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悲観的な彼の事情
暴かれる気がした、この佐藤麻奈という女には。僕の、隠し持っている闇を。怖かった。地味でいいんだ、都合良く使われて何もなく友達も出来ず、勿論恋なんてしなくて。地味な大宮聡介で良かったのに。なんでこうも見つけるんだ。気持ち悪い、辞めて欲しい。多分只の遊び半分であろう佐藤麻奈の表情に苛立ちを感じながら、今度は真顔で言ってやる。
「これからゴミを捨てに行くんだ。退いてくれ」
「そういう雑用とかもさ、自ら買って出てやっているの?」
「…関係ないだろ」
「教えてくれてもいいじゃない」
「じゃあ、此方から聞くけどさ。何で僕に構うの?」
この世界に美しいものなんてない。
「興味があったからよ」
あるのは孤独な空虚と大人達が上手くやろうとしてる陰謀だけ。まっさらに美しいものなんてない。