攻撃的な彼女の事情
大宮聡介観察二日目。今日もお弁当は豪華、ハンバーグ弁当らしい。チーズがのってるからこってりが好きなのかなあ。今度は先生に言われたように作業をする奴をこっそりと覗き見ている。「ありがとうございます」声色は明るいんだけどなあ…なんでかしっくり来ない。むずむずする、こうやって行動を起こさないのは性 に合わないし。話し掛けてやろう、そう思って大宮聡介に話しかけてみた。「大宮聡介くーん」逃がさない。肩をがしりと掴んで。「どうかしましたか?…えーと、佐藤さん?」大宮聡介はあたしを思い出したような素振りを見せて、にっこりと笑った。「笑いたくないなら無理に笑うの辞めたら?それ、嘘笑いでしょ」
大宮聡介は一瞬びっくりしたような顔をしたけど、否定もさせないままに私は話す「本当の笑い方はね、最初に口が笑うの。そして次に目が細まる。大宮くんは目と口が同時に動くに加えて片方の口許が歪んでいる」
聞いたことがある。とある誰かの人類学者が情緒的な表情は左右対象になり意識的または意図的な表情は左右非対象になる、と。ちょっと本を読んだだけだけどね。大宮君は案の定固まったまま動こうとしない。もう一回言おう「笑いたくないなら無理に笑うの辞めたら?」