幕間 『ぽっちゃん』 1)
幕間です。
注・坊っちゃんではありません。ちょっとだけ、ぽっちゃりしているので『ぽっちゃん』である。さらに注・虐めでもない。本人も了承している。ため息つきですが・・・・・・。
皇郁人はその家柄にかかわらず、公立の小学校への進学を決めた。
もちろん。そのことには家でも反対意見が出なかったわけじゃない。それでも、彼の意見は尊重され、いくつかの条件付きであったが、彼は無事に公立小学校へ進学した。
これはそんな『ぽっちゃん』と友人やその周囲の話し。
「郁!」
ぼくは呼ばれた声に一瞬、聴きほれた。
耳に心地いい声。そしてその主が返事を返す前に現れた。
公立小に入学したぼくには知り合いが少ない。それまで一諸だった友人たちは皆、そのまま付属の小学校へ進んだからだ。
「郁?」
「ああユキ、おはよう」
目の前の新しい友人の性別を、ぼくは今を持っても知らない。
入学式から一月以上たったが、ユキの性別を確かめないままでいる。
中性的なきれいな顔。この公立の小学校は制服じゃないせいで、余計に性別が解らない。
(まぁ、友人は性別で作るもんじゃないし。いいんだけど)
さらに自分の新しい友人は、どうやら男女ともに人気があるようだ。
その所為じゃないと思うんだけど。なぜか、クラスメートは友人・ユキの性別を積極的には僕に教えてくれない。
隠しているって理由でもなく。・・・・・・僕がいつ気が付くか、面白がっているらしい。
そこには先生まで含められ、ユキ・本人に聞くことを止められた。
(いいんだけど。ねぇ? 遊ばれてる??)
クラスメートの仲はどちらかっていうと、皆よすぎるほど良い。
ノリがいいと言えばわかってもらえるだろうか。
だから、こんな賭けのようなことを楽しんでいるともいえた。
まだ二ヶ月も経たないのに非常にまとまっている。先生としては楽すぎるんじゃなかろうか?
春先で体育の授業も長ズボンのままだけど、そろそろ衣替えの季節だ。その頃にはユキの性別は確実にわかるだろう。
「うぉ~い!」
そんなことをつらつら思っていると、ユキの背後からなぜか上級生が覗き込んできた。
(もうすぐ授業が始まるぞ。教室に戻ったほうがいいかと)
言いたいことは多々あったが。
「ユキ、またぽっちゃんと~」
と声をかけてきた少年にがっくりと頭を垂れた。
(ぽっちゃん。ね)
言いたいことは分かる。少年から見ても僕は『お金持ちの坊っちゃん』で、小太りな『ぽっちゃり』体型をしている。
だから「ぽっちゃん」とこの上級生は僕を呼ぶ。
うれしくはない。だが事実だし、彼に悪気はないこともわかる。
こんな呼び方をするくせに、まったく悪気がないんだ。
「タスク、ホームルームが始まるんじゃないか」
ユキの言葉にちぇっと口を尖らせながらも、自分のクラスに還っていった彼を見送った。
僕はため息にあきれと感心を載せ、ともに吐き出した。
(ほんといい性格してるよ)




