強奪作戦 後編
俺は処刑の見物人の中に紛れ込んで処刑台の様子を伺っていた。
準備は夜のうちにすべて完了していたが、そのせいで一睡もしていない
かなり眠い。
現在の時間は午前10:05分くらいだ。
処刑の開始時刻は午前10:00なので処刑が始まってまだそれほど時間は経過していない。
まだアメリアは出てこない。
男が連れてこられ、処刑された。
見物人も男から処刑されることがわかっていたのか、数が少ない。
神官風の男が罪状を述べ、次々に処刑されていく。
そうこうしているうちに見物人もかなりの数になり、ついに女性の処刑が始まった。
先頭はアメリアだ。
この国では重罪人から処刑する習慣がある。
過去に罪人に逃げられでもしたのだろう。
「さて、始めるか」
俺はそういうと仮面を身につけ、広場の木箱からちょこんと飛び出ている導火線に着火した。
処刑台のある広場にはいたるところに果物などを入れておく木箱が存在していた。
木箱がいくつも置かれているのは違和感を覚えるものだが、堂々と置かれていれば人間割りと気にならないものである。
もちろんこの木箱たちは俺が昨晩設置しておいたものだ。
俺は処刑台のある広場を走り回りながら昨夜シミュレーションしたとおりの順番で導火線に火をつけいていく。
導火線の長さは調節されており、俺の計算が正しければ広場にある無数の木箱はほぼ同時に爆発する。
既にお分かりだと思うが木箱の中身は俺のお手製爆弾だ。
お手製爆弾といっても地球の爆弾のように殺傷能力があるわけではない。
まあ、運が悪ければ死んでしまうかもしれないのだが見物人の生死など知ったことではない。どうせ美少女は含まれていないのだ
つまりお手製爆弾とは打ち上げない花火だ。
導火線に点火すると種火が導火線をたどっていき、先にある黒色火薬に点火する。
そしてすさまじい轟音と炎とともに煙を撒き散らすのだ。
俺はすべての導火線に着火し終えると処刑台の目の前つまり、見物人たちの最前列まで行きお手製爆弾が爆発する瞬間を待った。
~少し前 アメリアside~
私はここで終わってしまうのか?
姉の敵も取れずに。
いや、それだけならまだましだ。
姉の敵を取るつもりが自分も敵の手に掛かってしまうとは。
情けない。
何もできなかった自分が悔しい。
姉も見つからず、敵も取れず、人々を救うこともできなかった。
私が生きていた意味は一体なんだったのか....
私の生に意味などなかったというのか....
「元聖騎士アメリア、何か言い残すことはあるか?」
本当に悔しい。私の人生を否定されているような気分だ。
「くっ、殺せ」
そう言った。生きる意味が無いなら死んだほうがましだ。
そのときすさまじい爆音が鳴り響き、辺りいったいを煙が包み込んだ。
一回目の爆発音がやんだ後連鎖的にあちこちで何回もの爆発音が鳴り響いた。
直接的なダメージは負っていないが、あまりの爆音に耳がキンキンする。
あたりは濃い煙に覆われており現状を把握することは難しい。
何がどうなっているのやら。
「きゃあああああ」
「たすけてくれえええ」
「どけえええええ」
しかし人の悲鳴が聞こえてくるため、場が大混乱に陥っていることは容易に想像できる。
「お、おい!貴様ら!静まれ、静まるんだ!」
処刑台の上で神官が必死に静まるように呼びかけているものの治まる気配はない。
「ぐはっ」
突然神官が倒れ頭の中身を床にぶちまけた。
いったい何がと思い煙の中に目線を神向けると煙の中から男が姿を現した。
男は被っていた仮面を取る。
「あ、」
お前は、あの時の変態!
....と言おうと思ったがあまりの出来事であったので声にならなかった。
「よう、久しぶりだな。
お前を盗みに来たぜ
このまま処刑されるか俺の物になるか選べ」
そう言って男は手を差し出してきた。




