



「代わりに教会の評判は地に落ちてしまいましたがね」


「評判なんぞどうとでもなるわ

なんなら恐怖で支配すれば良い」


「これだから脳筋は…」


そんなこんなで会議が進んでいく。


研究者然とした男が切り出す。


「以前より、魔女狩りの裏の事情が、市民に噂として出回っていたため出処を調べさせていたのだが面白い事が分かりましたよ。」



「何が分かったというんだ」



「我ら神聖教会の騎士の中に裏切り者が居るということがね」





その後会議は一時間ほど続いた。

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