闇オークション 前編
ついにヒロイン登場か!?
王都に到着する。
今は王都に入るために検問に並んでいる最中であるが、その大きさに圧倒される。半径1キロメートル程に渡って築かれた城壁は何者の侵入も拒むだろう。更に中に入るともう一つ城壁がある。一般市民にはまず縁がないところだが、第二城壁の中は中心に王城があり、その周りを貴族街が囲っている。神聖教会の総本山もここにある。
さる情報筋によると、今夜の18:00から貴族街にほど近い場所にあるホールで開催するようだ。
俺は夜を待って会場に向かった。
会場は物々しい雰囲気に包まれていた。何を隠そう黒服の怖そうなお兄さんが大量に徘徊しているのだ。会場警備の人だろう。
それは分かるのだがこれほど警備が物々しいと怪しいことをしているとかバレバレだ
「おい、止まれ!」
俺が若い見た目をしているからだろう。案の定声をかけられた。
「なんだ?」
「ここは貴様のようなガキがくる場所ではない」
チッ 簡単には通してくれなさそうだ。そう思いつつも、入る方法を聞いてみる。
「どうしたら参加できる?」
「だから貴様のようなガキが来る「待ちなさい!」」
なんか偉そうな人きた。
「副支配人!」
「部下が迷惑をかけました。申し訳ない。」
ほんとだよ!迷惑料よこせ
もちろん口には出さない。
「いえ....」
「当方は冷やかしのお客様の入場をご遠慮頂いています。その為、入場料として金貨一枚を頂いているのですがよろしいですか?
もちろんなにか商品をせり落とされたお客様には返却いたします。」
俺の魔法の袋には金貨が一万枚入っているのだ。もちろんそのくらいは訳ない
「もちろんだ」
そう言って金貨一枚を渡た。
「ではこれをお付けください
それにしてもずいぶんとお若いですね」
係りの者が仮面を持ってきた。
周りを見ると全員仮面を、つけている。
俺が呼び止められた原因はこれだろう。恐らくだがここに来ている客はほぼ全員常連客で、自前で仮面を用意してきているのだろう。
「年齢は関係ないだろう?」
「ええもちろんです。私たちが求めるのは金が払えるか払えないかだけですから」
俺は仮面を付けると会場に入った。
入場時に配られたカタログを見る。もちろん写真などついていないので文字だけしか書かれていないが。
それによると人攫いにあっただろう令嬢や、珍しい獣人。一般の奴隷市場では見られなかった幼い子供までいる。
もちろん珍しい魔道具や骨董品、武器なども出品されるが、今回の目的はそれらではないため説明は省く。
人が増えてくるに従って、会場が独特の熱気に包まれ出す。鼻腔にまとわりつく香水の香。それに混ざる人間のあらゆる体臭。この空間の大部分を占める、金持ちたちの下卑た笑い声が頭に響く。
そして、オークションが開催されると、司会をしている男が声をあげる
「ようこそ紳士、淑女の皆様。
今宵のオークションは特別でございます。大陸中からありとあらゆる珍品、奴隷を集めました。どうぞお楽しみください。」
そう言うとまず最初の品が運ばれてきた。
「今回トップバッターを務めるのは古の時代に滅んだとされる伝説の龍の牙です。
美しい見た目もさる事ながら武器に加工すれば聖剣級の力を発揮するでしょう。
入札は300万ルピからスタートです!」
「310万!」
「320万!」
・
・
・
・
・
その調子でどんどん値段は釣り上がっていき、最終的に貴族の格好をしているものの、いかにも武人と言った感じの男が落札した。落札金額は500万だった。
この調子で順調にオークションは進んでいく。
そしてカタログを見ると次の10番目の商品は奴隷だった。
司会が声を上げる。
「では次の商品です。
次に出品されるのは隣国ナヒム帝国の没落貴族の娘だそうです。
名前はエリザ。15歳
我が国に亡命してきたところを運良く奴隷商が捕まえたそうです。
元貴族だけあってその器量、教養は相当な物です。」
生粋のお嬢様じゃないか!
そして現れたのは赤髪の美少女だ。
「「「おおっ!」」」
会場がどよめく。
正直めっちゃかわいい。
低めの身長、危ない匂いが醸し出すこの背徳感。
髪は深紅のストレートロングで後ろで留めている。
丁寧に手入れされているのだろうツヤツヤだ。
会場に設置されたスポットライト(異世界版)を反射して髪の毛がキラキラ輝いている。
肌は真っ白で傷ひとつない。屋内で大切に育てられたのだろう。
髪の色と同じ少しキツめの深紅の瞳、小さいながらも色気を放つ唇、震える小さな肩。
身体は細く抱きしめたら折れてしまいそうだ。しかしガリガリというわけではなく程よく肉がついている。
そして、
貧乳。控えめなそれは背徳感の演出に一役買っている。
多分Bカップくらいしかないだろう。
なぜそこまで詳しく解るかといえば、それは
美少女が何も着ていないからだ。
つまりまっぱだ。
必死に隠そうとしているものの、彼女の小さい手では隠しきれていない。
エリザは顔を真っ赤にして、親の仇でも見るかのように観客を睨んでいるが、よく見ると足が震えている。
大勢の仮面の男に自分の裸を見られているのだら当然だろう。
いや、買われた後の事を考えればまだましかもしれない。
使用人や労働力として買われるのなら、奴隷の待遇としては最高の部類だろう。
けれど、こんなところで奴隷を買うような客にまともなやつはいない。
その客の趣味によっては、身体のあちこちを失うことになるだろう。
最悪、明日の命の心配をしないといけないかもしれない。
「入札は500万ルピから!」
「520万!」
「530万!」
どんどん入札が進んでいく。
教養があるというなら、買うしかない。
そういう奴隷を求めて来たのだ。
いや、これはいい訳だ。
エリザちゃんがほかの男に買われるなど我慢できん!!
「1000万だ!」
俺が入札すると、再び会場がどよめいた。
注目が集まる。見慣れない俺に陰険な目を向けるもの、羽振りの良さを察して利用できないかと思案するもの。反応は様々だ。
「1000万以上出すという方はいますか」
しーん
この瞬間が一番緊張する。もしかして誰かもっと高い値段をつける人間がいるのではないかと思ってしまう。
このまま誰も入れるんじゃないぞー
「ではこちらの奴隷は1000万の落札です。」
結局誰も入札しなかった。
落札したあと、係りの者が札を持ってくる。
「オークション終了後こちらの札をお持ちください。商品と交換させていただきます。」
その後、最後までオークションに参加していたが、エリザ以上の美少女は現れなかった。
もちろん能力で選んだ
オークションが終わり、会場裏の商品引渡しスペースへと行く。
途中で悲鳴をあげている奴隷を目にした。
しばらく抵抗していたが、黒服の男たちが来て連れていかれた。趣味の悪い貴族にでも買われたのだろう。
可愛そうだが仕方ない。
そこには落札された奴隷や商品が所狭しと並んでいた。
その中にエリザは立っていた。
長くなりそうだったので分けました




