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アメリア

私はアメリア。


もともとは平民の出だが、身体を動かすことだけは昔から得意だった。


家族は母と姉だけだ。父は戦争で死んだ。

父が死んでからというもの飲食店で働いていた母が女手一つで育ててくれたものの、それだけで娘二人を養うには足りるはずもなく

貧乏だった。


そんなあるとき家に帰ると姉が居なくなっていた。

待てども待てども戻ってくる気配がなかった。


それ以来姉は姿を消した。


母は仕事にも行かず1週間泣きつづけたが、

一週間後のある日、急に吹っ切れた顔になっていた。

私が姉は?と聞いても諦めなさいと言った。


私はまだ子供だったのでその意味が理解できなかった。


私は必死に勉強し、強くなり、聖騎士になって姉を攫った悪い輩を成敗してやると意気込んでいた。


運命のめぐり合わせか、はたまた神の気まぐれか

私は聖騎士になるための試験を合格してしまったのだ。


しかし、ここからが悪夢の始まりだった。


ある日教会の地下に行くと、物凄い悲鳴が聞こえてきた。


何事かと思い地下に急行すると、そこには地獄が広がっていた。


血血血血血血血血血


見渡す限りに血が飛び散っている。


神官服を着た男が裸の女性を拷問していた。

私はあまりの光景に吐き気をもよおし、その場を離れた。


以前、任務で魔女を捕獲したことがある。

捕獲した魔女は教会に預けることになっていた。


まさかこのような事になっているとは想像もしていなかった。




そして私は気づいてしまったのだ。


姉を攫ったのが聖騎士を擁する教会

つまり、今自分が所属している所である可能性に…




それからというもの私は寝る間を惜しんで姉の事について調べ始めた。


その過程で教会の深い闇を見てしまったが、ついぞ姉の手がかりを掴むことはできなかった。


調査の結果わかった事だが捉えた女性たちは一部を除いて他国へ奴隷として売られていたようだ。

姉もその一人だったのだろう。


この魔女狩りには教皇すら関わっていると言う。

この国は既に根本から腐っている。


私は人を信用することが出来なくなっていた。




私は姉のような犠牲者を今後出さないために行動を起こすことにした。


正面から魔女狩りをやめろなんて言っても聞き届けてもらえる筈がない事くらいはわかっていた。



だからまず、有力な貴族や商人達に署名を集めに行った。だが、それでもまだ認識が甘かったと言わざるを得ない。

ほとんど追い返されてしまった。



その後、魔女狩りの噂をそれとなく民衆に流していた。

噂が広まると多少は犠牲者が減ったが、根本的な解決にはならなかった。


そうそう

そう言えば変な商人に会ったのもこの後だったな。


いきなり剣を突きつけてしまったのは悪かったと思っている。



教会の豚どもは私が嗅ぎ回っているのが邪魔になったんだろう。




私を魔女として告発した。


















そして時は一週間前



ここはアキスト聖王国の教会本部にある異端審問所だ。


そこでは日々あらゆる手段を行使して連れてこられた女性たちが異端審問を受ける。


とは言っても異端審問自体はかなり適当だ。

もともと異端審問なんていうのは方便だからだ。


魔女としてあらぬ罪を着せられ連れてこられた女性たちはその多くが奴隷にされ自由都市国家群などに売られていく。


今やこの国の産業にすらなりつつある。


そんな異端審問だが、今回ばかりは勝手が違っていた。


審問官の席には大司祭や、枢機卿の姿も見える。

教会のお偉方が勢揃いである。


「これより元聖騎士アメリアの異端審問を開始する。」


「アメリアは聖騎士という立場にありながら、兵を募り教会、ひいては神に剣を向けた。相違ないか?」


「発言をお許しください!」


「許可しよう」


「私は兵など募ってなどいません。魔女狩りの停止を求める署名を集めていただけです!」


「ほう。魔女狩りは神の意向に逆らう不届きものを罰する物。

それを廃止しようとするとは....

魔女であることは明白だな」


そうだそうだと、他の神官たちからも野次が飛ぶ。


「そんな」


「ましてやそなたは聖騎士という立場にあった。神の威光を体現する聖騎士にはあってはならないことだ!」


「証拠は揃っている。

これは貴様が諸侯に送った嘆願書だ。」


そこには私がコツコツと送っていた署名の嘆願書があった。


「教会に反逆、いや国家に反逆する意思があることは明白だ!」



私は既に何を言っても無駄だと気づいた。

所詮ひとりの力で国に逆らうことなんてできなかったのだ。



カンカン

「判決を下す。

元聖騎士アメリアは国家反逆罪と魔女の罪で処刑する。」



その後教会地下にある牢屋に連れていかれた。




併設された拷問部屋では絶えず女性たちの悲鳴が聞こえてくる。


「ここだ入れ」


「処刑まで大人しくしていろよ」


私を連れてきた兵士が私を牢屋に押し込む。

鍵をかけるとそのままどっかに行ってしまった。


すると唐突に声がかけられる。


「おめぇえれえ別嬪さんだな。こんな綺麗なひと処刑するなんて勿体無いべ

おらと気持ちいことしよーべ」


そう言って薄汚れた男が近寄ってくる

なんと牢屋は一人部屋ではなかったのだ。


「近寄るな!」


そう言って男を蹴りあげる。腐っても元騎士だ。例え手を縛られていたとしてもそらの雑魚に負けることはない。


「いてて。まあいいべ

しかしお前さんは運がいいだべ。」



「どういうことだ?」


「ここは飯もゲロ不味い、ベッドは硬くて汚い、トイレがないから酷い匂いがする。


ここで生活していると気が狂ってくるだべさ


早く死ねた方が幸せだべ」












~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



さらに時は進みここは処刑場 。



処刑台の上に新たに美しい金髪の女性が連れてこられる。手を後ろで縛られている。


普段と違うのは兵士の数だ。女一人に四人も兵士が付いている。物々しい警備だ。


そして処刑台に立った。それと同時に処刑台の上にいた神官の男が声を張り上げ、罪状を述べる。


「これより元騎士アメリアの処刑を執り行う!

こ奴は聖騎士という立場にありながら、神に背徳する行動をし、あまつさえ国家に反逆を企てたため処刑する。」


神官の男が罪状を述べたあと、最後の言葉を問う


「元騎士アメリア、最期に言い遺す事はあるか?」


「くっ、殺せ!」


少しムッとした表情で神官の男が執行人に顎をしゃくると執行人がアメリアの首に縄をかけた。







「ドゴオオオォォォォン」


そして執行官が床を落とそうとした時

物凄い音が辺りに鳴り響いた。








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