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第二話「僕は知ってる天井を見た」

あらすじ


作者の都合で今回は勇者視点!

「知らない天じょ……まてよ、この天井の模様、そしてあのシャンデリアのデザイン。ここはまさか[魔法大国マギア]の王城、5階にある[客人の間]か?」


今現在、ニート3年生の僕。一色正治いっしきせいじは見覚えのある。けれど見たことない部屋にある上質なベットで横になっていた。


「うう、頭が痛い」

どうやらまた飲みすぎたらしい。

記憶は無いが体から酒の匂いが漂っている。


「まあいつもの事か」

そんな事よりも現状把握だ。

僕は起きたらマフィアのドンの娘さんと一晩シッポリ過ごしていた。みたいなオチを警戒して自然と身構えてしまう。

あの時は[シュウ]こと峪修次たにしゅうじ君が助けてくれたからよかったものの、危うく死にかけたのだ。

マシンガンで足を撃ち抜かれ乗っていた車が爆発する。

あんな臨死体験はもうコリゴリである。


ちなみにそのシッポリ過ごした時の記憶は酔っていたために全く無い。

一度酔い始めたら何故か酒を飲む手が止まらなくなるのだ。

酒に弱くすぐに意識が飛ぶというのに、一体僕の体はどうなっているのだろう?

おかげで気持ちは未だに童貞と言っても良いありさまだ。


修次君に『心はいつまでもチェリーなんですね? 分かります』と言われた時の事を思い出して少しゲンナリする。


「それにしても見れば見るほど良く似ている」

この部屋。見れば見るほど僕のハマっているオンラインゲーム、『アルジャンワールド』に出てくる一室にソックリじゃないか。


僕はまるでゲームの世界に迷い込んだみたいな気持ちになる。


ここはその場のノリと雰囲気に合わせて『異世界召喚ヒャッホー』と言いたいくらいだ。

言いたい……が。

「召喚された記憶どころか昨日の晩に何食べたかさえ思い出せない」

昼にビールを一缶飲んだ所までは記憶があるのだが……。

覚えてるのはそれだけだった。


大体ゲームと同じ異世界って何だ。

そういうのはVRMMOモノの小説みたいな近未来デスゲーム物だけの話だろう。


「だが、だがしかしだよ?」


ねぐらにしていたボロアパートからこんな豪勢な部屋への劇的ビフォーアフター。

しかもゲームとうり二つ。

これはもうアレしかないじゃないか。

一縷の望みに全てを賭けた僕はいい歳こいて大真面目にあの言葉を叫ぶのだった。

「出てこい[ステータス]!」


そして視界に見慣れた画面が映し出された。

「……出た」

ホントに出た。アルジャンワールドのステータス画面だ。

「しかもプレイしていたキャラと同じ能力値じゃないか!」

すばらしい、すばらしいぞコレは!

これならば夢のチートストーリも可能、まさに『僕の物語は今ココから始まる』って感じじゃないか!


