恐怖
「そこ!」
銃声とともに打音さんの声がモノクロの世界に響く。
俺達3人は、同時に現れた二体の影骸と戦っていた。
打音さんの放った弾丸は一人目の影骸の左肩をかすめ、二人目の右胸を貫く。
「行きます!」
そういってカイが後ろに回り込み、先程弾丸が当たった影骸を一刀両断。
カイを襲おうとした一人目の影骸の右腕を俺が切り落とす。
「ギュイァァァァ」
影骸は悲鳴を上げ、大きく飛び跳ねると、そのまま打音の頭上を飛び越え、逃げようとする。
「やばい!逃げられる!」
そう叫んだ瞬間、影骸の頭が宙に舞った。
ナイフが飛んできて、影骸の首をはねたのだ。
「打音っちじゃん!」
その声のする方を向くと、そこにはピンクの髪をした誰かが手を振っていた。
「キョウカ、ありがとう。助かったわ」
打音っちってことは、打音さんの知り合いか。などと考えていると、聞き覚えのある名前が上がってきた。
「え?まさか時雨さん?」
「おっ!その声はまさか、レイトくん?!」
時雨キョウカ、俺の幼馴染でクラスメイトだ。まさかこの世界にいるなんて。
「あと隣に居るのは…カイくんだよね?すごい!兄弟揃ってこの世界に来れるなんて!」
カイがペコっと挨拶をする。そういえば苦手なタイプって言ってたっけ?
「キョウカがこっちに来るなんて珍しいわね。どうしたの?」
確かにこっちの世界に初めてきてから数週間経ったが、今まで見たことがない。
「いや〜なんとなくいいことがありそうな気がしてね、来ちゃった!」
そういって時雨さんは俺の方を向いて、嬉しそうにしている。
「そしたらレイトくんがいてね〜いいことがあったよ!これから毎日来ようかな…」
そんなに俺に会えたことが嬉しいのか?学校でも会えるのに。
「やっぱり時雨さんはちょっと変わってるな」
「ひどいな〜そんなことないよ〜」
その瞬間、後ろから影骸が鋭い爪を立てて時雨さんに襲いかかってくるのが見えた。
「まず――」
まずい!と言おうとしたその時。
「イギュァァ!」
という影骸の叫び声が響き、影骸が消滅する。よく見ると影骸の脳天にはナイフが突き刺さっていた。
無言でナイフを取り出し、ノールックで影骸に命中させたのだ。
俺は少し、怖いと思った。彼女はその瞬間も、表情が変わっていなかったのだ。
まるで、すべてわかっていたかのように。
その笑顔に、俺は恐怖した。




