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左右対象でない彼らの事情
ある日のことだった、いつものように僕はクラスの男子に頼まれたゴミを捨てに焼却炉まで歩いてるところで。佐藤麻奈だ。本能がそう反応して、とっさに近くの端へと寄る。早く居なくなってくれ、そう心の内でぼやきながら、彼女が去っていくのを確認したところで出ていくとふいに肩を掴まれる。ヤバい。「大宮聡介くん、なんでそんなとこにいんの?」少し威圧的な言葉に、力は無いが離すまいといった掌が肩に圧し掛かる。
「どこにだっていいだろう」そう冷たく言い掌を片手で払うと、佐藤麻奈は眉の間に皺を寄せて怖い顔をした。関係ない。放っておいてくれ。そんな意味を込めてもう一度手を自分側へと引いたら、おかしい。微動だにしない。佐藤麻奈は僕の腕を掴んでいた。なんで?と今度は僕の顔が歪む。
「なぁんだ、意見言えるじゃない」飄々と彼女はそう僕に放つ。ああ、またしても彼女に僕が一つバレてしまった。