ホッとした僕は外の様子を知ろうと窓を開ける。

「うーん、朝日が眩しい。空を飛ぶドラゴンも気持ちよさそうだ」

それに良い景色、異国……というか異世界の街並みが遠くまで広がっている。

「ああ、こういう高い階の部屋は見晴らしが良くていいね」


多分コレは異世界召喚、または迷い込みか何かの異世界トリップなのだろう。

実際にこんな事があるとは思ってもみなかったがこうなってしまった以上ここは納得するしかない。

この部屋の造形。窓の外の街並み。空を飛ぶ[フライングドラゴン]。

まさに『アルジャン』な世界である。

「普通は無いんだろうけどねっ」


なんにしても是好調だった。


「それにしてもスタート地点から客人待遇とは中々に気が利いている」

掃除は行き届いておりベットもフカフカ。世のトリップモノ小説もビックリのすばらしい環境である。

正直うれしい。

「しかし酔っていた時の記憶が無い事が残念でならないな」

せっかくだから意識のハッキリしているときに来たかったものだ。

おかげで『僕は何でこんな所にいるの?』状態である。



「問題は何故お城なのか? だ」

ここにいる。という事は何かしらの権力者に保護されたとみるべきなのだろうか。

今までの経験から考えるとこういう変な状況の時は、酔っている間に絶対やらかしている。

「ソレがプラスに働いてくれているといいんだが……」


と、そんな時だった。

ノックと共に開いた扉からなんと小学校低学年くらいの少年が顔を出す。

金髪青目で髪のはねた活発そうな少年だ。


少年は僕が起きている事に気が付くと嬉しそうな声で話しかけて来る。

「ゆ、勇者様、目が覚めたんですね!」

「ユーシャー」

誰それ。

いや、まさか勇者と言ったのか?

つまり酔っぱらった僕はその場のノリで『魔王? ぼくちゃんがプチッと〆てやるよ』的な事を言ってしまったのだろうか?

「根っからのパンピーになんという鬼畜な仕打ち」


ソレはとんでもなく恐ろしい仮説だった。



「……それでお城のお酒、ほとんど飲んじゃって。最後はベロンベロンになったあなたが『ぽっとふぇはほりぷわ~』って言っていきなり広間から消えちゃったんですよ。それで皆で城中をさがしたら来客用のこの『客人の間』で寝ているあなたが見つかったって訳なんです!」

「はー、それはまた何とも」

救われましたとしか言いようが無い。


昨晩の召喚事件のあらましを目の前の少年、チャールズから聞いた僕はそっとタメ息をついた。

酔っぱらい状態だった昨日の僕は人としての一線を踏み越えなかったとはいえ一国の王にケンカを売ったのだ。

当然の様に気分は重くなる。


ただそれと同時に1つの希望もあった。


それは僕が[陰陽術]である[結界]を使い、強化された[イフリート]の拳を防いだ。という事だ。

そういったことができるという事は何らかのチート能力が僕の体に付与されている事は間違いないはず。

もしかしたらゲームで使っていたキャラと同じ。いや、それ以上の力を持っているのかもしれないんだ。

もしそうだとしたら殺される前に逃げる事なんて朝飯前。

むしろ王様になれる。


「それで、朝から恐縮ですがボクの父上があなた様を連れて来いとおっしゃっているんです。一緒に来ていただけるでしょうか?」

「父上?」

「ハイ!この『法皇』サッドン・アレティー王です!」


どうやらこの少年、王子だったらしい。

全然分からなかった。


「あのー、どうかしましたか?」

あ、そういえば返事しないといけないね。

断るのは……難しい気がする。

「分かった。ただ謁見の前に顔洗わせてもらう。さっき目が覚めたばかりなんでね」

せめて身だしなみくらいはキチッとしておきたい。


そして洗面所の場所を教えられソコで鏡を見た僕は……。


「僕の顔を返して~!!」

と思わず声を枯らして叫んでしまうのだった。



え?人の家(城)で大声を上げた事に対する弁解?

もちろんありますとも。


だって鏡に映った自分の顔が酔った状態で作ってしまった『アルジャンワールド』の自分のアバターキャラだったんですよ。

ピッチリ七三のモブフェイスなんですよ?

髪型に顔の印象が食われて、もう七三が本体みたいなキャラなんですよ!?



……ふっ、思わず泣きたくなったね。

目から汁が出たよ。



ども、谷口ユウキです(-_-)/


いやー、ギリギリ月一投稿が守れましたよ。

更新が遅く一話の分量が本編より短いのは自分でもどうかと思うんですけどね。

今は『プチトリ』の方をメインで書いてますので少なくともコッチの更新が遅いのはどうしようもないです。


ちなみにコッチの書きやすさの都合でこの話はボク(チャールズ)と(セクハ)の二つの視点で話を進める事になりました。

箱入り権力者(世間知らずな子供)とある意味異世界を知りまくっているチート勇者(説明役)のコンビなら話の進行が色々と楽なんですよねw


ちなみにこの話、サブタイトルがどっち視点かで微妙に変えているのでそういった所からも判断していただければ幸いです。


基本2話交代で行くのでダラダラっとしないつもりなんでソコん所は安心してください。



こんな変な話を読んでいただいてありがとうございました。


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