私は”立派な”聖女です
「アマテラス!其方を次世代の聖女として認定する!」
教会により次の聖女に認定されたのは私ことアマテラスである。
そして聖女は祈りを捧げながら、次期王となる王太子様と婚約することも決まっているのである……
というか王太子様と年齢が近いものから次の聖女が選ばれると言う流れですね……
先代聖女も今や王妃となっていて国のため祈りを捧げているのである……
私は厳しい修行に耐えたかいがあったと思った。
しかしそれよりも大事なのは聖女の仕事を全うできる資質があるものだけ……
私にその資質があったのですわ……
だから立派な聖女になって見せますわ。
しかしだ、王太子であるチャールズ様は罰当たりな方で母親も私も聖女というものが嫌いらしく、すぐに感情的になる困った方なのです……
そしてついに、聖女の儀式の途中に婚約破棄などと宣言してきたのであった……
「アマテラス!聖女なんてものは不要だ!役立たず能無し!祈ったからなんだっていうんだ!」
「落ち着いて下さい……チャールズ様、聖女はこの国に必要なものなのです、感情的に否定してはいけません」
「そうだぞチャールズ、お前は一体何を考えているのだ」
陛下も当然私の味方になりますわ……
「チャールズ!貴方って子は、いつもいつもそう言う事ばかり言いだして!」
「ふん、何が感情だ、母上こそいつもヒステリーではないか、それに祈ったからって何がいいことがあるっていうんだ?え?」
やれやれチャールズ様は何も分かっていない……
「聖女が祈ることで、すべてのものが安心して暮らせるのです、それが分からないようでは、王太子と言えませんよ?」
私の堂々とした振る舞いに、陛下と王妃様は頷く。
これが立派な聖女の在り方なのです。
「安心だと?そんなもののために王家は教会にどれだけの寄付をしていると思っている!」
「……教会を支えることこそ王家の義務なのです……」
「黙れ!何故王太子であるこの私が教会ごときを恐れないといけないのか!今まさに聖女を私は侮辱しているが、罰など一切当たらないぞ!聖女が怖くない証拠だ!」
このようにチャールズ様が宣言をすることで、みんなは恐怖に震えている……
チャールズ様に罰が当たってしまうに違いないみたいな……
私はチャールズ様の振る舞いに立ち眩みを覚えた……
聖女と教会を侮辱するなんて、王太子様でもやってはいけないことなのだから……
フラフラとする私を見て、みんなは支えてくれる……
しかし私は言わないといけない!
「恐れながら、チャールズ様!今私が貴方の代わりに罰を受けているのです!何故なら貴方が聖女を疑うことは私が未熟だからということですから!どうか私を憐れむのなら、もうおやめください!」
「……黙れ!もう騙されないぞ!そんな演技通用するか!」
「……分かりました、私は聖女を全うできなかったので自害しますわ……」
こうして儀式に使われる短刀を私は自分で刺した……
慌てたみんなが集まることで、私は軽傷だったのもありすぐに助かったが、チャールズ様の顔はずっと青ざめていた……
そして私に言う……
「すまなかった、私が愚かなことをしたから、君を苦しめてしまった……どうか許して欲しい……」
「……二度と聖女と教会を疑わないのでしたら、許しますわ……」
こうして婚約は続行となった……
教会も王妃様も私の振る舞いを立派だと絶賛をした……
そうなのよ、王家にどれだけ文句を言われても、それを超えられる聖女だけが立派なのよ。
そしてある日飢饉が発生をして民達が苦しいなど訴えてくるでは無いか……
私が全力を持って祈ったのに、飢饉になるってことは私もまだまだであると反省を示してなだめたが、収まってくれない。
さらに教会に蓄えられている財産を出せなどと暴徒化してくるので、私はチャールズ様に言った……
「あのもの達は暴徒です、教会のものを奪おうなど許されませんわ、兵を出して撃退すべきです」
「……いくらなんでもそれはまずくないか?」
「何を言っているのです!教会から奪うなんて王家に敵対しているのと同じですわ!」
こうして集まった暴徒たちは蹴散らされ教会は無事だった……
そうよ、聖女と教会に攻撃するなんて、全部あいつらが悪いのだから……
私は飢饉が発生したからこそ、もっと豪華な儀式をするように提案をした。
人々を安心させないといけないですからね、それが聖女の務め。
その結果増税になりましたが、人々が安心するほうが大事なのですから……
私は教会から認められた立派な聖女ですから……