金稼ぎ2
次回ヒロイン登場か!?
つぎの日。
「おっちゃん。これで泊まれるだけ延長宜しく!」
そう言ってカウンターに銀貨2枚を置くと先日バザーをしていた所まで昨日製作した剣を持っていく。材料はまだ半分以上残っていたし、俺の魔力もなくなる気配がなかったのでまだまだ製作可能であったのだが、売れるかわからないものを作りすぎるのも良くないと思いまずはお試しのつもりで20本ほどに留めたのだ。
この世界での魔力とは魂の大きさに依存すると言われている。転生者としての魂が、もともと存在していたレンの魂を吸収したことによって力を増しているため、実はレンの魔力は常人より遥かに多いのだがそれに気づくのはもっと先の話。
早速バザーを開き、剣の販売を開始する。
販売価格は金貨2枚だ。昨日、鍛冶屋を調査して鍛造の剣の価格はだいたい金貨4枚くらいだと判明しているため、それよりも安い2枚で販売し、まずは安さを武器に買ってもらうことから始めようという作戦だ。
「いらっしゃい!見てらっしゃい!
ここにあるのは異国の全く新技術で作られた鋳造剣だよ〜
強度は鍛造の剣と遜色ないのに半分の値段で変えちゃうよ〜」
「お、そこの冒険者風のお兄さん良かったら見てかない〜?」
こんな怪しさ満載の売り文句に食いつくやつなんていないだろ
「おいあんた、鍛造の剣と同じくらい丈夫ってのは本当なのか」
いたーーーーーーーー! しかもたくさん。
数人の冒険者風の人が、集まってきた。
第一段階、鴨を捕まえる成功だ。若干大量だが
すかさず第二段階移行する
「ああもちろんだよ、ああ、その顔は信用してないって顔だな
良し、じゃあ信用させてやるよ」
そう言って俺は秘策を取り出す。
単に口で説明したところで信用してもらえるはずは無いので、第二段階として秘策を用意していたのだ。
秘策とは鉄パイプだ。この鉄パイプの下部には固定台が付いておりこの台の材料は残りの鉄の一部を固めたもので重さが約50kgほどある。
このパイプを試し切りしてもらい、この剣が鉄よりも硬い、つまり鋼であると証明しようというのだ。
もちろん鉄パイプは薄く作ってあり、切れやすいようになっている。
鉄パイプについては洗濯物干しざおを想像してもらうと分かり易い。太さが3センチほどで中が空洞になっているものだ。
俺は剣を冒険者風の男に渡す。
「このパイプは鉄でできている。この剣でパイプを切って歯が欠けなければこの剣は鉄よりも丈夫ということだ。これで信用してもらえるかな?」
そう言って俺はにっと笑う
「おいおい、いいのかよ 歯がかけちまっても俺は1ルピだって払わないからな!」
「もちろんですとも」
俺が答えるのを待ってから冒険者風の男が剣を構える。普段から剣を使っているのだろう。結構様になっている。
なにかの見世物と勘違いしたのだろうか、通行人達が足を止め、冒険者風の男がパイプを着る瞬間を今か今かと待ち望んでいる。
既にバザーの周りは多くの見物人に囲まれていた。
「ハッ!」
男が一閃すると鉄パイプの真ん中より上の部分がキーンという音とともに弾け飛んだ。
鉄パイプの上部はくるくると回転しながら落ちてきた。
「お見事です。剣をご覧になってください。」
冒険者風の男が剣を見る。剣はどこも欠けた様子は無く、キラキラと輝いている。
「すごい!すごいぞ!!全く欠けていない。それだけではない。あの鉄パイプを切ったときの感触!鉄を切っているとは思えないほど滑らかな手応えだった。」
馬鹿め、それは切れやすいようにわざわざ薄く作ってあったからに決まっているだろう。
見物人たちはパイプが切れるところを見て満足したのか去っていく人もいれば、この剣に興味を持ったのか残る人もいる。
「なあ、あんちゃんこの剣はいくらだっけ?」
「金貨二枚です。....がお客さんは宣伝に協力してくださったことですし、もし、今後知り合いの方が剣を買おうとしている時にこの剣を薦めてくれるなら、初回記念で金貨1枚でお譲りしますよ」
「よっしゃ。買ったああああ!」
男は金貨一枚を置いてホクホク顔で帰っていった。
そして俺も内心でほくそ笑んでいた。
まさかこんなに思い通りに事が運ぶとは思っていなかった。
この後剣を売ってくれという人が殺到したのは言うまでもないことだろう。
用意した20本の剣は瞬く間に売れていった。
今日の売り上げは金貨39枚になった。