4)出口はどこですか?
どうやら、この子。事件か事故に巻き込まれているらしく。現在も生命の危機にあります。
そう。この子、その犯人を目撃しているらしいんです。ここでのポイントは、らしい。というところ。
何しろその時のショックの所為で意識が自分自身の奥底に閉じこもってしまっているような状態なんです。つまり現状、自己防衛がまったくできません。
誰が話しかけても声も発せず。まったく反応がありません。
つまり生命、狙われ放題です。危ないですね。誰か守ってください。切実ですよ。
という背景を持つこの少女の中に私、なぜかいます。
おかしいなぁ。これでも私、地上をめざし、がんばったんです。がんばったんですよ! 注・大事なことなので繰り返しています。
ただ何と言いますか、そのがんばりがこんな事態を招きました。招いちゃったんです。注・大事なことなので繰り返します。
ちょうど私が地上をめざし、降下中の出来事です。
なぜか窓から落ちそうになっているこの少女を助けることに!
やぁ~っ、幽霊だってできるんですね。人助け♪
と話すとなんだか良さそうな感じですが、残念なことにお空から上手に降りられなかったことが今回の事態につながっています。
はっきりいって、あれ降下じゃなく落下でしたから。はい。
「うきゃ~あ。誰かー」
なんて叫んでも、誰も聞いてはいません。ここは空中ですし、幽霊ですから私。
「止めて~。ぶつかる! うぎゃー」
スカッと勢いよく、あれこれ突き抜けました。・・・・・・幽霊ですから。
つまり、ぶつかるなんて物理的なこと、起きるはずありません。幽霊ですし。
しかし、そんなあり得ないはずのことが、あり得てしまいました。
そのまま落下して地上に激突する(もしくは潜ってしまう)かと思っていましたが、私は空中降下の途中で窓から今にも、空中に身を躍らせかけた女の子にぶつかるように引っ掛かり、するりとその中に入ってしまったようなんです。
ああ、びっくり。でも、その影響で?女の子は窓枠から乗り出し(落ちかかっ)ていた身体も無事に建物内部に戻ったので良かったんでしょうね。
・・・・・・取り敢えず。生命は無事でしたから。ええ、とりあえずですが(汗)
だって、入っちゃったんですモン!
で、結果。出られない!!!
ええっと。やっぱりこれは私が悪いんですよ、ね?
でも、どうやって中に入っちゃったのかもわかりませんから。そして出方もわかりません。
誰か取り出してください。私を! 切実にお願いします!!
困ったことにあれから数日経ちました。
私、そのままなんです。
「はぁーっ」
私、幽霊ですがため息の一つ、二つ。吐いてもいいと思います。