影骸
「はじめまして!加賀美カイといいます!よろしくお願いします!ナズナ先輩!」
体育館裏にカイの大きな声が響く。
「まさかキミの弟くんもこの世界に来れるとはね…」
「はは…」
すごく気まずい。何だこの状況。
「それにしてもこの世界ってなんなんですかね?」
カイがモノクロの体育館を覗きながら言う。
「しかもナズナ先輩の見た目も違うし、兄ちゃんの見た目は…あまり変わってないね」
「おい、嘘だろ?打音さんもカイもかなり見た目が変わってるのに?」
カイの見た目は髪の毛が逆立っていて、髪色もオレンジ色に変わっている。
「多分キミの見た目に個性がないからだね」
「え…ひど…」
かなり傷ついたがそれよりももっと重要なことがある。
「そんなことよりも、打音さん。シュピーゲルって―――」
「グラゥ゙ー!」
誰だよまた俺の話を遮ってきたのは。そう思い振り返る。
そこには人とは似ても似つかない、影の塊のような見た目の怪物がいたのだ。
「伏せて!」
そう言われ身をかがめる。その瞬間、銃声が鳴り響きその怪物の脳天に風穴が空いた。
「すげぇ!かっけぇ!」
カイが叫んでいる方を見てみると、打音さんが何かを持っていた。
それは「銃」だった。マシンガンではない、マスケット銃だ。
「あれが影骸、私達シュピーゲルを食ってくる存在」
「影骸…?」
あんなバケモノに食われるなんて絶対にごめんだ。
「すみません、ナズナ先輩!アイツに食われるとどうなるんですか?」
「食われても元の世界の身体にはなにもないわよ。この世界での記憶がなくなるだけで」
いや、ちょっと待て、と思い打音さんの方を見る。
さっき、明らかに発砲してたよな?銃刀法違反じゃね?
「ちょっとキミ、犯罪者を見るような目で私を見ないでよ」
「その銃かっこいいですね!どこから出したんですか?」
カイも空気を読んだほうがいいと思う。まぁこれは俺も聞きたかったからいいが。
「あなた達も自分が武器を持っている想像をしてみなさい。そしたら出てくるわ」
武器を持っているイメージ…か。俺なら刀かな、かっこいいし。などと考えていると、手にズシッとした重さが伝わってきた。
「うぇ?!」
その手には想像していた通りの刀が収まっていたのだ。
ふとカイの方を見てみると、ゴンッという鈍い音と同時に大きな剣が床に出てきた。
「それがあなた達の武器ね、これであの影骸と戦うのよ」




