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処刑台と決意

翌日ギルドの依頼をこなそうと思い早朝からギルドに出向く。

朝食は相変わらずパンとスープのみだ。お腹が空きそうだがこの体はその生活に馴れてしまっているのか燃費がいいのかは分からないが昼までは持つようだ。

ギルドに入ると、昨日とは違い人で溢れていた。昨日の厳ついおっさんも忙しそうだ。これが本来の姿なのだろう。俺は掲示板の前に行き街の中で済ませられる依頼を探す。ちょうど荷物の配達依頼を見つけることができた。


これはギルドからの依頼だ。冒険者ギルドは鍛冶屋や商店から素材の依頼があった場合、依頼をこなせる高ランクの冒険者に依頼をだし、一度素材を買い取って需要がある物を低ランクの冒険者に配達させているようだ。そうすることで作業の効率化を図っている。

俺はその中から魔獣の肉の配達依頼を見つけると、カウンターに持っていった。

昨日、鉄鉱石を探している時に依頼書に書いてあるお店を見つけていたのだ。


「この依頼を受けたい」


昨日の厳つい顔をしたおっさんのカウンターに依頼書を持っていき、そう話しかける。


「昨日のぼうずか、鍛治士になったほうかいいと言っただろ。」


そう言いつつも依頼の受理をしてくれる


「荷物はそっちのカウンターで受け取れ。」


「分かった」


そう言って俺は荷物を受け取りギルドを出て、店に向かって歩き出した。


この街は中心に領主の城があり、その周りを堀が囲っている。

領主の城に至る道は一本しかなく跳ね橋になっており外から来た侵入者を拒むだろう。そしてその領主の館より南側は商業地区などがある。冒険者ギルドもここにある。東側と北側は民家が立ち並んでいる。東側にはスラムがあるため、北側の方が裕福な家庭が多い。また、西側には教会や広場がある。

荷物の届け先は北区にある食堂なので、俺は西区を通って北区に向かっていた。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

数刻前。

処刑台の上に新たに美しいエルフの少女が連れてこられた。手を後ろで縛られている。両脇には兵士が付いており少女が階段を登るのを急かす。階段を登る度、ひとつずつ死へと近づく。


そして処刑台に立った。それと同時に処刑台の上にいた神官の男が声を張り上げる。


「これより魔女ミーシアの処刑を執り行う!

こ奴は神聖教会の教えに背き我らが唯一神アルムタート様の姿を真似、あまつさえ改心するよう説得するもそれを受け入れなかったため、こ奴を魔女と断定し、処刑する!」


神官の男が罪状を述べたあと、最後の言葉を問う


「魔女ミーシア最期に、言い遺す事はあるか?」


そう言うとミーシアは最後のあがきとばかりに叫び出した。


「誰か助けて!私は魔女なんかじゃない!」


しかしいくらあがいても結果は変わらない。やれやれといった表情で神官の男が執行人に顎をしゃくると執行人がミーシアの首に縄をかけた。


以前彼女は何かを叫び続けているが何を言っているのかは聞き取れない。


数分後彼女は静かになった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~









俺はあまりの光景に持っていた荷物を地面に落とした。


北区の協会にほど近い広場には、多くの人だかりがあった。

人垣の中心部には、処刑台と思わしきモノがあり、垂れたロープに数刻前までは生きていたであろう人間の遺体何体も吊るされていた。

中には耳の長い少女の遺体もある。

元は金髪の美少女であっただろう、その表情は苦しみに歪んでいる。

体には布切れ一枚しか纏っていない。

布切れが風に煽られはためく度に、少女の体につけられた悲痛な拷問のあとが見える。

公開処刑は、見せしめと同時にまたとない庶民の娯楽である。が、美しい娘の哀れな姿に見物人の中に楽しんでいるものはほとんどいない。....が助けようとする人も皆無である。


「また、魔女狩りか。最近めっぽう増えたよな」


「なんでも伯爵の騎士団までもが魔女狩りに協力しているらしい。」


「騎士団!?」


「おい、大きな声出すんじゃねえ。もし聞かれたら縛り首だぞ」


「わりぃわりぃ。そんでなんで騎士団が教会に協力してんだ?」


「なんでもここ最近の飢饉と不況で伯爵の金がすっからかんになったもんで、魔女狩りという名目でで若い女を捕まえてきて奴隷商人に大量に売っているってもっぱらの噂だ」


「お前んとこの娘もそろそろ年頃だろ?気をつけろよ」


近くの見物人同士の会話に耳を傾けるとどうやら彼女たちはは魔女狩りにあい、奴隷になることを拒んだ為処刑されたようだ。



この世界の奴隷の首輪は契約するのに本人の同意が必要である。

魔女として連れてきても、すべてが奴隷として売れるわけではないのだ。


そういう者たちは魔女狩りの真実が広がるのを防ぐため、処刑されるのである。






このアキスト聖王国では教会が絶大な権力を持っている。

国王ですら教皇の意向にはある程度従わなければならないという。

この神聖教会は彼等が信仰する唯一神アルムタートが、絶世の美女であったことから、この国の美少女達を、神の姿を真似る不届きものとして処罰しているのだそうだ。



だが、それは建前にすぎないだろう。


今や魔女狩りによって集めた女性たちは他国へ奴隷として売り払われ、教会の重要な資金源になっている。


その資金が教会の勢力をさらに高めているのだからどうしようもない悪循環だ。


あと、教会の教皇あたりが嗜虐趣味なのは間違いないだろう。



「こ奴らは偉大なるアルムタート神の教えに背き....」

神官らしき人物が処刑台の上で演説している。




なんだよ……

ふざけんな、なんなんだよコレは


なんてもったいない事をしてくれてんだよ!

美少女は世界の宝だぞ


ありえないわ。ありえないね

この国の人間はクズしかいないのだろうか


美少女を処刑する奴もクズ

擁護している教会もクズ

放置している国王もクズ

何もしない国民もクズ


この国はクズだらけだ。


そんなクズしかいない国は俺が変えてやらなければいけない。


俺が転生してきた理由はそこにある気がした。




力だ。


国を変えるだけの力が必要だ。




俺は静かに決意した。









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